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【田邉先生監修】正しいソフロロジー式分娩法とは?呼吸法や姿勢、出産レポ、おすすめの本も紹介

人生の一大イベントである出産。

出産方法の1つとして、「ソフロロジー式分娩法」が話題になりますが、どういうものか知っていますか?

今回の記事では「ソフロロジー式分娩法」について徹底解説していきますね!

  • ソフロロジー式分娩法を正確に知りたい人
  • ソフロロジー式分娩法に疑問がある人
  • ソフロロジー式分娩法をやってみたい人
  • ソフロロジー式分娩法のおすすめの本を知りたい人

この記事を読めば、ソフロロジー式分娩法への疑問が解消し、正しく理解できますよ。

今回の記事はたなべクリニックの院長、田邉良平先生の監修で記事を作成しています。

田邉良平先生紹介
日本産婦人科認定医、日本ソフロロジー法研究会常任理事、日本ソフロロジー法研究会達成度向上委員会委員長、たなべクリニック産科婦人科院長
※たなべクリニックは、日本ソフロロジー法研究会が認定した日本で初めてのソフロロジー法教育施設

 

最初にソフロロジー式分娩法の基本について説明していきますね。

ソフロロジー式分娩法とは?

ソフロロジー式分娩法は、端的にいうと「赤ちゃんを想う心で痛みと向き合う」分娩法です。

「陣痛は痛くて怖いもの」と考えがちですが、「陣痛は赤ちゃんとお母さんの人生初の共同作業」と捉え方をかえることで痛みが和らぎます。

ソフロロジー式分娩法とはなにか、田邉先生に詳しくお聞きしました。

「ソフロロジー式分娩法は、すなわち「赤ちゃんを想うこころ」を育てる分娩法(産前教育法)です。

ただ「痛みと向き合う」のでは、ありません。

そもそも陣痛の痛みは、敵ではありませんから。

「向き合う」というのは、正しく向き合う、ポジティブに向き合うのであれば良いですが、ネガティブな痛みと向き合うという意味なら、全くもって違います。

ソフロロジーでは、
・出産は、赤ちゃんとお母さんとの人生最初の共同作業
・陣痛は、赤ちゃんを生み出すための大切なエネルギー
と捉えますから、結果的に「痛みが和らぐ」といった感覚になる妊婦さんが多いです。

(実際に和らいでいるのかは、ご本人にしか分かりません。しかし、妊婦さんは口々に「あまり痛くなかった」「嫌じゃなかった」と表現します)。

痛みを無くす、痛みから逃げる、ということを最優先には考えていません。

なぜなら、赤ちゃんを生み出すための大切なエネルギー(痛み)なんですから。」

 

ソフロロジー式分娩法の歴史

ソフロロジーは1960年にスペインの精神医学者が提案した学問です。
いくつもの医学の分野で取り入れられましたが、1972年にフランスのジャンヌ・クレフ博士が産婦人科に取り入れました。
その後フランスからヨーロッパ全土で広く行われるようになり、1987年に松永博士によって日本に取り入れられています。

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ソフロロジー式分娩法は、海外から日本に取り入れられたものですが、今では日本が世界をリードしており、どのお母さんでも理解し、取り入れられるように発展しています。

ソフロロジーの陣痛に対する考え方

ソフロロジー式分娩法の考え方は、陣痛の痛みを「嫌な痛み」と捉えるのではなく、「ポジティブな痛み」と捉えます。

陣痛が来ている中、「狭い産道を赤ちゃんが一生懸命に通って来る」「赤ちゃんは、とても頑張っている」「私(お母さん)が赤ちゃんを応援し、導いてやらなくっちゃ」と想うと、陣痛の痛みを自分本位の痛みとして捉えるのではなく、赤ちゃんを第一に考えた痛みとして捉えるようになります。

陣痛を嫌な痛みと捉えないようになると、痛みを受け入れられ「痛みが和らぐように感じられる」のです。

そもそも陣痛の痛みを「鼻からスイカがでるくらい」とか「トラックで轢かれる」と恐怖心を煽るような体験談ばかりを聞いているママさんばかりなので、実際とかけ離れた嫌な痛みをイメージするのはよくわかります。笑

ソフロロジーではそうではなく、陣痛の痛みを事実として客観的にとらえ、赤ちゃんと一緒に乗り越えていく ものと考えていくです。

「赤ちゃんもお母さんに痛い思いをさせたくない」のです。

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ポジティブな痛みとお母さんが捉えるからこそ、“結果的に”あまり痛くなかった、想った以上に嫌じゃなかったとなるのです。必要な痛みですから、ソフロロジーで出産するお母さんは、痛みよ、もっと来い!この痛みがあるからこそ、大切な赤ちゃんに逢えるんだ!もっと来い!と感じています。

ソフロロジー式分娩法の考え方は、下記でも詳しく書いていますので、ぜひご覧ください!

