5人に1人の敏感タイプ=HSPとは? #6

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無理な環境で頑張りすぎないために。HSPの4つの特性「DOES(ダズ)」を知ろう

『生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン』の著者、高木のぞみさんがつづるHSPシリーズです。
今回は、多く寄せられている「HSPのチェックテストをしてみたけれど、自分がHSPなのかハッキリしない」という声に応えます。

HSPチェックリストをやってみて、「11個以上当てはまるけど、本当にそうなのかな?」「HSPって言っていいんだろうか?」と不安に思われた方はないでしょうか。

※HSPのチェックリストはこちら↓

HSPチェックテスト

反対に「10個以下だけど、違うのかな?」と思われた方もいるかもしれません。

そのような方に、HSPをより深く知っていただくために、HSPのDOESから解説したいと思います。

HSPを提唱されたエレイン・アーロン先生は、HSPの根底には4つの面(DOES)があり、4つのうち一つでも当てはまらないなら、おそらくHSPではないと言われています。

その4つの面とはどんなことでしょうか。

HSPには4つの特性「DOES(ダズ)」がある

DOES(ダズ)というのは、

  1. Depth of processing:深く処理する
  2. being easily Overstimulated:過剰に刺激を受けやすい
  3. being both Emotionally reactive generally and havinng high Empathy in particular:全体的に感情の反応が強く、特に共感力が高い
  4. being aware of Subtle Stimuli:ささいな刺激を察知する

の頭文字で、DOESです。

一つずつ詳しく見ていきたいと思います。

(1) D:深く処理する

これは「常に考えごとをしている」ともいえると思います。
頭の中にある膨大な引き出しを探し回っている、ずっと辞書を引いている、というような感覚です。

  • 常に最悪を想定して行動する
  • 1を聞いて10、場合によっては100くらい考えられる
  • 何かを決める時に、他に選択肢はないのか一とおり考え尽くさないと決められない
  • 相手の反応を見て自分のせいだと思いがち
  • 妄想がひたすら広がる

(2) O:過剰に刺激を受けやすい

深く考えるからこそ、刺激を受けやすいともいえる性質です。

  • 10のことを100と受け取る
  • イベントが終わると寝込む
  • キャパオーバーになりやすい
  • 感動しやすい、涙もろい
  • カフェなどの騒音がひどい所にいられない、そわそわする
  • チクチクする素材などを着ると落ち着かない
  • 薬の副作用が出やすい

(3) E:感情反応が強く、共感力が高い

人に起こっていることを、自分に起こっているかのように疑似体験をしやすい特性だと思います。

  • 人が怒られていることを自分のことのように感じる
  • ピリピリした職場やイライラしている人がいると、息がつまる感じになるくらいつらい
  • 人を平気で傷つける人がいると、怒りが収まらない
  • 痛みやつらさが分かりすぎて、よく人を助けようとしてしまう
  • 映画やニュースの映像やセリフを受け取りすぎて、生活に支障がでるくらい落ち込むことがある
  • 人混みに行くと、まったく知らない人の個人情報をいつの間にか知っていることがよくある

(4) S:些細な刺激を察知する

ささいな刺激は、本当にささいなものでも、気づくとけっこう気になって、脳が疲れる原因にもなる。そんな特性だと思います。

  • 天気 気圧の変化が体調に出る
  • 人の髪型、体調、ストレスの変化に気づく
  • 添加物の多い食品を食べると具合が悪くなる
  • ささいな匂いに酔ってしまう
  • 四季の移り変わりなどの自然の変化にすぐ気づく

これら4つの特性すべてが存在していたら、おそらくHSPで間違いないと思います。
ただ、上記の具体例はあくまで私の感覚であり、HSPの人の数だけ表現は変わると思います。

DOSはあるけど、Eの共感はそこまでじゃないとか、DOEはあるけど、Sはそれほどではない、そんなに敏感には察知しないと思われる場合は、HSPではない可能性が高いです。

HSPの特性を知って活かしていこう

HSPは、現代社会においては、生きづらい性格かもしれません。 「知らなきゃよかった」と思うことまで気づいてしまうことが、少なくないからです。

人間関係でいうと、人混みでたくさんの情報を拾ってしまって疲れやすかったり、多くの人の気持ちに共感してしまって困ったりすることがよくあります。

でも、「生きづらさ」もHSPの特性の一面です

その反面、変化によく気づけるので、人と仲良くなりやすかったり、自分の大切な人が悲しんでいることに気づくことができたりしますので、ものすごい強みにもなる、ということも知っていただきたいなと思います。

