心がきらめく仏教のことば #23

  1. 仏教

「智慧がある人」ってどんな人?人生が前向きになる仏教の教えを解説

今回のテーマは「智慧」です。
賢い人のことを智慧のある人といったりします。

「賢い人」といってもいろいろありますが、仏教でいわれる智慧は誰でも身につけられるものです。
身につけられますと人生を前向きに、喜び感謝へと変えていけます。

反対に智慧を身につけられないと、どうして自分ばっかりがこんな目にと悲しみ嘆き、他人に当たったり世の中を恨んだりするでしょう。
それでは、ますます損な人生になってしまいます。

今回は、仏教で教えられる智慧について、ご紹介したいと思います。

「智慧のある人」は因果の道理を実践する人

仏教で智慧ある人と言われるのは、因果の道理をわきまえて実践していく人のことです。
因果の道理に反することばかり思い、行動している人は、仏教では智慧のない人だと言われます。

では、因果の道理とはどんなことなのでしょうか。

簡単にご紹介しますと、「自分のやった行いに応じた結果が自分に返ってくる」というものです。
つまり、1頑張った人は1だけ、10頑張れば10、100頑張れば100返ってくるということです。

反対に、さぼっている人はさぼった分だけの結果を受けることになります。
ダイエットにしても、美容にしても、健康を保つための食生活や運動など、どんなことでもそうでしょう。

1日や2日やって得られる結果はそれだけの結果です。
毎日たゆまず続けている人と同じ結果なわけはありません。

ですから、人から羨まれるようなよい結果を得ている人は、私が知らないだけで、いろいろな努力や積み重ねをしているはずです。
努力を嫌って怠けていて、よい結果だけを望むのはムシのいい話ですよと、というのが因果の道理です。

智慧がないとどうなる?

ところがそのことがなかなかわからず、

「なんであの人ばっかりいい思いをするのか」
「どうして自分はこんなにうまくいかないのだ」

と人や周りの環境のせいにして、不平や不満で愚痴いっぱいになる人があります。

以前、教育関係の仕事をしている人から聞いたことです。
指導している生徒の中で何人か、自分の成績が伸びないことについてこのように言う子がいたそうです。

「先生の教え方が悪いから」
「順位をつけると、自分が劣っていると感じてやる気が削がれてしまう」
「友達とのつきあいがあるから集中できない」

そんな子に、「周りのせいにしていてはいけないよ」と諭しても、なかなか問題点が伝わらず困ったと言っていました。

成績が上がらなかったり、物事がうまくいかないときには、ついつい他人や環境のせいにしたくなってしまうのではないでしょうか。
それは智慧があるとは言えないでしょう。

古巣を捨てようとしたフクロウ

また、こんな話があります。

顔をしかめて飛んでゆくフクロウを、連れのハトが呼びとめた。
「おいおい、そんな、うかぬ顔して、どこへいく」

さびしそうに、フクロウが答えた。
「知ってのとおり、この里の者たちは、悪い声のオレを嫌うので、所を変えようと決心したんだよ」

くくと笑って、ハトは、
「それはムダだよ、フクロウさん。いくら所を変えたって、おまえの声を変えないかぎり、いく先の者はやはり、おまえを嫌うだろう。古巣を捨てる覚悟があれば、声を変える努力を」
と、忠告したという。

(『光に向かって100の花束』より)

フクロウは、「自分がうまくいかないのは、この場所や周りの動物たちが自分を受け入れてくれないからだ」と考えていました。
たしかにそういう面もあるでしょう。

ところがハトがアドバイスしていますように、自分自身の行動を変える努力をどれだけしていたでしょうか?
これに目を向けることができないと、どこへいっても似たようなことになってしまうと忠告しています。

智慧のある人とない人の違い

自分のどんな言動に問題があるのかを正しく見て受け入れ、これからどうしていけばいいのか考え、実行する。
これが智慧のある人です。

フクロウのことでいえば、自分は周りの動物たちに嫌われて居心地が悪いというのを受けとめ、自分のどんな言動に問題があるのか見ていきます。

自分の声がみんなに嫌われていたんだなと気づいたら、「少しでもいい声が出せるように頑張っていこう」となるでしょう。
また、周りの動物たちへも「自分の声で不快な思いさせてしまってごめんね」という言動となっていくでしょう。

そうなっていきますと、周りの動物たちの反応も変わっていくはずです。
少しずつでもいい声が出せるようになっていけば、居心地の悪さも減っていくのではないでしょうか。

反対に、智慧のない人は人や環境のせいだと考えます。
フクロウが、

「悪いのは自分を受け入れてくれないこの森の動物たちじゃないか。
自分は悪くないのに、なんで自分を受け入れてくれないんだ」

と思っているのと同じようなことです。
そんな言動ばかりとっていれば、ますます周りの動物たちはフクロウをつきあいにくいと思うでしょう。

やがてフクロウは別の森に行くかもしれません。
ところが、別の森に行っても、おそらく同じようなことが繰り返されるのではないでしょうか。

まとめ:智慧を身につけると結果は大きく変わる!

智慧のある人は、うまくいかない時に自分の行動を反省して、改めていきます。
ですから、やがて軌道に乗るでしょう。

逆にうまくいっている時は、感謝してますます努力しますから、よい循環が生まれてきます。
自分よりもうまくいっている人を見れば、恨めしく思うのではなく、どんな工夫や努力があるのか学び、自分の努力向上の糧とすることでしょう。

反対に智慧のない人は、因果の道理に反することばかり考えて行動します。
うまくいかないのを他人や環境のせいにして、不満や愚痴をこぼし、自分の行動を反省し、改めようとしない。
他人がよい結果を出しているのを見て、うらみ、ねたんでばかりいます。

因果の道理をわきまえる智慧のある人と智慧のない人。
少しの違いのように思っても、これが1日、2日、3日…1年、5年、10年と経つと、とんでもない違いになっていきます。

とくに、つらいときは他人や環境のせいにしてしまいがちですから、智慧をもって行動していきたいものです。
それがやがて大きな力となって、笑顔の大輪が咲くことでしょう。

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