内容紹介

国民文学作家として多くのファンを持つ吉川英治。作家としてのスタートを飾った記念すべき作品『親鸞』を、1万年堂出版の吉川英治シリーズ第1作としてお届けします。
大きな活字で味わいたい、という読者の要望に応え、文庫本ではなく単行本で、読みやすさにこだわりました。美しい装丁と、ソフトなカバーも好評です。
親鸞の生きた時代に引き込まれるような名文を、お楽しみください。

(3巻のあらすじ)

「生れかわった1日ごとの新しい呼吸であった。範宴(のちの親鸞)は死んで、範宴は生れたのである」
範宴は、20年も学んだ比叡山を下りて、京都・吉水の法然上人の門に入り、綽空(しゃっくう)と名を改めた。
まもなく不退の決意で玉日姫と結婚。全ての人が、ありのままで救われる教えがあることを示すためであった。
浄土仏教が説かれる吉水へは、日ごとに参詣者が増えていった。急速な発展を妬んだ伝統仏教の各宗派からは、「念仏停止」「吉水を弾劾せよ」の訴えが、朝廷へ出された。
緊迫した状況の中で、若い2人の女性がとった意外な行動が、大事件に発展していく。仏教史上、例を見ない過酷な弾圧の始まりであった。

第1巻第2巻第4巻も好評発売中。

目次

恋愛篇

門/吉水夜話/屋根の下/岡崎の家/火焰舞い/春信佳便

 

同車篇

熊野犬/不退の輦/浄土万華

 

法敵篇

氷柱の下/春雷/宣戦/沙門の妻/輦を焼く/ 風やまず

 

悪人篇

松虫と鈴虫/空蟬/あの灯・この灯/有閑宮/脱走/葉隠れの花

 

解説 親鸞聖人を学ぶ

(1)「肉食妻帯」の真相
なぜ、激しい非難を覚悟してまで、公然と結婚されたのか

(2)「体失不体失往生の諍論」の真相
弥陀の救い(往生)は、「生きている時」か、「死んだ後」か

(3)「信心同異の諍論」の真相
他力の信心は、どんな人も皆、同じ信心になるのか、学問や経験によって一人一人異なるのか

(4)「信行両座の諍論」の真相
阿弥陀仏の本願には、「念仏」で救われるのか、「信心一つ」で救われるのか