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HSPを否定しない生き方へ-生きづらさに向き合い、受け入れる方法。5人に1人の敏感タイプ=HSPとは(2)

HSPの私は、幼いころから緊張感の中で生きてきました。 その緊張が解けないまま頑張り続けてしまった結果、大学生の頃にはうつ病を発症し、休学となりました。

それでも夢だった仕事をあきらめられなくて、なんとか大学を卒業し、就職もしました。 しかし、生きづらさとの向き合い方が何も身についていなかった私は、うつ病を再発。この時ほど「絶望」を感じたことはありませんでした。

ところが、その休職が転機となったのです。

どのような心境の変化があったのか。そこには生きづらさと真正面から向き合えるようになったヒントがありますので、詳しくまとめてみたいと思います。 ※HSP(Highly Sensitive Person=人一倍敏感な人)

生きづらさの原因は「心の弱さ」ではなかった

休職となった時、通っていた心療内科の先生から、「休職したからには、今度こそちゃんと休んで、先のことは良くなってから考えよう」と言われました。

また、「幼い頃のことを思い出してみるのはいいことだと思うよ」とも。

そして、一枚のチェックリストを差し出されました。HSPのチェックリストでした。

やってみると9割以上に該当。自分の感じてきた恐怖感は、心の弱さや甘えではなく、HSPだったからかもしれないと、少しほっとしたのを今でも覚えています。

しかし「敏感なところはどんな人にもあるし、それでも頑張っている人もいるんだから、HSPという概念に甘えてちゃいけない」という思いは消えませんでした。

その時はまだ、HSPと分かっても“受け入れる”ことはできなかったのです

ぼう然とした日々を過ごす中で、ふと先生の言葉を思い出し、幼い頃からの出来事やその時の環境を年表のような形でノートに書き出してみました。

すると、突然、感情が爆発したように次から次へと記憶がよみがえったのです。小さな女の子が悲鳴をあげて泣いている。その声は私の内側から噴き上がってくるような感じでした。

それからはHSPのことをもっと詳しく知りたいと、関連する本やブログを読みあさる日々が始まりました。

HSPを正しく知るだけで、考え方が180度転換

エレイン・N・アーロン博士の『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』という本に行き着きました。読んでみて、「あぁ、それ分かる」と安心感から体の力が抜けました。

自分がいろいろなことに耐えられなかったことは、HSP特有の敏感さによるものなんだと受け入れることは、すべてHSPのせいにしてしまう「甘え・逃げ」なのではないかと感じていました。そんな私にとって、この本は衝撃でした。一部をご紹介します。

たいていの人は、サイレンの音や、まばゆい照明、変な匂い、ごった返した人の波などを無視することができる。だが、HSPにはそれができないのだ。~中略~

たいていの人は、部屋に入ると、家具やそこにいる人に目がいく。せいぜいそれくらいしか気づかない。ところが、HSPは一瞬にして、自分がそこにいたいかどうか、その場の雰囲気は自分に友好的か敵対的か、空気は新鮮かよどんでいるか、花を活けた人はどんな人柄かなどということまでを察してしまう。

もしあなたがHSPで自然にこういうことを察知していても、それが特別な能力だとは思っていないだろう。自分の中で起こっていることは他人と比較できないからだ。あなたが気づくのは、自分は他の人よりもいろんなことに耐えられない、ということだけ

あなたは実は、高い創造性、洞察力、情熱や思いやりなど、社会が高く評価しているものを持つグループに属しているのだが、そんなことは思いもよらない。これはひとつのパッケージなのだ。私たちの特徴である敏感さは、用心深さ、内向性、ひとりでいる時間の必要性などと一緒にセットになっている。

世の中の大多数を占める「敏感でない人々」は、私たちを臆病で、恥ずかしがり屋で、意気地がなくて、非社交的だと見なすこういうレッテルを貼られたくないから、私たちは他の人と同じように振る舞おうとする。しかし、そうすることで神経が高ぶり、苦しくなってしまい、今度は、まわりから神経症的だとか気が違っているなどと思われるようになり、最後は自分でもそうだと思い込んでしまうのだ。

出典 エレイン・N. アーロン(2000).『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』講談社

幼い頃から日々感じてきた恐怖感は、みんな同じように感じていると思っていました。しかし、HSPではない人は同じように感じていないのだと知った時、本当に驚きました

この本に書かれているHSPの特性には「本当にそうだな」とうなずいてしまうものばかりでした。でもそう感じているのは、個人差はあってもHSPに特有のことであり、しかもHSPの人は全体の20%のみ。