例えば、感情の幅や度合いも、より大きいので、ニュースや映画の刺激に圧倒されることもある一方で、お気に入りのセリフや場面をひたすら頭の中で反芻して何度でも感動できます。

特に自然や、きれいなものに触れた時には、感情が大きく動き、夕焼けや青空、星空などは、吸い込まれそうな感覚になり、それだけで癒やされたりもします。

また、お店の店員さんの笑顔やちょっとした優しさに触れると、それだけで「今日はいい日だったなぁ」と喜べることがよくあります(単純なだけかもしれませんが…)。

だから、HSPの敏感さは、そんな日常のささいなことにも喜びを感じられる特性、ともいえると思います。

大事なのは、どんな環境に身を置くか

このようにいい面も悪い面もあるHSPは、「自分の力を発揮できる環境」と「力を発揮するどころか萎縮しすぎて何もできない環境」の差が激しいのではないかと思います。

育った環境や学校の友達、職場などからの影響も、人一倍受けやすいといわれます。

みんながみんなを認め合えるような、ホッとできる環境であれば、そのいい面を人一倍受け取ることができます。

しかし、敏感さを
「考えすぎじゃない?」
「気にしすぎだよ」
と言われ続けて、自分の感覚を否定される環境にいると、自分がおかしいんじゃないかと思い込んでしまう人も少なくないと思います。

私のように、大人になってからうつ病になったり、精神疾患を患ってしまうこともあるかもしれません。

例えば、冷たい物を触って「冷たい」と言っているのに、周りの人が口を揃えて、「違うよ、それはあったかいんだよ。冷たいって感じるあなたがおかしいんだよ」と言われ続けたらどうでしょうか。

現に冷たく感じているのに、周りが否定してくるとなれば、最初は「この人たち、何言ってるの?」と反発する気持ちがあったとしても、次第に「やっぱりおかしいのは私?」と自分の感覚が信じられなくなってきます。

「こんなに否定されるのは、自分がおかしいからだ」と思うようになって当然かもしれません。

反対に、「これは確かに冷たいよね、分かるよ」と共感してくれる人が身近にいたり、「あなたはこれは冷たく感じるんだね。そう感じるあなたがおかしいんじゃないよ」と否定しないで認めてくれる人がいたりする環境であれば、「周りとは違う感じ方だけど、私の感覚も本当だよね」と安心できるのではないでしょうか。

このように、どの環境に身を置くのかがHSPにとっては特に大事だと思います

環境が合わないなら逃げることも選択肢に

そして、環境の影響を受けやすいからこそ、合わないと思ったら、逃げてほしいと思います。

2016年に大ヒットしたドラマ『逃げ恥』で有名になった「逃げるは恥だが役に立つ」というハンガリーのことわざがあります。
「自分の戦う場所を選べ」という意味だそうで、逃げることも視野に入れて、自分の得意なことが発揮できる場所に行こうというもの。

HSPは環境の変化があまり得意ではなく、我慢も無理もしがちだと思います。
だから、選択肢に逃げることがあったほうがいい、無理な環境で頑張りすぎて壊れてしまうくらいなら、逃げることは本当役に立つと、身をもって感じています。

