4月13日は、歌人・石川啄木(いしかわたくぼく)の命日です。
啄木というと、国語の授業で習った歌が記憶に残っています。

はたらけど 
はたらけど 猶(なお)わが生活(くらし)楽にならざり
ぢっと手を見る

友だちと、この歌をそらんじながら、じっと手を見ていました。
「生きるのって、大変なんだな」と子どもなりに感じましたね。

こんな歌を残した、石川啄木はどんな人だったのでしょうか。
木村耕一さんにお聞きしました。

石川啄木「一握の砂」

──木村さん、石川啄木はどんな人ですか?

石川啄木は、幼い頃から体が弱く、父母に心配ばかりかけていました。

17歳の時、彼の短歌が文芸雑誌に掲載され、天才歌人と騒がれます。文学で生きていく夢を抱き、故郷の岩手から東京へ。

──天才歌人と騒がれたのですから、それで成功したのですね。

いえいえ。現実は甘くありませんでした。
作品は売れず、借金が増えるばかり。働いても、働いても、生活は楽になりません。

──人生って分からないものですね。啄木の歌に実感がこもっている理由がよく分かりました。

そうですね。

また、ある日のこと。

ふざけて母を背負ったら、あまりにも軽かった。こんなにやせ細るまで苦労をかけたのは、誰なのか。好きなことに没頭している自分は、どれだけ母のことを気にかけてきただろうか。

一度に知らされ、啄木は、歩けなくなってしまうのです。

たはむれに母を背負ひて 
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず (「一握の砂」より)

家族の支え

木村耕一さん、ありがとうございました。

母に苦労をかけてきた申し訳なさが伝わってきます。若い時は、周りを顧みずに、感情的に燃え上がり、好きな道に走りがちですよね。私も反省することしきり……。
自分勝手に振る舞ってきた私に、こうして今があるのは、家族の支えがあったなればこそと知らされ、感謝せずにおれません。

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