HSP（ひといちばい敏感な人）を正しく、そして朗らかでやさしいタッチで描くマンガ家・高野優さん。そこには「HSPを広めることで、変わる世界があるはず」との想いがあるといいます。
インタビュー最終回では、優さんが「HSPを広める先に目指す世界」について、お聞きしています。HSPもそうでない人も、笑顔で過ごせる社会とは？
記事の最後には、新刊情報と、高野優さんにプレゼントをおねだりできる特別企画も！
【聞き手：シュウ】
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※「HSP」の気質については、こちらの記事で詳しく解説しています！
インタビューのお相手（高野優さん）
詰め込んだのは、わたしのアンサー
――今回の新刊もまた、HSPのポジティブな面をしっかりと表現されつつ、基礎的な知識や対処法もわかりやすく説明されていて、すごく勉強になりました。内容がとっても濃いですね！ シリーズ第2弾でありながら、HSPの入門書としても最適な一冊だと思いました。
高野優さん（以下、高野優）：わぁ、ありがとうございます！ 嬉しいです。
一作目『HSP！ 自分のトリセツ』では、「HSP」という概念に出会えた驚きや喜びを主に描きました。今度の新刊では、その一歩先のお話をしたかったんです。
――より豊富な知識を蓄えられて、かなり具体的な内容にまで踏み込んでいらっしゃいます。
高野優：そうですね。夢中になって「HSP」を深掘りしたものですから。
五感の敏感さや、考え方のクセ、人付き合いの“HSPあるある”を描きました。今まで感じてきたモヤモヤに対する、わたしなりのアンサーを込めたつもりです。盛りだくさんになっちゃったかしら（笑）。
――読者にとっては嬉しい限りです！ クスクス笑いながら気軽に読めるのに、ボリュームもあって、しっかりと知識がつくような！ ……すみません、ついアツく語ってしまいました（笑）。
高野優：いえいえ、どうもありがとう。
知識が広まることで救われるのは、HSPだけとは限らない。
――今度の新刊は、どんな方に向けて描かれたのですか？
高野優：そうですね。まずはもちろん、HSPの皆さんに届いてほしいです。自分の敏感さに悩んだり、疑問に思ったりしている人に、「それはHSPの気質からきてるんだよ。だから安心してね」と日常会話で話せるぐらいに。私自身、すごく悩みましたから。
――「なぜHSPマンガを描くのか」というテーマで、詳しくお話しくださっていましたね。
（人気育児マンガ家・高野優が「HSPマンガ」を描くワケ）
高野優：はい。でもね、今回の新刊はHSPの方に加えて、ぜひとも「HSPじゃない方」にも手に取ってみてほしいという思いが強いんです。
――そうなんですね！ 一体どうしてでしょうか？
高野優：「HSP」を知ることで救われる人って、すごくたくさんいると思うんです。
わたしは子どもの頃、ひといちばい敏感な気質が親には理解されず、「ワガママだ」と怒られて怒られて……悲しい思いをしました。
高野優：今もどこかにね、昔のわたしのように悲しい思いをしている、「怒られ損」な子がいるんじゃないかなって思うんです。
――優さんのお子さんのお友だちにも、ひといちばい敏感な男の子がいて、「あの頃に知っていれば、もっとフォローができたのに」と。連載の中で、そのようなエピソードを語られていました。
高野優：はい。知っているかいないかは、本当に大きな違いです。もし周りの大人が「HSP」という言葉を知っていたら、「怒る」ではない対応ができるんじゃないでしょうか。
――「単なるワガママじゃない」とわかってもらえますね。
高野優：そうなんです。「ただ五感や心が敏感なだけ」とわかれば、勘違いもされずに済むし、その子自身も周りの人も、解決に乗り出せる。
高野優：たとえば、あるお母さんが「あれ、うちの子ちょっと他の子と違う？」って悩んだとしますよね。もしそこで近所の人やお友だちが「それ、ひといちばい敏感な子だからじゃない？」と教えてあげられたら、子どももお母さん自身も、安心できるんじゃないかな。
――たしかに！ つまり、HSPでない人にとってもモヤモヤが解消できるということですね。
高野優：その通りです。知ることで救われる誰かというのは、HSPに限らない。それに、みんなにとって、もっと良いことがたくさんあると思うんです。
HSPが心地良く生きられる社会は、みんなにとって心地良い。
