日常で即実践できるポジティブ心理学 #3

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怒りや不安を解消する!過剰なネガティブ感情を取り除く方法

比較的新しい心理学に「ポジティブ心理学」があります。

ポジティブ心理学では、ふつうの生活を送っている人がいまより幸せになることです。

結果、仕事もうまくいき、人間関係もより豊かになり、結果的により幸福な生活を送れると教えています。

「ポジティブ」と聞くと、言葉だけが一人歩きし、「悲観的な気持ちになっては絶対ダメ。常に明るい気持ちでいなければならない」という考えが広まっていますが、決してそうではありません。

ネガティブな感情は幸福感を下げる面もある一方、うまくコントロールすれば、むしろ幸福の燃料ともなり得るのです。また重大なリスクを回避することにネガティブ感情は役立ちます。

ゆえに重要なことは、ネガティブ感情やストレスから逃れよう、あるいは排除しようとするのではなく、ポジティブな感情とネガティブな感情のバランスとを保つことなのです

前回は、「幸福のベースライン(平均的な幸福度)」を引き上げるための4つの実践的方法をご紹介しました。

前回の記事はこちら

今回は、過剰なネガティブ感情に抑え、コントロールする方法をご紹介していきます。

幸せのカギは、“不快な感情をコントロールする能力”

怒りや悲しみ、不安や憂うつなど、ネガティブな感情には役に立つ面もあります。

たとえば、

悲しみは多忙な日常生活から離れ、新しい計画を立てる時間を与えてくれる、

不安は潜在的な危険に備え、これから起きることへのリハーサルにつながるなど。

しかし不快な感情が極端に強くなったり、長時間持続したりすると、どうなるでしょうか。

集中力を欠いて生産性が落ちる、視野が狭まる、他者に共感できずに傷つける言動をするなどの問題が生じ、幸福感が大きく引き下げられてしまいます。

こころの知能指数(EQ)の研究で有名な心理学者 ダニエル・ゴールマン氏は「不快な感情をコントロールする能力は、精神の幸福のカギ」といわれています。

ネガティブ感情をすべて回避しようとしたり、抑えつけたりするのではなく、ポジティブ感情とネガティブ感情のバランスを取ること、ネガティブ感情の影響をコントロールすることが大切なのですね

その不快な感情を調整する方法として、はじめは、ネガティブ感情への見方そのものを変えることをご紹介します。

ネガティブ感情そのものへの見方を変える

「ストレス」と聞くと、どんなものだとイメージされるでしょうか?

健康を害するもの、人間関係をマイナスに作用させるもの、仕事のパフォーマンスを低下させるものなど、非常に悪いイメージを持たれる方が多いと思います。

実際に、

  • ストレスは6つの代表的な死因に関連がある
  • 病院に来る患者の症状の70~90%はストレスによるもの
  • ストレスはほとんどすべての臓器に悪影響を及ぼす

など、ストレスへの悪影響がわかっています。

しかしこれらはあくまで「過度な」ストレスの影響であり、ストレスは適正に管理されれば、仕事のパフォーマンスも全体的な健康も向上させることも実証されているのです。

金融会社の社員を対象に行われた実験では、ストレスのプラスの面を強調した3分間のビデオを見たグループは、ストレスにまつわる頭痛や腰痛、疲労感などの症状が軽減され、生産性も向上したことがわかったそうです

反対に、ストレスの悪影響ばかり考え、「ストレスを感じちゃいけない」と気にしすぎると、ストレスを避けようとすることがまたストレスになり、ストレスに押しつぶされたり、自己破壊的な行動で解消しようとしたりして、本当に健康に悪影響がもたらされてしまうのですね。

ネガティブな感情も同様に、「マイナスな面もあるが、適切にコントロールすればプラスの恩恵が受けられる」と見方を変えることで、感情に振り回されたり、余計なネガティブを感じたりせずに、対処できるようになります。

まずはネガティブ感情に対して、このような認識を持ってみてください。

ネガティブ感情別、コントロール法

次に、不快な感情別の具体的な調整法を紹介していきます。

ネガティブ感情1-怒り

危険にさらされたと感じたときに生じるのが怒りです。

物理的な危険だけでなく、プライドや名誉が傷つけられたり、目的達成の邪魔をされたりしたときも起こりますね。

怒りをコントロールできなくなると、衝動をがまんできなくなったり相手の話を冷静に聞けなくなったりし、相手を傷つけ恨みを買い、人間関係の悪化につながります。

また、怒りを抑え続け、ため込んでしまうのも健康状態に悪影響を及ぼします。

さらに怒りの厄介なところは、それによってつくられた全身的な緊張状態が数時間から数日間も続いてしまうことです。緊張状態にあると怒りを感じやすくなるため、怒りが怒りを増幅させ、手のつけられない状況になりかねません。

