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【産科婦人科医・田邉先生インタビュー①】痛みが和らぐ話題の出産法・ソフロロジーとは?

妊娠・出産は女性にとって、人生の一大イベントです。

子どもを産むことに憧れはあるけれど、「陣痛ってどのくらい痛いの?」「自分には耐えられない気がする…」など、体験したことのない痛みに不安が尽きないという方も多いと思います。

そんな出産の痛みや不安を和らげる方法として、コロナで産院通いも不安視される中、人気上昇中なのが 「ソフロロジー法」です。

「ソフロロジー…?聞いたことがない」という人もいれば、
「無痛分娩みたいなものだっけ?」と思っている人もいるのではないでしょうか。

今回は、ソフロロジーの正しい知識について、全国でも第一人者であり、その普及をライフワークとされている、たなべクリニック院長の田邊良平先生にお聞きしました。

陣痛のとらえ方一つで、本当に痛みが180度変わる?

-私も、いつか子どもを産みたい、とは思っていますが、「鼻からスイカが出るほど痛い」と聞いたことがあり、とても怖いです…。ソフロロジーでは、出産の痛みはどう捉えられているのでしょうか。

痛みって、普通は、「苦痛」と書きますよね。

痛みを、苦しいもの・嫌なものとネガティブに捉えると、どうしても、痛いのは怖い!避けられるなら避けたい!と思ってしまいます。

しかし、実は、全ての痛みが、ネガティブなものではありません。
ポジティブな痛みがある、痛みをポジティブにとらえる秘密があることを知ってほしいと思います。

ソフロロジーでは、陣痛は、赤ちゃんを産み出すための大切なエネルギーととらえられています。

私のクリニックで出産するお母さんたちは、

「陣痛は痛かった。でも嫌な痛みじゃなかった」
「痛いけど、受け入れられた。辛くなかった。乗り越えられた」
と、口々におっしゃいます。

お母さん達は、あの痛い陣痛があるからこそ赤ちゃんが元気に産まれる、と思ってお産に臨むのです。

-赤ちゃんを産み出すための大切なエネルギーという考え方は、初めて聞きました。痛いといっても、ただ辛い、怖いだけではないんですね。

陣痛というと、お母さんの痛みと思う人が多いと思いますが、実は、赤ちゃんにも陣痛が来ているんです。

-赤ちゃんにも陣痛があるなんて、知りませんでした!お母さんだけが痛くて辛い思いをする、と思っている人が多いのではないでしょうか。

自分だけが頑張って赤ちゃんを産んであげると考えると、やっぱり痛くて辛いですよね。

辛くて痛い陣痛を、一人で耐えて、乗り越えなければならないなんて…と、お産がスタートする時点で、気持ちも下がってしまいます。

しかし、赤ちゃんのほうがもっと痛くて大変だと知っていると、「大切な赤ちゃんを自分が守らなければ」と思うでしょう。

痛いのは嫌だ、という自分中心の考え方から、赤ちゃん中心の考え方に変わるのです。

すると妊娠中から、自然と赤ちゃん中心に物事を考えるようになり、赤ちゃん中心に生活を送ろうという習慣が身につきます。

これは赤ちゃんにとって必要?と考えていくと、陣痛も妊娠生活もポジティブに受け入れることができるのです。

出産を機に生まれ変わる!最高のポジティブ思考

-陣痛をポジティブに受け入れるということは、結局、「痛み」自体は変わらないのでしょうか…。
お腹が痛い、頭が痛いといった「嫌な痛み」しか経験したことがないので、「ポジティブな痛み」とはどんな痛みか、なかなか想像がつきません。

痛み = ネガティブなもの、とは限りません。

今まで経験した痛みで「嫌な痛み」だと思っていたものも、とらえ方次第かもしれませんよ。

例えば出勤したとき、先輩に「おはようございます」と挨拶をしたのに何も返ってこなかったら、どう思うでしょう?

「せっかく挨拶したのに無視された!私のことを嫌いなんだ…」と思い込みませんか?

