1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

金賞

『光に向かって心地よい果実』を読んで

大畑真依さん(16歳・石川県) 高校生の部

1万年堂出版の本を最初に読んだのは、中学生の時だった。心に響く名文句はさる事ながら、数々の美しい写真に私は目を奪われた。こんな良い本があったんだと感動し、1万年堂出版の他の本も読むようになった。

高校2年生になって手に取った本が、これ『光に向かって心地よい果実』だった。光に向かってシリーズが好きな私が、なぜかこの本はまだ読んでいなかったので、今さらだけどと思いながらも読み始めた。

なんて良い言葉ばかりなのだろう。これが、この本を読んだときの私の率直な感想だった。ただ言葉が淡々と述べられているだけなのに、その言葉1つ1つに重みがあった。更に、所々にちりばめられた写真が何とも言えない。まるで写真集を見ているのではないかと勘違いするほど素晴らしく、心慰められるものがあった。

私は、この本を読んで心に残った言葉がいくつかある。それは、次の言葉である。

「アキラメれば敗北者になるだけ」
「忙しい人ほど勉強できる」
「少しでも、向上しようという心がけが一番大切」
「成功は努力の結晶」

来年、受験を控えている私にとって、これらの言葉にはジーンとくるものがあった。私の第一志望の大学は高偏差値で、先生からは早いうちから難しい問題に取り組んでおかないと、他校の生徒、特に都会の学校の生徒にすごい差をつけられるぞと言われていて、その通りだと頭で分かっていても、なかなか行動に移せずにいた。過去問やハイレベルの問題をやろうとして、問題を見るのだが、理解できないものが多いので、いつの間にか挫折してしまう。そして、このままでは大学に受からないんじゃないかと不安になる。まだ2年生だから大丈夫、といつも自分で言い聞かせているが、この調子で3年生になると、と考えると不安で仕方がない。そんな時に出会ったのがさっきの言葉だった。

「アキラメれば敗北者になるだけ」
「少しでも、向上しようという心がけが一番大切」

この言葉を読んで、私は何て愚かだったのだろうと思った。ハイレベルの問題が難しいのは当たり前。だからといって、あきらめて何もしなければ何にもならない。少しずつでいいからこつこつするのが大切なのだと実感した。一気にしようと思ってもなかなかできない。けれど、少しずつならできる。1日1つ知識を詰め込めば、1年で365個学んだことになる。「塵も積もれば山となる」とあるように、何事も少しずつの精神でやっていこうと思った。

「忙しい人ほど勉強できる」

この言葉は他の本にも載っていたが、本当にその通りだと思う。私の学校の卒業生に、陸上部のキャプテンをしつつ、京都大学に現役合格した人がいた。毎日、部活で忙しかったその先輩は、学校の休み時間を利用したり、朝早く起きて勉強したそうだ。それに比べて私は文化部なので、比較的時間にも余裕がある。しかし、その余裕がかえって命取りになっているのではないかと感じた。忙しい人は時間を効率よく使うけれども、暇があるとどうしても気が抜けてしまう。でも、せっかく時間があるのだから、その時間を無駄にはしたくないと思った。時間がある、ないと言って、勉強をしない言い訳にはしたくない。結局、自分がやるか、やらないかなのだと思う。

この本を読み終えた今でもまだ、私は悩んでいることがたくさんある。特に、やはり進路のことでは不安を隠せない。しかし、この本は私に対して何かほっとさせるものを与えてくれた。進路のことで悩む私に、1本の解決の糸を与えてくれたのだ。自分1人ではどうしようもなかったことが、他人の言葉を素直に聞くことによって、解決の目処が立ったような気がする。

悩みがある人もない人も関係なく、たくさんの人にこの本を読んでもらいたいと思った。また、これからも人を元気づけてくれる本を出してほしいと思う。最後に1つ、私が気に入った言葉を添えて終わりたいと思う。

「成功は努力の結晶」