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【産科婦人科医・田邉先生インタビュー②】陣痛が怖い…5分で悩みが解消する!ソフロロジーの考え方とは?

出産の痛みや不安を和らげる方法として近年注目されているのが、「ソフロロジー法」という産前教育法です。

何事もありのままに、ポジティブに捉えるソフロロジーの考え方を身につけると、痛みが苦手な人でも、リラックスしてお産に臨むことができるそうです。

今回は、出産に関する不安を解消する秘訣を、たなべクリニック院長の田邉良平先生にお聞きしました。

前回の記事はこちら↓↓

相手の立場に寄り添い、物事をポジティブに捉える

-特に、初めての妊娠の場合、出産に不安を感じることが多いと思います。陣痛が怖いというお母さんには、どんな言葉をかけられていますか?

「先生、私、痛いの嫌だから、無痛分娩にしてください」というお母さん、たくさんいます。

そんなとき、私は「無痛分娩もいいですが、妊娠中から、お腹の中の大切な赤ちゃんと過ごしてお産を迎えられる、もっと素晴らしい秘訣がありますよ」と笑って言いますね。

そして「妊娠10カ月の間に、あなたの不安を自然と和らげてみせます」と返します。

すると、最後には皆、あるがままを受け入れて、ポジティブにお産をして、ニッコニコで帰って行くんです。

母親学級で私の話を聞くと、ほとんどの人はポジティブになります。
「不安が全て消えたわけではないけれど、なんとなく安心に変わりました」「赤ちゃんに会えるのが楽しみです」というお母さんが99%です。

寝ずに考えて悩みが解決するのであれば、一生寝なくて良いと思いますが、考えても解決しない問題は考えるのをやめる。
これが大事です。

-田邉先生のお話を聞いていたら、私も気持ちが明るくなってきました。でも、どうしても不安が解消できないお母さんもいるのではないでしょうか。

もちろん、話を聞いたけど不安が無くなりません、と言ってくるお母さんもいます。
そういった場合は、まず、何が不安なのか、可能な限り、お母さんの話を聞きます。

一人一人、生い立ちも、抱えている不安も違いますよね。
これが無くならないと、このお母さんの不安は解消できない。だから相手の不安の核に限りなく寄り添うようにしています。
完全に相手の立場に立つことはできなくても、隣に寄り添うこと、気持ちを込めて手を握ることはできます。

ソフロロジーの考え方を理解し、実践すると、常に相手の立場に寄り添い、物事をポジティブに捉えるようとする姿勢が自然に身についてきます。

-相手に寄り添って物事をポジティブに捉える。人生の色々な問題につながる考え方ですね。

問題を解決できなくても、不安を吐き出すことが重要です。
中には、すごく不安が強くて、たくさん泣きながら、悩みを吐き出すお母さんもいます。
すると、何も解決していないのに、「先生とスタッフの人に聞いてもらえて、安心しました」と言われます。

お母さん達には、不安を吐き出す場所が必要です。

こちらが心をオープンにすれば不安を吐き出してくれますし、不安を吐き出すことでスッキリする、というお母さんはたくさんいます。

痛いのは体の一部だけ、休み時間があると知っておく

-不安な気持ちを聞いてもらえるだけで、安心しますよね。出産の不安は、一体どんな痛みが来るのか予想がつかない、という点にもあると感じます。

昔は、立ち会い出産をしたご主人に「次はあんたが産んでよ!」と言うお母さんもいらっしゃいました。

これは、妊娠中の教育をしっかり受けていないことに原因があったんです。

まず、陣痛は子宮にしか来ない、ということを知らないと、全身に力が入ってしまいます。
例えば、膝を強く打ったとき、痛いのは膝だけのはずなのに、体全体がこわばりますよね。

初めての出産の場合、陣痛は短い方でも約半日は続きます。

半日間ずっと全身に力を入れていたら、屈強な男の人でもクタクタに疲れ果ててしまいますよ。

でも何も知らないお母さんは、そんなふうにお産をするんです。
そんな経験をしたら、今度は横で涼しい顔をしているあなたが産んでよ!と思うのは当然かもしれません。

-想像しただけでも疲れてきました…。事前に正しい情報を知っておくことが大事なんですね。

お産について何も知らずに出産に臨むと、自分だけが辛い思いをして赤ちゃんを産んだ、と感じてしまいます。

産前教育をきちんと受けたお母さんは、痛いのは体の一部だけ、陣痛には休み時間がある、ということを知っているので、リラックスして赤ちゃんを産むことができるのです。

ですから、半日や一日、陣痛が続いても、想像していたほど疲れません。

さらに、あんなに小さくてか弱い赤ちゃんにも陣痛が来ている、と知っていると、赤ちゃんのためにも頑張れるんです。

赤ちゃんと一緒に陣痛を乗り越えた、と感じられると、感動もより大きくなります。
自分が酸素をあげたから、自分がしっかり休んだから、こんなに元気なんだという事実を目の当たりにするのです。

お父さんも、赤ちゃんとお母さんが一緒に陣痛を乗り越えたことを知っているので、出産に感激し、父性が高まります。
そうすると、育児にも積極的に参加するようになるのです。

-自分には陣痛なんて耐えられない、と思い込んでいましたが、だんだん将来の出産が楽しみになってきました!

大丈夫な気がする、というのがとっても大事なんです。

いきなり陣痛がやって来て、皆も我慢してるんだから頑張れ、と励まされても無理ですよね。
我慢する、という考え方が、すでにネガティブです。

私の病院のスタッフは陣痛をポジティブに捉えているので、痛みが強くなると拍手するんです。
「もうすぐ赤ちゃんに会えるよ!」とポジティブに言うと、お母さんも笑顔になります。

捉え方一つで世界が変わる、ソフロロジーは人生哲学

-ソフロロジーの考え方は、出産だけでなく、人生全体に役立ちますね。何事もポジティブに捉える癖がつきそうです。

一人目の出産は痛くて痛くて、もう二度と産みたくない、と思った。
でも、たなべクリニックで二人目を産んで、ポジティブになって、人生観まで変わった、というお母さんがいます。

ソフロロジーに出会うまでは、子どもが言うことを聞かないと、「辛い思いをして産んであげたのに…」とイライラしていたそうです。

でも、二人目のお子さんを産んだら、考え方がポジティブになって、「お母さんに何か伝えたいことがあるの?」と、愛しく感じるようになったと言われていました。

お母さん達は皆、子育ては大変、と言いながら、でも楽しいです、と笑って帰って行きます。

そういうお母さんは100点ですね。

物事はやっぱり捉え方なんです。
痛いのは痛い。事実は変わらないけど、捉え方一つで、「ポジティブな痛み」にも、「嫌な痛み」にもなります。

出産しない、妊娠しないという選択肢はもちろんありますが、自分の体に新しい命が宿るという素晴らしい体験は、女性にしかできません。

こうした捉え方で、妊娠とは何か、出産とは何か、陣痛とは何か、と考えていくと、痛いからやめておこう、といった後ろ向きな考えは無くなるのではないでしょうか。

出産だけの問題に留まらず、ソフロロジー的な考え方は、その人の人生を豊かにします。

そういう意味で、ソフロロジーは、単なるお産の方法ではなくて、人生哲学と考えてほしいと思っています。

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