「私は先輩に挨拶をした」「先輩は私に挨拶をしなかった」
—–この事実だけで、先輩に無視された、私のことが嫌いなんだ、と感じるのはとても飛躍的な考え方です。

もしかしたら、先輩は忙しくて「おはようございます」の声が耳に入っていなかったのかもしれません。

出来事をネガティブにとらえる人は、事実無根の想像をして、朝から暗い気持ちになってしまいます。これではもったいないですよね。

ポジティブな人は、自分が挨拶したいから挨拶しただけ、と、気にも留めません。

「私自身が一日を元気にスタートするために挨拶した」と考えると、挨拶が返ってきたかどうかは関係ないのです。

事実は同じですが、とらえ方ひとつで、一日のスタートがこんなにも違ってきます。

痛みも同じように、「嫌な痛みしか知らない」と思っている人は、痛みを「嫌なもの」として捉えてきただけなんです。
そこは、大事なポイントです。

-「出来事は捉え方一つ」、確かにそうですね! 痛み = 嫌なもの、というのも私の思い込みだったのかもしれません。

一言で「痛み」といってもいろいろですが、陣痛は必要な痛みです。

陣痛を嫌なものと思っていると、どう痛みを減らすか、逃がすか、ということばかり考えてしまいます。
しかし陣痛は敵ではなく、逃げる必要もありません。

陣痛は、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても必要なエネルギーなのです。

あの痛い陣痛があるからこそ、大事な赤ちゃんに逢えるんです。

それならば、赤ちゃんとお母さんの二人で、楽しく乗り越えてしまいましょう。

お産は、大切な赤ちゃんとお母さんとの人生最初の共同作業です。

あるがままを受け入れ、赤ちゃんとお母さんで、リラックスして乗り越えればいいんです。

この素晴らしいイベントを、赤ちゃんとお母さんの二人で乗り越えるのは、素敵なことだと思います。

-「痛み」= 嫌なもの、減らさなければならないもの、ととらえるのではなく、あるがままを受け入れる。
出産のイメージが少しずつ変わってきました。

今までは、痛い陣痛からどう逃れるか、抑えるかという議論ばかりで、妊娠中からどう赤ちゃんと過ごし、一緒に乗り越えたらいいかという議論は、されてきませんでした。

しかし、妊娠・出産・育児という流れから考えると、出産は通過点でしかありません。

やっと赤ちゃんを産んだんだから、これで陣痛が終わった~、助かった~、という気持ちにはならないと思います。

赤ちゃんと二人で乗り越えたから、元気に逢いに来てくれた。
うれしい!やり遂げた!赤ちゃん、ありがとう!という気持ちになるのです。

たなべクリニックの企業理念は、「育児こそ世界でもっとも重要な仕事である」です。

育児とは、小さな赤ちゃんを育てることだけでなく、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にやって来てくれた瞬間から、赤ちゃんの一生の期間を指します。

そして、その育児に携わる全ての人も指します。

そういった意味で、育児こそ、世界で最も重要な仕事なのです。

痛みに敏感で出産が恐怖…そんな私でも大丈夫?

-私は痛いのが大の苦手なので、ソフロロジーのとらえ方はとても魅力的に感じてきました!
でも、いざ陣痛が来ると余裕がなくなって、痛みから逃げたくなりそうです。痛みに敏感な人でも、落ち着いて出産できるのでしょうか?

もちろん、いきなり陣痛がやってきて、こういうふうにしたら痛みが楽になりますよ、とアドバイスされても無理ですよね。

ソフロロジー(うちのクリニック)で出産するお母さんは、あの痛い陣痛があるからこそ赤ちゃんに逢える、ということを妊娠中から分かって、赤ちゃんが逢いに来る日を楽しみに待っています。

赤ちゃんがお腹の中で育っていく間に、赤ちゃんへの想いも育てていくのです。

毎日、「誰に似ているかな?名前は何がいいかな?いつ会いに来てくれるの?お母さんの意見としてはこの日がいいなぁ」と赤ちゃんに話しかけていると、
お腹の中の赤ちゃんから見ても、お母さんはすでにお母さんになっています。

心も体も準備ができ上がった状態で陣痛が来るので、落ち着いて赤ちゃんを迎えることができるんです。

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