高野優：たとえば、HSPが気にしてしまう、切れかけの蛍光灯のチラつきや、椅子が床と擦れるキィーッて音。それってよく考えたら、みんなにとって不快なものですよね？ もしくは「同じ部屋に怒鳴っている人がいる」状況とか。
――あぁ、わたしもすごく苦手です……。
高野優：そうですよね。だけどもし「HSP」の概念が広まって、「この状況がすごく苦手な人がいるなら、なくしていこう」というふうに、社会そのものが変わっていったら、それはHSPにとってもそうでない方にとっても、すごく快適な気がするんです。
――小さなストレスをなくしていくことで、みんなにとって生きやすい社会になるわけですね。
高野優：そうなんです。よく「赤ちゃんにやさしい町は、お年寄りにもやさしい。お年寄りにやさしい町は、赤ちゃんにもやさしい。」と言いますよね。
これと同じで、「HSPにやさしい社会は、みんなにやさしい」のだと思うの。そんな社会になったら素敵じゃないですか？
――おっしゃる通りですね。
高野優：社会はけっして「HSP vs 非HSP」ではないと思うんです。対立の構図をとったほうがわかりやすく見えてしまうけど、本当は、色々な気質を持った人たちが同じ社会に生きている。ただそれだけなんです。
――優さんのご家族も、皆それぞれ違った気質をお持ちだと、前作に書かれていたのが印象的でした。
高野優：そうなんです。もう、見事にバラバラで（笑）。
※HSS（High Sensation Seeking）……刺激探求タイプ
高野優：でも気質が違うからといって、仲良くできないなんてことは、全くないんです。たまたま別々の個性を持った4人が集まっていて、持ちつ持たれつ回っている。HSP、非HSPは関係なく。
……そもそも「非HSP」という呼び方も、ちょっとヘンですよね（笑）。
――たしかに。「非」とつくと、まるで優劣があるみたいですね。
高野優：そうですよね。だったら敏感度が「高い（Highly）」でHSPなら、「低い（Lowly）」でLSPとか、もっとトゲのない呼び方のほうが誤解はなくせると思う。……難しいですね！
――「LSP」ですか。新しい概念の誕生ですね！
高野優：ふふふ（笑）。
とにかく、HSPの方にもそうでない方にも、もっと快適に生きていってほしい。少し知識が増えるだけで、世界や自分自身の見え方はすごく大きく変わると思うんです。伝えることで、わずかばかりでも救われる方がいるなら、発信していきたい。
そんな想いで、わたしは今、HSPマンガを描いています。
＊＊＊
いかがだったでしょうか？
優さんのあたたかな“HSP観”に触れ、インタビューさせていただいたHSPの筆者も、自分のことを少し好きになれたような気がしました。自分のためにも、誰かのためにも、知ることで少しずつ、この世界を生きやすく変えていきたいですね。
高野優さん、ありがとうございました！
新刊マンガエッセイ発売決定！7月下旬予定
高野優さんの新刊『HSP！最高のトリセツ』を、いよいよ発売いたします。
悩みもストレスも、たちまち笑いと癒しに変えてしまう“高野ワールド”が今回も炸裂！ HSPを深掘りしたからこそ見えてくる、意外な解決策の数々も見どころです。
明橋大二先生（精神科医）との対談から、読者悩み相談コーナーまで、盛りだくさんの１冊。
優さんと一緒にHSPの世界を探検しながら、この新刊で、ぜひ“自分史上最高のトリセツ作り”にチャレンジしてみてくださいね。
ただいま表紙の案を鋭意制作中。次々と提案してくださる、高野優さんからの装幀のラフ画を特別にお見せしたいと思います！
気になる表紙の案を、ちょこっと公開
高野優さんにおねだりできる?! 読者が決める「プレゼント企画」
本を予約してくださる方に、恒例の「新刊キャンペーン」を実施いたします！
今回は「読者からの無茶ぶりOK！」との優さんのお言葉に甘えて、キャンペーン特典のプレゼント内容を、皆様のご希望から決めたいと思います。
「こんな特典がついたら嬉しい！」
そんなあなたのリクエストを、高野優さんが聞いてくれるかも？
無茶ぶり上等です！あなたが欲しい予約特典、聞かせてください♪
以下のフォームから、リクエストをお待ちしております！
インタビュー記事第1弾・第2弾はコチラ
高野優さんのHSPエッセイマンガ、第１弾はコチラ
ＨＳＰ！自分のトリセツ 共感しすぎて日が暮れて
高野優（著）
