世界の“イガイ“なことわざシリーズ #4

  1. 人生

「猫を染めて売る」!?タイのことわざから学ぶ人生哲学

「微笑みの国」タイのことわざとは?

世界のことわざも3か国目になりました!
今回取り上げるのは、親日国として有名な「微笑みの国」タイのことわざです。
観光地として人気のタイですが、移住先としても人気があるのだそうです。

タイに進出している日本の企業は多く、そのままタイに移住してしまう日本人も年々増加しているようですね。
日本の食品を扱うスーパーやチェーン店が多くあり、病院も日本語が通じるため、住むのに困らないことが要因の一つとしてあるのだとか。
定年後、移住先にと考える人も多いと聞きます。

人柄もよく、住みやすく、魅力的な文化がたくさんあるタイ。
今回はそんなタイのことわざを紹介していきます。

施しがみんなの日常!仏教国・タイ

タイのことわざを紹介する前に、タイという国について見てみましょう。

タイが仏教国であることはよく知られています。
タイの憲法には国王は仏教徒でなければならないと定められており、その影響もあってか国民の9割以上が仏教徒。
寺院は約3万、僧侶の数は約30万人と言われます。
テレビなどで、黄衣を身にまとった僧侶がタイの街中を歩いている光景を見ることも多いですよね。

そんな仏教が根付いているタイでは、よいことをすればよい結果が来るという仏教の教えが国民の間で定着しています。
特に僧侶に施しをすることはよい行いとされていますから、タイの人々は日常的に食べ物や衣服などを僧侶に施しています。
また、恵まれている人が貧しい人に施しをすることもよいことだと教えられているそうです。

国王は教えに基づいて施しを実践し、積極的にタイ社会への貢献を行っているため、国民は国王を大変尊敬しています。
タイの社会全体が、仏教を基礎として形作られていることがわかりますね。

タイの合言葉「マイペンライ」

仏教の教えを行動基盤としているからか、タイの人は温厚で親切な人が多いと言われます。
タイ人はみんな、小さいころから「相手に対して怒ってはいけない、微笑みなさい」と教えられるそうです。
その影響もあり、どんな場面でも微笑む習慣ができているのです。
微笑みの国」と言われるゆえんでしょう。

また、タイ人は「マイペンライ」(大丈夫)という言葉をよく使います。
「細かいことは気にしない」という意味を持つ言葉で、何か迷惑をかけられても基本的には「マイペンライ」で許してくれるのだとか。
ただ、自分が相手に迷惑をかけたときにも「マイペンライ」を使うそうなので、日本人にとっては戸惑いを覚えるところかもしれません。
争いを好まず、温和に解決したいという思いの表れなのでしょうね。

誰でも、争いたくはないと思うもの。
人柄が穏やかなタイだからこそ、住みやすいと感じる人が多いのかもしれません。

足跡を測ったら恩知らず?タイのことわざ

では、仏教国のタイにはどのようなことわざがあるのでしょうか。
タイのことわざを紹介します。

仏像の背中に金箔を貼る

  • 意味
    • 人の目につかないところで良い行いをすること。
  • コメント
    • 仏像が出てくるところがタイらしいことわざですね。
      日本では「縁の下の力持ち」ということわざにあたります。
      タイでは寺参りの際、仏像に金箔を貼る習慣があるそうですが、
      背中は人目につかないことから、このようなことわざができたと言われています。

潮が満ちたら急いで水を汲め

  • 意味
    • 絶好の機会だと思ったら、それを逃さずにすぐに取りかかるべきということ。
  • コメント
    • 「思い立ったが吉日」と同じ意味のタイのことわざです。
      水道がなかった時代、タイでは川や運河から水を汲みあげて生活用水にしていましたが、普段はきれいな水ではありませんでした。
      満潮時にはきれいな水を汲めることから、このように言われています。

足跡を測る

  • 意味
    • 親不孝、恩知らずということ。
  • コメント
    • 目上の人の足跡の大きさを測り、いつか自分の足も同じ大きさになって、その人と肩を並べ、追い越してやるぞ、と自分を鼓舞することを表すタイのことわざです。
      タイでは尊敬すべき対象に対して、「追い越してやるぞ」と考えるのは恩知らずだと言われるため、このような意味になりました。

猫を染めて売る

  • 意味
    • 値打ちのないものを価値があると偽ること。
  • コメント
    • 日本のことわざでは「看板に偽りあり」でしょうか。
      タイでは三毛猫が高額で売買されていたため、他の猫の毛を三毛猫のように染めて売ることもあったのだとか。

コブラの喉に手を入れる

  • 意味
    • 権威のある人から物を盗んだりだまし取ったりしようとすること。
  • コメント
    • 「大胆不敵」ということわざがありますが、コブラが出てくるあたりがタイらしいですね。
      言葉だけでもヒヤヒヤします。

水を形にこねる

  • 意味
    • 作り話をすること。
  • コメント
    • 液体を形にするのは不可能だという考えから、このような意味になったのですね。
      タイは暑い国なので、昔の人は氷を知らなかったそうです。
      タイならではのことわざですね。

タイのことわざに学ぶ!自分が得をする一番の近道

ここまで、タイのことわざを紹介してきました。
タイには他にこのようなことわざもあります。

下手な踊りはピーのせい太鼓のせい
⇒自分の失敗の原因を全く関係のない人のせいにすること。

ピーというのはタイの笛のことだそうです。
つまり、「演奏が悪いから自分の踊りが下手に見えるんだ」と言っている様子を表したことわざです。

第3者としてこういった場面を見ていると、おかしなことを言っているなあと思います。
ところが自分が当事者になると、恥をかきたくないの思いから、やはり人や環境のせいにしてしまうのです。
明らかに自分に失敗の原因があっても、当事者にはなかなか受け入れがたいものではないでしょうか。

しかし、人のせいにしていたら、いつまでたっても踊りは上手になりません。
自分の失敗を認めるのはとてもつらいことですが、しっかり失敗と向き合って改善すれば結果的に得をするのは自分自身なんですよね。

ほかにもある!世界の意外なことわざ

タイのことわざからも学べることがたくさんありました。
他の国のことわざではどんなことが学べるでしょうか?

以下のリンクからお読みいただけます。

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まとめ

争いを好まず、人々が日常的に施しをしている国、タイ。
マイペンライの精神から日本人以上に穏やかで温かい人柄を感じます。
しかしそんなタイの人でも、自分の失敗を人のせいにしてしまう心があると、タイのことわざを通してわかりました。

幸せになるのも、不幸になるのも、すべては自分の行い次第。
タイのことわざを反面教師に、失敗とちゃんと向き合って向上できる人でありたいですね。

参考文献

『タイ語のことわざ・慣用句』(シリラック・シリマーチャン/大滝ミナ子)

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