自分よりも才能のある人、幸せそうな人を見ると、つい嫉妬してしまう心って出てきますよね。

「もっと素直に喜べたらいいのに」「なんて醜い心なんだろう……」とは思っても、相手が自分よりも評価されたり、周りからちやほやされたりするのを見ると、その心はますます強くなり、自己嫌悪に陥ることもあります。

そんな悪循環で自分や他人を傷つけてしまわないよう、今回は、有名な哲学者や心理学者たちも学んだ日本の名著『歎異抄(たんにしょう)』を通して、その“ねたみの心”を見つめてみたいと思います。

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周りと比べると出てくる、ねたみの心

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    他人がちやほやされるのを見ると、ねたましい心が出てくるね。

部活でのレギュラー争いや、運動会、テストの順位、好きな子の取り合いなど、子どもの世界も競争ばかりです。
周りの友達や、きょうだいと比べて、自分のほうが勝っていればうれしくなり、劣っていたら悔しくなります。

負けた悔しさやイライラを、相手よりもがんばるぞ! と努力するためのエネルギーに変換できれば理想ですが、現実にはなかなか難しいですよね。
そんなときに起きてくるのが、「ねたみの心」です。

なぜ「他人の不幸は蜜の味」になるのか

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    「勝るをねたむ」のが、ねたみの心の本質なんだよ。

たとえ親友であっても、相手ばかりが幸せだと、なんともいえない、いや~な気持ちになります。
人気者の優等生が、みんなの前で失敗すると、顔には出さなくても、心の中でニヤリとする心が出てしまう。
「ねたみ」とは、「勝るをねたむ」と言われるように、自分より優れている人に対して出てくる心です。

しかも、自分とは才能のかけ離れたアイドルやスポーツ選手なら、憧れの気持ちでいられても、その成功や幸せが自分の立場を脅かすようになってくると、とても素直には喜べなくなります。

相手が幸せを手にしているのは、それだけ勉強や練習にがんばった結果が返ってきているに他なりません。

自分も同じように幸せになりたいだけなのに、「どうしてあの子ばかりうまくいくのかな…」と相手の幸せが目につき、「こんな悔しい思いをしているのは、アイツのせいだ、何かひどい目に遭えばいい」と、不幸を願ってしまう。

そんな不条理に出てきてしまう「ねたみ」の心を、『歎異抄』では、私たちを煩わせ悩ませる「煩悩」の1つだといわれています。

どんな人も、ねたみの心は同じ

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    素直に出すか、出さないかの違いだけで、ねたみの心はみんな同じ。

「私だけが、こんな嫌な心を持っている…」と思うかもしれませんが、実はどんな人も変わりはありません。

外に出すか出さないかの違いだけで、自分よりも優秀な人、幸せそうな人に対して、「あの人は苦手」「なんとなく近づきたくない」と心がザワザワするのは、誰でも同じなのではないでしょうか。

また、ドラマやマンガで相手の幸せをあからさまに邪魔する登場人物がいたり、SNSでひどい悪口を書き込んだ話を聞いたりすると、「いくらねたましくても、あんなひどいことをするなんて……」と思うかもしれません。
ところが、自分の心の奥底を見つめてみると、やはり同じようなことを思っていることが知らされます。

もちろん、相手を傷つけないためにも、自分の立場を守るためにも、言動には気をつけ、ねたみの心を外に出さない努力をすることは、とても大切です。
しかし、だからといって、言葉や行動にさえ移さなければ、心で何を思っていても問題ないというわけではありません。

外に現れる言動よりも、目には見えないけれど、それを動かしている元が“心”だからです。

「人をねたむ気持ち」は、誰にでもある心です。
まずは、そういった心が自分にもあることを知り、ごまかさずに見つめてゆくことが大事だということです。

己を知ることは、そんな自分が本当の幸せになる道を知ることにもつながっていくのではないでしょうか。

心の本質に迫る名著『歎異抄』とは

子どものころ、ひそかに感じていた、素朴な疑問。
家族や学校の先生に聞いてみても、「まぁそんなものだよ」「考えてもどうしようもない」とごまかされて、モヤモヤした経験はありませんか?

大人になるにつれ、知りたかった気持ちにはフタをして、目の前のことに追われる毎日。
「心とは?」「人間とは?」「生きるってどういうこと?」
今さら人に聞けなくなってしまった人生のギモンが、700年前の日本の名著『歎異抄』には記されています。

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