そのような怒りにはどう対処すればいいのでしょうか。

アラバマ大学の心理学者 ドルフ・ツィルマン氏の提唱する怒りへの対処法をご紹介します。

①怒りの発端となった理由をもう一度問い直してみる

怒りが生じた理由を探っていくと、実はささいな問題で怒りを感じていたことはよくあると思います。

「そもそもなんで怒っていたのだろうか」と問い直してみることで状況を客観視し、感情を制御できるようになるでしょう。

②怒りのほとぼりが冷めるまで待つ

先に、怒りがいったん生じると緊張状態が続き、さらなる怒りが喚起されてしまうことをお話ししました。

その状態を避けるために、怒りを招く要因のない環境に身を移し、興奮が冷めるまで待つことが勧められています(タイムアウト法ともいわれるそうです)。

ネガティブ感情2-不安

不安は、潜在的な危険に備えようとする反応であり、実際に危険を回避することに役立つ感情です。

しかし不安が常習化すると、同じところをぐるぐると回っているばかりで前向きな解決にはつながらず、不安定な状態から抜け出せなくなってしまう可能性があります。

そんな不安をコントロールし、問題の根本的な解決に向かうにはどうすればいいのでしょうか。

ペンシルバニア大学の心理学者 トーマス・ボーコーヴェッツ氏が不安を調整するステップを紹介しています。

ステップ① 不安の自己認識

常習化する前に、できるだけ早い段階で不安な気持ちを捉えます。

そして、その不安のきっかけとなったものは何か探ってみましょう。本当に潜在的な危険があるのか、あるいは思い込みやイメージから生じたものなのかをみていくのが、1つ目のステップです。

ステップ② 自分の思い込みを批判的に見直す

不安は起こり得ないことへの心配、思い込みから生じている場合があります。その思い込みを抱えたままでは、不安は絶えません。

そこで、不安のきっかけとなっている思考に反論してみましょう。

「自分が怖れている出来事は、本当に起こる可能性が高いのか?」
「思い悩むばかりではなく、建設的な対策はないだろうか?」
「同じことを何度も何度も心配することが役に立つのだろうか?」

と批判的に見ることで、過度な不安は手放せるでしょう。

ネガティブ感情3-悲しみ、憂うつ

大切なものを失うことでもたらされる悲しみも、人生の意義を考える時間を与えるという点では役立ちます。

しかし悲しみや落ち込みが続き、抑うつ的な状態になってしまえば良い面はありません。早期に症状を改善する必要があります。

抑うつ的な症状を防ぎ、悲しみを乗り越えるには以下の3つの方法が有効です。

①悩みの根底にある考えが本当に正しいのかどうか検討する

不安の対処法のご紹介した「思い込みを批判的に見直す」ことは、悲しみや憂うつにも効果的です。

「私は周りに迷惑をかける、ダメな人間だ」
「このまま悪い状況がずっと続いていく」

などのように考えていると、より自分を追い込んでしまいます。

その思い込みに反論し、

「人は誰でも失敗するもの。私だけが悪いわけではない」
「状況はきっと良くなる。以前も立ち上がることができた」

と思考を再構成することで、悲しみ・憂うつに縛られるのを防げます。

②楽しく気晴らしのできる機会を意識的に組み入れること

気晴らしとなるものを意識的に取り入れることで、ぐるぐると悩む状態から脱することができます。

ケース・ウエスタン・リザーブ大学の心理学者 ダイアン・ケイス氏の調査によると、気晴らしとして最も効果的なのは

  • エキサイティングなスポーツ
  • 笑える映画を観る
  • 元気の出る本を読む

など、雰囲気をガラリと変えてくれるものだそうです。

また、より建設的な方法は、何か小さなことをやり遂げて満足感を得ることだといわれています。

物事の大小にかかわらず、まずは行動に移してみましょう。

③助けを必要としている人に手を差し伸べる

抑うつに効果があるのが「助けを必要としている人に手を差し伸べる」ことです。

それは、抑うつは自分についてくよくよ考えることであるため、苦悩を抱いている他人に関心を寄せることで自分自身から関心をそらし、自然と抑うつを軽減させられます。

先のダイアン・タイス氏の調査でも、ボランティア活動に身を投じる行為は、気分転換として非常に効果的だったとわかりました。

落ち込んでいるときこそ、「他人が何を必要としているのか、自分にできることは何か」目を向けてみてください。それが自分自身を助けることにもつながるでしょう。

 

今回は、ネガティブ感情の見方そのものを意識的に変えること、特定への感情の調整法をご紹介しました。

「これは特に役立ちそうだ、やりやすそうだ」と思われるものからぜひ実践してみてください。

【参考文献】

『EQ こころの知能指数』(ダニエル・ゴールマン著 講談社)
『成功が約束される選択の法則』(ショーン・エイカー著 徳間書店)