1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

金賞

『子育てハッピーアドバイス』を読んで

久米美香さん(32歳・大分県) 一般の部

2人目の子供が産まれて上の子の赤ちゃん返りが始まり、子育てに迷い自信を失っていた時、この本に出会いました。イラストのかわいらしさと、帯の端に書かれていた「大切な忘れ物を届けに来ました」という言葉にひかれ、手に取ってパラパラめくりました。今まで数々の育児本を買いましたが、漫画と文章が一緒になっているものは初めてで、時間のない今の私にはピッタリだと思いました。何より目についたのが、サイレントベビーについての漫画でした。パッと読んで、私の第2子は、ほうっておけばこうなってしまうのでは?と思い慌てて購入しました。

読み終えてまず思った事は、知らないでいることの恐さと、育児書はむやみに買わず、明橋先生の様に、医学的に裏づけのある情報が書かれた本を読まなければいけない、ということでした。
泣き続けても無視されてばかりいた赤ちゃんは、ある日から泣くことをやめて無表情になる。喜びも悲しみも全て押しこめてしまう。それがサイレントベビーです。このことを知らないままでいなくて良かった。心からそう思います。

1人目の子育ての時は、時間に余裕もあり子供が泣けば無条件に抱く、を繰り返していた私でしたが、2人目となるとなかなかそうもいきませんでした。まだ2歳になったばかりの上の子の世話にかまけて、ついつい下の子は泣かせっぱなしのことがよくありました。2人目はそんなに手をかけなくても大丈夫、などという周囲の言葉に甘えていた部分もあったと思います。泣き疲れて眠る次女を見て、かわいそう、と思うよりも、泣いていてもほっておけば寝るんだ。私は今まで手をかけすぎていた、とさえ思っていました。

だからこそ、この本を読んで子供を放置することの恐ろしさを知り、私は自分の犯した間違いにぞっとしました。愛の反対は憎しみではなく無関心。本当にそうだと思いました。泣くことでしか自分を表現出来ない赤ちゃん。

その唯一の表現方法を簡単に無視していた自分が恐くなりました。本の中の泣き叫ぶ赤ちゃんの絵と、ふんわり抱っこされて笑っている赤ちゃんの絵が、自分の娘とだぶり、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

この本を読んでから、次女はもう泣き続けることはなくなりました。おんぶ紐でおんぶしてずっと一緒です。これなら長女もすぐ抱っこ出来安心なのです。もしこの本に出会っていなかったら、今7カ月の娘が小児科の先生に、「表情の豊かさは、7カ月の子とは思えない。」とまで言ってもらえるようになることは、到底なかったと思います。

2歳の長女は、人見知りが激しく、わがままですぐかんしゃくを起こします。そんな長女を見て、「甘やかしすぎたからだ」とよく言われ、悩んでいました。でもこの本を読んで、私のしてきた事は、甘やかしではなく、甘えさせてきたのだ、とわかりました。これからも、たくさんたくさん甘えさせよう、と嬉しくなりました。甘えさせたほうが、自立できる、という言葉で、安心出来ました。

この本を読んで、今後の子育てにおいて、ゆるぎない1本の芯が出来た様に思います。今まで、いろんな人の話を聞いたり、本を読んだりしては、ぶれてばかりの私でしたが、子育てにおいて最も大切なことは何か、それが明確にわかりました。

子育てにおいて最も大切なこと。それは、子供が、自分は生きていていい存在だ。自分が生きていることを親が喜んでいる、と思える子育てをすることなのです。それが分かった私は、もう大丈夫だと思います。根っこさえしっかりしていれば、この先迷いそうになっても、間違わずに頑張っていけると思います。

これから先、悩んだ時にはまた何度でも、この本を手に取り、子供と共に私も成長し、一緒に輝いていきたいと思います。人との出会いと同じ様に、本ともまた出会いだと思います。良い本にめぐりあえて良かった。心からそう思います。ありがとうございました。