次にソフロロジーについて、デメリットがあるように言われますので、少しふれておきます。

ソフロロジー式分娩法のメリット・デメリット

一般的に、ソフロロジーにはメリット・デメリットがあると考えられていますが、デメリットは「ありません」

ソフロロジー法について理解していただくとよく分かると思います。

このことについて田邉先生にお聞きしました。

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ソフロロジー法の考え方は
・あるがままを受け入れる
・物事全てをポジティブに捉える
です。
よって、人生哲学にも必要な考え方・捉え方です。
なので、“合う・合わない”と言う議論そのものが存在しません。
「出産は怖い」「出産は痛くて嫌だ」と思われがちですが、「赤ちゃんと早く逢いたい」という思いや「赤ちゃんと一緒に頑張る」というように出産の素晴らしさに気づくことがソフロロジー法なのです。

一方でソフロロジーを行う場合には、以下のメリットがありますので、紹介しますね。

ソフロロジーのメリット4つ

  1. 出産が楽しみになる:妊娠中から赤ちゃんに意識を向ける日々が多く、赤ちゃんと逢えるのが楽しみになります
  2. 出産の痛みを緩和できる:痛みを切り替えるスイッチが入りやすくなったり、痛みを受け入れやすくなります。
  3. 産後の回復が早くなる:出産時の負担が少ないので回復が早いです。
  4. 生まれた赤ちゃんが元気:お母さんがリラックスして、酸素を赤ちゃんに送って出産するので、赤ちゃんが元気に産まれます。

参考:田邉良平著『ママ、もうすぐあえるね』

ソフロロジー分娩法で大事なのは、出産の際の痛みを取る取らないというより、妊娠中から赤ちゃんを想う気持ちを育むことだと知ってください。

ソフロロジー式分娩法の練習方法はある?

ソフロロジー分娩法には、何か特別な練習方法があるように思われますが、練習のようなものは必要ありません

やることは「赤ちゃんのことを想うこと」

妊娠中から、たくさん赤ちゃんに話しかけてあげればOKです。

お母さんが赤ちゃんに話しかけ、赤ちゃんのことを意識してあげることで、赤ちゃんへの思いが育まれていきます。

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ソフロロジー式分娩法では、呼吸法や姿勢についてもよく取り上げられますので説明します。

ソフロロジー式呼吸法とは

ソフロロジー式呼吸法は、出産時に赤ちゃんに十分な酸素を届けるために行います。

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なぜなら、お腹の赤ちゃんは、たくさんの酸素を受け取ることで出産の際に受けるストレスや体力の消耗を小さくすることができるから

ソフロロジー式呼吸法で生まれた赤ちゃんは、とても血色がよく元気だと言われるのは、酸素をたくさんもらえているからなんですね。

赤ちゃんに酸素を送ることができるのはママだけですので、下記方法でしっかり酸素を送ってあげましょう。

 

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この呼吸法は、出産の時だけに活用するものではありません。赤ちゃんが健やかに育っている妊娠中から、この呼吸法をやってみましょう。すると、赤ちゃんもリラックスできて、気持ちよくて、元気に動きますよ。

具体的な呼吸方法

ソフロロジー式呼吸法は、田邉先生の表現をお借りすると、「ろうそくの炎が少し揺れるくらい、炎を吹き消さない程度に、細く長く息を吐き出す」ような”イメージ”です。

なぜなら息を長く吐くことで、多くの酸素を吸えるから。

実際に息を吐くことだけに集中すると、息を吐き続けられないことがわかります。

そして息を吐き出せなくなるところまでいくと、次に自然と多くの酸素を吸うことになりますよね。

だから、優しく細く長く息を吐き出すことのみに集中してください。

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息を吐くことだけに集中します。
そうすると、吐き切ると、自然に息を吸えます。
すなわち、息を吸うことは意識せず、吐くことだけに集中すれば、自然と息は吸えるのです。