みんな同じ環境で頑張っているのに、耐えられない自分は劣っていると落ち込んできましたが、そもそも感じていた刺激量にかなりの差があったのだと知り、自分が甘えていたのでも、感覚が特別おかしかったのでもないと分かり、すごくほっとしました。

その上で自分の年表を見てみると、ものすごく納得してしまいました。どうしてずっと恐怖心がぬぐえなかったのか、何が気がかりだったのか、その時どんなことを考えていたのか、いろんなことが手に取るように理解できたのです。

ずっと自分は人より劣っている、生きている価値のない存在なんだと自分を責め続けてきたけど、本当はそうじゃなかったと知り、目が覚めた思いがしました

うつ病にまで追いつめた「誤解」とは

さまざまな本を読む中で、『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わるほめ方・叱り方2』の一節が、その時の私の状態を理解するのにものすごく説得力がありました。

人一倍感受性の強い子の場合です。子どもによって、10叱っても1しか受け取らない子もいます。それがふつうの子どもです。

ところが逆に、10言っただけで、100受け取る子もいるのです。そうすると、同じように叱っていても、受け取り方に100倍の差が生じます。

親としては、この子だけ叱るわけではない、同じように叱っているつもりなのですが、敏感な子の場合は、知らず知らずのうちに、大きく受け止めすぎて、「自分はだめな子なんだ」「いらない子なんだ」と思ってしまっていることがあるのです。

出典 明橋大二(2011).P117.『子育てハッピーアドバイス 大好き!が伝わるほめ方・叱り方2』

人は私と同じように感じていないという事実も衝撃でしたが、「10のことを100と受け取る子ども」とはまさに私のことだと感じました。

10のことを1と受け取る人と比べたら、そこには100倍の差があって、それが二十年近く経過していったなら…。

そんな緊張し続ける二十数年を過ごしてきたら、「そりゃ心が持たないよね」「よくここまで生きてこられたよね」と今なら思います。

うつ病で休学したことや、休職になってしまったことは、頑張りが足りなかったんじゃない、気持ちが弱すぎたのでもない、どうすることもできなかったんだねと、初めて自分を「責める」のではなく「認める」ことができました

その時に、自分はHSPなんだということを受け入れることができました。

HSPだと受け入れることは、「現実からの逃げ」ではなかった、これからは少しでもこの世界で生きていけるように向き合っていこうと思いました。

生まれて初めて自分の感覚を否定しないで、前向きに向き合ってみようと思えた瞬間でした。

それでも自分を責めてしまう人へ

いろいろなことに耐えられないのは努力が足りないからだと思っていた私にとって、それは人一倍敏感だからなんだと受け入れることは、「私の甘えなんじゃないか」という考えからなかなか抜け出せませんでした。

でもHSPの正しい概念を知り、場合によっては10倍100倍のストレスを受け続けていたら、誰だって持たないよねと気づけて初めて、肩の力が抜けました。

あの頃の私と同じように、生きづらさに悩んで自分を責めてしまっている人に、どうしたら受け入れて楽になっていけるのか。次回からは、具体的な方法をぜひ知ってもらいたいと思います。

まとめ

  • 初めはHSPと分かっても「甘えちゃいけない」という思いから、“受け入れる”ことができなかった
  • HSPを正しく知ることで、今まで耐えられなかったことはHSP特有の敏感さによるものと受け入れられ、安心感が得られた
  • 休学や休職になったことは、頑張りが足りなかったのではなく、どうすることもできなかったと、「責める」のではなく「認める」ことができた

ぜひ読んでいただきたい本

ひといちばい敏感な子

ひといちばい敏感な子

エレイン・N・アーロン(著) 明橋大二(訳)

5人に1人が、生まれつき「ひといちばい敏感な子」(Highly Sensitive Child=HSC)だといわれています。 他の子と違うわが子に、「この子はおかしいのでは……」「自分の子育てが間違っているのでは?」と悩む親は少なくありません。 学校ではADHDやアスペルガーと誤解されてしまうこともあります。 本書は、多くの親が抱える子育ての悩みや疑問を、子どもの“敏感さ”という面から明らかにした、日本初のHSC解説本です。 著者は、アメリカの心理学者、エレイン・N・アーロン博士。翻訳は、精神科医で、スクールカウンセラーとしても活躍する明橋大二氏です。 長年の診察と執筆経験を生かし、分かりやすく訳した本書によって、敏感な子どもも含めて、全ての子どもたちが、その特性に配慮され、適切な関わりを受ける世の中になること願っております。

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