1. 人生

HSP・HSCと発達障がいの違いは?五感の過敏さは似ているけれど、見分け方はここ!

よく受ける質問に、敏感な気質と、ADD/ADHD(注意欠陥・多動性障害)との関係について教えてほしいというものがあります。

表面上はこの2つはとてもよく似ていて、多くのHSCが、ADHDと誤診されていると言う専門家もいます。私はHSCが、ADHDだということは、ありえると思います。でも、この2つは同じではありませんし、ある意味で正反対ともいえます。

例えば、HSCの大半は右脳の血流が左脳に比べて活発ですが、ADHDの子は左脳の血流のほうが活発です。ADHDの子どもは、おそらく冒険システムが極めて活発で、用心システムが比較的おとなしいのでしょう。

HSCとADHDが混同される理由の一つに、HSCはいろいろなことに気づくので、ADHDの子のようにすぐに気が散ってしまうことがあります(といっても、時には一つのことを深く考え込んで、他のことにはあまり気づかないこともありますが)。

しかし、ADHDは、意志決定したり、集中したり、結果を考えたりするのに適切な機能が全般的に欠如している疾患です。HSCの場合は普通、少なくとも穏やかで慣れた環境にいる時は、これらのことを得意とします。
ADHDの子は何かしらの理由により(理由は分かっていません)、「優先順位をつける」「いったん外の景色に心奪われても、元どおりに注意を戻す」「先生が自分ひとりに話しているわけではないと分かる」といったことが不得手です。

HSCは、必要な時には、少しは気が散るものから意識をそらすことができます。しかし、そのために多大な精神的エネルギーを使います

気が散る要因がたくさんある時や、そのような状況が長引く時、あるいは、動揺してすでに内面から過剰な刺激を受けている時に、さらに外からの刺激を受けると、圧倒され興奮して「おかしな」振る舞いをしがちです。

これが、ADHDと間違われてしまうもう一つの理由です。学校での長く雑音の多い生活の中では、途中で疲れてしまうこともあります。大切なテストで興奮したり気が散ったりしていつもどおりできないのではないかと不安になると、神経が高ぶって、ふだんなら気にせずに済むことでも気になってしまうのです。

ADHDの治療には、さまざまな支援制度があります。診断されれば支援の対象になるので、教師はHSCをADHDだと評価することがあります。異質な行動の原因が敏感さにあるとは、人はなかなか考えないものです。

※気質について研究している人々の間では、ADHDの多くは正常な範囲の特性であり、敏感性と同様、誤解されているのではないかということが大きな議論になっています。ADD/ADHDについての興味深い文化的議論については、リチャード・デグラドプレ著『リタリン・ネイション(薬漬け国家)』をごらんください。HSPについても取り上げられています。

HSCは、自閉症やアスペルガーとも違います

子どもに自閉症やアスペルガー症候群といった問題があれば、普通は親や小児科医が早い段階で気づきます。

自閉症

自閉症の赤ちゃんは、笑ったり、表情を作ったり、指さされた所を目で追ったり、はっきりと発音したりすることができません。2、3歳になっても、人に興味が少なく、こちらが求めても、笑いかけても、あまり反応しません。

私の知る限りでは、コミュニケーションを取りたがらず、空想遊びもしないようです。この点が、過剰な刺激を受けている時以外はコミュニケーションを望むHSCの行動と異なります

敏感な人は、人口の約20パーセントに見られます。自閉症の子どもは、1万人に2~4人で、そのうち4分の3が男児です。敏感さは正常な特性ですが、自閉症は疾患です。

アスペルガー症候群

アスペルガー症候群の子どもは約500人に1人いて、男児のほうが5倍多いです。アスペルガーの子どもには、妙な姿勢をとる、タイミングのずれた動作をする、動きがぎこちない、リズム感がない、字を書くのが下手など、運動面での問題が多く見られます。

HSCも、試験でストレスを感じたりすると、うまく調整できないこともありますが、それ以外の症状は見られません。

アスペルガーの子は、コミュニケーションを取りたがりますが、人の話を聴いたり、話すタイミングを直感的に理解することができず、なかなかうまくいきません。婉曲表現や皮肉を理解する、秘密を守る、顔色を読む、といったことも苦手です。誰も興味がないような事柄について、淡々と話すことがよくあります。このような点はいずれも、HSCでは見られないことです。

HSCと混同される理由は、自閉症やアスペルガーの子どもたちは、感覚的な刺激に極めて敏感な点です。でも、場の空気や相手の気持ちには敏感とはいえません。これがHSCと大きく異なるところです

HSCは、「自閉症スペクトラム」のうち、程度の軽いほうに属するのではないかという議論もありますが、私は違うと思います。「自閉症スペクトラム」の程度の軽い子を表現するなら、何か癖があったり、風変わりだったたり、融通が利かなかったり、感情が乏しかったりということになるでしょう。

HSCを含め、疾患がない子どもは、生まれつき人と関わることを望んでいます。そのようにプログラムされているのです。第6章で触れますが、すでにお母さんの子宮にいる時から、感情面での反応を見せています。障害がある子の場合はそうではありません。

(『ひといちばい敏感な子』エレイン・N・アーロン(著) 明橋大二(訳)より引用)

詳しくはこちらの書籍をご覧ください