あぐらの姿勢をしよう

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ソフロロジー分娩法に限らず、全ての出産において、あぐらの姿勢が勧められています。

理由は3つあります。

  • 赤ちゃんが降りてきやすい
  • 子宮口が開きやすい
  • 呼吸がしやすくリラックスしやすい

また、あぐらの姿勢は妊娠中から勧められます。

妊娠中はあまり動けないので運動不足になりやすく、出産の際に使う筋肉が弱くなりがちですが、あぐらの姿勢をすることで、産道などの弱った下半身の筋肉を鍛えられるため、日頃からあぐらの姿勢を取ることをオススメします。

引用:田邉良平著「ママ、もうすぐあえるね」

イメージトレーニング

呼吸法と姿勢がわかったら、イメージトレーニングをしましょう。

まず、あぐらをかきましょう。あぐらは、リラックスしやすい姿勢です。お母さんがリラックスすると、おなかの中の赤ちゃんもリラックスできます。おなかの大事な赤ちゃんにそっと触れましょう。目も閉じてみましょう。目を閉じて、意識を集中して、お中の赤ちゃんのことだけを考えましょう。

引用:田邉良平著「ママ、もうすぐあえるね」

 

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ソフロロジー分娩法での出産レポ

実際にソフロロジー分娩法の出産レポートを3つ紹介しますね。

たなべクリニックでの出産レポートです。

最初は半信半疑

【初産婦:2021年6月21日】

最初は、ソフロロジーなんてと半信半疑でした。出産前にソフロロジー教室を受けて少しずつ気持ちが変わってきました。出産は私だけが痛くて苦しくてその恐怖を一人で耐えないといけないんだと思っていました。でも話を聞いて赤ちゃんの方が私より苦しくて、産道の狭いところを一人で必死に頑張って出てきてるのかと思うと、私だけじゃないんだ!!一緒に頑張ろう!!教えてもらった呼吸法で赤ちゃんに沢山酸素を送ってあげようと思いました。

実際に陣痛がきてソフロロジー教室を受けていたおかげでしっかりと息をはいて叫ぶことなく赤ちゃんに会えることができました。想像していた出産が、こんなにも変わるんだと初めての出産でソフロロジー式分娩について知ることができて本当に良かったです。

引用:たなべクリニック

分娩室でリラックス

【初産婦:2021年6月21日】

妊娠するまではソフロロジーについて全く無知でした。たなべさんでソフロロジーの話を聞いた時に確かにその通りだなと勉強されられました。事前にイメージトレーニングなど自分なりにしていましたが、分娩室に行くまでは、実際上手にできていなかったと思います。ただ、分娩室に入ってからは看護師さんの声かけ等もあり、赤ちゃんが苦しくないよう酸素を送り込んだり、途中はリラックスするなどできたと思います。
ソフロロジーの話を知らなければ、自分一人だけが頑張るお産になっていたと思います。また次も赤ちゃんと一緒に頑張りたいです。

引用:たなべクリニック

生まれた瞬間幸せ

【初産婦:2021年6月21日】

周りの家族、職場の方、お産を経験した友人から「痛いよ」「怖くない?」と出産について言われることもありましたが、陣痛の痛みに対しての不安や恐怖心は抱くことなく“いつ陣痛がくるんだろう”と赤ちゃんに出会えるチャンスを待っていました。次第に痛くなる陣痛の合間は「またくる」「もっと強くなる」という意識はなく、「出ようとしている」「もうすぐ会える」「お産が進んでる」と前向きに捉えることができました。私が頑張って出すというイメージから、私と赤ちゃんが出会うというイメージに変えてお産を経験でき、産まれた瞬間幸せでした。

引用:たなべクリニック

より多くの出産レポートを知りたい方は、下記をご覧ください

ソフロロジー体験レポート

ソフロロジー式分娩法のQ&A

ここからはソフロロジー式分娩法に関することで、よく取り上げられる質問についてお答えします。

ラマーズ法とソフロロジー法の違いは?

ソフロロジー法とラマーズ法は、出産の考え方呼吸の仕方が異なります。

ソフロロジーは、「出産は、赤ちゃんとお母さんとの人生最初の共同作業」と捉え、「陣痛は、赤ちゃんを生み出すための大切なエネルギー」と考えます。

呼吸法はとても簡単で、ただただ息をゆっくり吐くことだけに集中します。

一方でラマーズ法は、出産時の陣痛をいかに逃すかと考え、呼吸を行います。

考え方の違いから、出産時の呼吸法にも違いがでているのですね。

ソフロロジーと無痛分娩の違いは?

