1. 人生

三人寄れば無責任!?中国のことわざ・格言から学ぶ人生哲学

ことわざや格言、故事成語の宝庫・中国

世界一の人口、4000年の歴史、広大な国土。
なんと言っても、スケールの大きさが桁違いの中国。

故事成語をはじめとした中国発祥の格言やことわざは日本にも多く伝わっていますね。
三顧の礼、四面楚歌、背水の陣。
いずれも、『史記』『三国志』などに記された出来事がもとになってできた格言です。
言葉の背景にある物語を知ると、より深みが増すようですね。

中国のことわざには長い歴史に根差した智恵があり、現代の私たちも学ぶことばかり。
今回は、そんな中国のことわざを紹介していきます。

同じ国なのに価値観が違う?中国文化の多様性

中国の国土は日本の約25倍です。
そのため、地域によって国民性や習慣、料理、言葉なども大きく異なるのだとか。
主要な漢民族以外にも50以上の少数民族が暮らす国としても有名ですね。

日本では地域を東と西で分けられたりしますが、驚くほどの違いはありません。
方言などで多少言葉の違いはあっても、意思の疎通はできます。
食べるものや文化も、基本的には共通しているのです。

一方、中国では同じ国内でも、南北で大きく異なると言われます。
言葉の違いはもちろん、文化や食事も同じ国とは思えないほど異なるので、価値観を共有するのはなかなか難しいことだそうです。
中国は多様な文化が共存している国なのですね。

言いたいことはハッキリ明確に!ストレートな中国人

広大な土地を持ち、多様な文化が共存している中国ですから、国民性と言ってもひとくくりにはできないでしょう。
ただ、よく言われるのは、中国の人は思ったことをストレートに言葉にする傾向があるということです。

日本の私たちは、「察する」「空気を読む」ことが重視され、ハッキリと言葉にすることが苦手な人も多いのではないでしょうか。
それは、どこに住んでいても、ある程度同じ価値観を共有している日本人ならではの文化なのかもしれません。

中国は様々な文化の人たちが共存する国ですから、そもそも価値観が違っているのです。
その中でいくら察してよと言っても通じないのは無理のないこと。
はっきり言葉にしなければ、分かり合えないことも多いでしょう。

中国において、「思ったことをはっきり言う」「分からないことは質問する」というのは、とても必要な能力であることが分かりますね。

「三国志」で有名なあの人も登場!中国のことわざ

では、中国にはどのようなことわざがあるのでしょうか?
いくつか印象的なことわざを紹介します。

痩せ細ったラクダでも馬より大きい

  • 中国語
    • 瘦死的骆驼比马大
  • 意味
    • 金持ちはいくら落ちぶれたといっても並の人よりは持っている
  • コメント
    • 日本語でいうと腐っても鯛という意味ですね!

イタチがニワトリに新年の挨拶をする

  • 中国語
    • 黄鼠狼给鸡拜年
  • 意味
    • よからぬ考えを持ってにこやかに人に接近する
  • コメント
    • イタチは普通、ニワトリを食べてしまう動物です。下心がありありと見えますね。

曹操の話をすると曹操が現れる

        

  • 中国語
    • 说曹操曹操就到
  • 意味
          

    • 誰かの噂をしていると、ちょうどその人がやってくる
  •     

  • コメント
          

    • 日本語で言えば、噂をすれば影が差すということですが、『三国志』の登場人物である曹操が登場するあたりが中国らしいです。

三人の皮職人は一人の諸葛亮に匹敵する

  • 中国語
    • 三个臭皮匠顶个诸葛亮
  • 意味
    • しがない皮職人でも三人集まって相談すれば、一人の知謀の軍師諸葛孔明に負けない智恵が出る。
  • コメント
    • こちらのことわざには曹操と同じく『三国志』の有名人、諸葛孔明が登場していますね。日本のことわざで言えば、三人寄れば文殊の知恵にあたります。

三人寄れば無責任

  • 中国語
    • 三个和尚没水喝
  • 意味
    • 自分で責任を負わないため、人が多くなるほど無責任でうまくいかないたとえ。
  • コメント
    • 先程は三人集まるといい智恵が出るということわざでしたが、ここでは無責任に流れると言われています。
      中国の人は行動力があるために、個人で動くことが多く、協力して物事を進めるのが得意ではないのだとか。
      だからこそ、人数が集まると「他の人がやってくれるだろう」と、人任せにしてしまうということなのですね。
      他の人をあてにしてしまう気持ち、よくわかります。

ここに銀貨三百両なし

  • 中国語
    • 此地無銀三百両
  • 意味
    • 隠そうとしてかえって正体を暴露してしまうこと。
  • コメント
    • このことわざの背景にはある農民のエピソードがあります。以下で紹介します。

農家の張三という名の男がコツコツお金をためて、ついにその金額が銀三百両に達した。
ところが、大金を持ってしまったことで、取られやしないかと夜も不安で眠れない。

そこで、張三は家の後ろの垣根の下に大金を埋めることにした。
それでもまだ心配だった張三は、大金を埋めた箇所の上に「ここに銀貨三百両はありませんよ」と貼り紙をした。
これで安心した張三はぐっすり夢の中。

ところが、その張三の様子を隣人の王二という男がこっそり覗いていた。
張三が何やら埋めていたところを見てみると、「ここに銀貨三百両はありませんよ」の文字。
もちろん、王二がその場所を掘り返したのは言うまでもない。

ところが、王二は王二で自分が盗んだということがばれてしまわないかとやはり眠れない。
そこで、王二は「ここに銀貨三百両はありませんよ」の隣に更に貼り紙をした。
隣の王二は盗んでいませんよ」と。

この話から、自分の秘密を隠すために用いた方法が逆に秘密を明るみに出してしまったことを表すことわざになりました。
笑ってしまうような話ですが、現実にはこの話を笑えない例もたくさんあるかもしれません。

恩は忘れやすいからこそ岩に刻む心がけを

ところで、中国にはこのようなことわざもあるそうです。

経を読み終わったら和尚を殴る
念完经打和尚
⇒人に頼むだけ頼んで、目的を達したら恩義を忘れてしまうこと。

私たちは、自分が他人にしてあげたことはよく覚えています。
ところが、他人にしてもらったことは驚くほどあっさり忘れてしまうものではないでしょうか。

最初は恩を感じて「なにかお礼をしなければ」と思っていても、時間が経つごとに出し惜しみするようになってきます。
そしてついには、してもらったことを忘れて文句を言いだす、なんてことも…。
このことわざを聞くと、「なんてひどい!」と思いますが、振り返ると人のことは言えないなあと反省するばかりです。

受けた恩は岩に刻め」という格言もあります。
自分がつつがなく暮らせているのは誰のおかげなのか。
仕事で成功できたのは誰の協力があってのことなのか。

どんなことにも、陰ながら支えてくれている人の存在があるはずです。
そういう人たちへの感謝を常に忘れずにいたいものですね。

まとめ

同じアジアでも、日本とは文化も国民性も異なる中国。
ただ、昔から伝えられてきたことわざは、国が違っても納得するところばかりでした。

悪いことだと分かっていても、気づけばそのようになってしまうからこそ、昔からことわざや格言・故事成語で戒められてきたのでしょう。
「恩を仇で返す」ようなことがないように、心がけていきたいと思います!

参考文献

・『中国語ことわざ用法辞典』(金丸邦三,孫玄齢)
・『中国ことわざばなし』(楊逸)
・『中国のことわざ』(千野明日香)

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