また、小説『西の魔女が死んだ』で不登校になった孫娘が、いじめられていたことを話す場面。おばあちゃんのセリフにとても勇気をもらえます。

自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、後ろめたく思う必要はありませんよ。

サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。

シロクマがハワイより北極で生きるほうを選んだからといって、誰がシロクマを責めますか。

自分が楽に生きられる場所を求めることは、悪いことではなく、むしろ特性を活かして自分らしく生きていくために大切なことです。

自分を責めるのは、もうやめましょう

HSPの敏感さで悩む人に、声を大にして言いたいことは、周りが何と言ったって、「あなたが感じていることは事実」ということです。

つらい、苦しい、悲しい…。

周りは「何でそのくらいで」と言うかもしれません。

「あなたが考えすぎなんだ」
「悪く捉えすぎなんだ」
と言ってくる人もあると思います。

ですが、HSPの感じ方は、「悪いほうに悪いほうに考えようとして、そう感じる」のではありません。
瞬時にそう感じてしまうんですよね。

だからもし、「自分はつらい、悲しいと感じるけど、分かってくれる人がいないから、そうと感じる自分がおかしいんだ、弱いのだ」と責めていたとしたら、もうやめましょう

マイナスな気持ちも、
「今はつらいんだよね」
「今はそう感じているんだね」
と、そのまま受け止めていけばいいと思います。

周りが何と言ったって、最後に味方になれるのは、あなた自身です。
そう感じる自分を認めて、分かってあげてほしいなと思います。

生きづらさを少しでも和らげる対策

人一倍敏感に感じてしまう特性が、生きづらさの一因になっていると気づくと、「じゃあどうすればいいの」と思われますよね。

「感じるのをシャットアウトすればいいのでは」と言われることもあるのですが、感じるレベルを下げることは、なかなかできません。

そこで、私が毎日の生活の中で実践している対策を挙げてみたいと思います。

対策① 自己肯定感を育てるレッスン

自分で自分をほめ、認めていけるようになることが何よりも楽に生きていける近道でした。

  1. 人と比べそうになったら、1カ月前、1年前の自分と比べる
  2. できなかったことは考えない、できていることだけに注目する
  3. できて当たり前のレベルを下げる

この3つのことを意識して、自分をほめていくと、時間はかかりますが、だんだんと「私は私でいいんだよね」と思えるようになります。

対策② 10のことを100と受け取っている事実に気づく

例えば人に何かを言われて、ものすごく落ち込んでしまった時。

ここまで落ち込むのは、HSPに特有のことで、それは20%の人だけです。
本当は10しか言われていないのに、100と受け取っているのかもしれないと、自分を客観的に見てみることです。

私はショックを受けた自分の気持ちに、あえて、
「本当にそうなのかな?」
「そうまで思っちゃうのはよくないんじゃない?」
と疑問を投げかけることで、10しか言われていないのに、100と受け取ってしまったんだな、と気づくこともあります。

すると、「私は恐怖を感じるくらいショックを受けてしまったけど、実際、あの人はきっとそんなことまで考えて言ったんじゃないよね」と少し冷静になれます。

対策③ 境界線を引く

人混みに行くと、まったくの他人で、会話をしたわけでもない周りの人の、(何を思っているかまでは分からなくても)悲しみや怒り、戸惑いなどの感情を、わが事として受け取ってしまうことがよくあります。

家に帰ってから、自分の身に悲しいことや、怒るようなことが起きてないのに、何でこんなことになってるのかと驚くこともあります。

そういう時に、「どうしたの?」と自分の心に寄り添っていくと、「あの時、隣に座っていた人の、笑っていたけれどどこか寂しそうな様子が心配」とか、出てくるわけです。

そういう時は、「もらっちゃったんだね、でもそれは私のことじゃない。あの人もきっと大丈夫」と境界線を引いて考えてみると、ふっと軽くなります

「これはあの人の問題だよね、はい終了!」と区切る、線を引く。
これができるようになるためには練習が必要ですが、だんだんと線を引けるようになります。

「冷たいんじゃないか」と悩んだこともありましたが、これは、自分を守り、人も大切にするための、絶対に必要なラインだと思います。

対策④ ダウンタイムをとる

ここまで書いたように、いいことも悪いことも感情がものすごく揺れる、情報で頭がいっぱいになるのがHSPです。
だからこそ、脳を休める時間を取ることが大事だと思います。

ただ、「脳を休めるってどういうこと?休むのが苦手なんだけど」という方もいると思います。

人によって変わると思いますが、いちばんは「ホッとできることをやる」ことじゃないかなと思います。

ヨガや瞑想、アロマ、散歩、音楽、塗り絵など、何でもいいんですが、頭を空っぽにして集中できることがいいんじゃないかなと思います。

私の場合は、ブログやノートに気持ちを書き出して、何が不安なのか心を整理し、瞑想をしながら、ちょっと離れたところから自分を観察するのが効果的でした。

自分に合うやり方をぜひ見つけてほしいなと思います。

まとめ

HSPとはどんな特性を持っているのか、私の世界観からお伝えしてきました。

私のこれまでを考えてみても、人一倍の敏感さが、「生きづらさ」として前面に出てしまうか、「強み」となるかは、「自己肯定感」によるところが大きいと感じています。

自己肯定感を育てつつ、自分にはどんな環境が適しているのか見極めて、できるところから環境を整え、合わないなら逃げることも視野に入れて、やわやわやってくのがいいんだなと思っています。

今が生きづらいのは、あなたが悪いんじゃないし、弱いのでもない
それだけ我慢して頑張って、生きてきたのですよね。

そんな自分の特性をよく理解して、これからは少しでも楽に自分らしく生きていける人が一人でも増えるようにと、願わずにいられません。

生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン

生きづらいHSPのための、自己肯定感を育てるレッスン

高木のぞみ、高木英昌(著)

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