ソフロロジーと無痛分娩の違いは、大きな違いは麻酔を使うか使わないかです。

ソフロロジーと無痛分娩について田邉先生へのインタビュー記事がありますので、下記をご覧ください。

ソフロロジーは最後いきまないの?

ゆっくりと息を吐き、自然ないきみ感があれば、それに合わせればよいのです。

意識して、無理に力んだり、息を止めたりする必要はありません。

赤ちゃんは陣痛の力と「自然ないきみ」で出てこられるのです。

ソフロロジーは出産の痛みはあるの?

出産時の痛みについては、関心が高いですが、出産の痛みについては、田邉先生へのインタビュー記事で答えてくださっていますのでご覧ください。

ソフロロジーのコツは?

ソフロロジー式分娩法は、うまくいく人、うまく行かない人がいるわけではありません。

「赤ちゃんを想う心を育むこと」が大切なので、特別なコツなんかはありません。

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ソフロロジーにうまくいく・いかないはありません。
ソフロロジーは、「やり方」を教えているのではありません。
ソフロロジーは、「あり方」を教え、伝えているのです。
ソフロロジーのコツは、赤ちゃんを想うこころを育てることです。
そのことの大切さ・重要性をいかにお母さんたちのこころに届かせるか、響かせるかが最も重要です。

 

ソフロロジーでおすすめの音楽・曲は?

ソフロロジーでおすすめの音楽・曲は、一般的に流れている音楽ではなく、「ソフロロジー用に作られた音楽」です。

硬い子宮の入り口を柔らかくしたり、お産の準備を促したりする効果があります。

またリラックス効果もあるので、出産前だけでなく出産後にも、赤ちゃんと一緒に聞いているお母さんもいます。

参考:ママ、もうすぐあえるね

 

ソフロロジーがうまく行かないけどなぜ?

ソフロロジー式分娩法は、「赤ちゃんを想う心を育む」ことです。

「うまくいく、いかない」とか「向いている人、向いていない人」がいるわけではありません。

妊娠中も出産後も赤ちゃんのことを想い続けることが、ソフロロジー式分娩法なのです。

まとめ

最後に、今回紹介したソフロロジー式分娩法についてまとめておきます。

  • ソフロロジー式分娩法:「赤ちゃんを想うこころを育てる」「妊娠中からあなたをお母さんにする」
  • ソフロロジーのすばらしさ:赤ちゃんに逢えるのが楽しみになる
    赤ちゃんと陣痛を乗り越えられる
    妊娠中からお母さんになれる
    赤ちゃんと一緒にお産を乗り越えることで、
    自分に自信がつく・赤ちゃんに自信がつく・その後の育児に自信がつく
  • 練習方法:特別な練習などいりません。お腹の中の大切な赤ちゃんにいっぱいお話してあげましょう。だって、赤ちゃんはお母さんが一番大好きなんですから

最近は核家族などの影響もあり、赤ちゃんが可愛いという気持ちより育児がつらいと悩む人も増えていると言われます。

ソフロロジー式分娩法では、赤ちゃんを想う気持ちを育てつつ、お母さんのこれからの子育ての支えになりますので、ぜひ学んでみてくださいね。

【田邉先生監修】正しいソフロロジー式分娩法とは?呼吸法や姿勢、出産レポ、おすすめの本も紹介の画像1

私の本の中に全てのメッセージがあります。
そこには、赤ちゃんとお母さんに伝えたい・届けたい想いが溢れています。

追記

ソフロロジー法は、「やり方」を教える・伝えているわけではありません。
ソフロロジー法は、「あり方」を伝えているのです。
妊娠・出産・育児を通して、母性を醸成させることを目的としてます。
ソフロロジーを通して、多くの方々が「あり方」を学び、気づき、実践してくれることを願います。
それこそが、未来からの使者である子どもたちの幸せ、ひいては私たちの幸せへと繋がります。
ソフロロジー法は、単なる出産法ではありません。
そこには、人生哲学があり、より良い価値観に気づかせてくれる学びがあるのです。
私の本をさらに熟読してみてください。
そうすれば、さらにソフロロジーの本質が見えてきます。
出逢いに感謝。
一期一会に感謝。

ぜひ読んでいただきたい本