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源氏物語③【帚木の巻・空蝉の巻】最高の貴公子、光源氏が身分違いの恋にアタック

貴族の男たちの恋愛談義「雨夜の品定め」

光源氏は17歳。正妻・葵の上とはぎくしゃくした仲で、ずっと継母の藤壺女御を恋慕しています。
五月雨の降り続く夜、親友で正妻の兄弟、頭中将(とうのちゅうじょう)や2人の男たちと恋愛談義になります。
有名な「雨夜の品定め」です。

貴族の女性を身分や家柄で3つに分けて、「中流層には意外に魅力的な女性が隠れている」という話になります。

その時の、「階層に分けても、時の流れの中でそれぞれの家の浮き沈みがあるから、固定したものではないだろう」という源氏の言葉は考えさせられます。

とは言いながらも、上流層の女性しか知らない光源氏は、興味津々で話を聞いていたのでした。

男たちは、出逢ったさまざまな女の話をします。
嫉妬深いけれどもひたむきに自分を愛して死んだ女、風流で好ましいと思っていたら浮気していた女、相当な才女であまりにも学問や理屈詰めで応じてくるので、辟易としてしまった女など、いろいろな体験談が披露されます。

頭中将は、ある内気で素直な女との間に娘まで儲けたのに、正妻を怖がり行方をくらました女性の話をしました。

結局、身分や容姿よりも、気立てがよくて家事や世間の付き合いを上手にこなす女性がいい、夫の浮気には「可愛いな」と思えるほどの焼きもちを焼く人が理想だ、という話で恋愛談義は終わりました。

空蝉の憂い

翌日、光源氏は「自分も未だ知らない中流層の女に逢ってみたい」と願いながら、紀伊守(きのかみ)の邸を訪ねます。
そこには紀伊守の、老いた父の後妻になっている空蝉(うつせみ)がいました。
興味を掻き立てられる源氏は、夜、彼女の部屋に忍び入ります。

空蝉は小柄で柔らかな風情の女でしたが、なかなか手折れない。必死になって、強引に口説き落とした源氏は、彼女の思慮深さに引き付けられるのでした。
しかしこの後、何度もアタックしますが、隠れられたり、薄い小袿だけ残して逃げられたり…。
若くて誇り高い光源氏の自尊心はこっぴどく傷つけられます。
この痛手は長らく引きずるのです。

ただ空蝉自身は、まだ独身の時であったなら…と切なく思うのですね。
美しく気高い光源氏に心は揺れても、あまりの身分の違いや、夫のある身であることを思うと、拒絶するしかなかったのです。

空蝉は父の死により入内(じゅだい)も叶わず、中流層の老いた男の後妻になった女性でした。
ままならぬ人生を憂いながらも、あるべき生き方を守って、ときめく恋心を封印したのでした。

作者の紫式部に一番近い女性ではないか、ともいわれます。

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※帚木(ハハキギ)は、遠目には箒(ほうき)を立てたように見えるが、近寄ると見えなくなってしまうという伝説の木。

※頭中将は長らく葵の上の「兄」とされてきましたが、本当は葵の上の「兄弟」としか分かりません。光源氏より4歳上の正妻の兄が、光源氏の親友、というのも合わないので、弟とする人が増えました。

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