1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

金賞

『親のこころ おむすびの味』を読んで

大久茉美さん(12歳・宮城県) 小学生の部

私は、いつもお母さんに「早くしなさい」とか「ちゃんと食べなさい」と口うるさく言われる。言われるたびに心の中でうるさいなぁと思ったり、ちょっと反抗的な態度をとっている。あんまり言われると、お母さんなんていやな人と思ったりしたけど、この『おむすびの味』を読んで、お母さんが私にどうして口うるさいのか分かりました。学校へ遅刻しないように早く仕たくしなさいという意味だったり、私が”もさもさ”していやいや食事をしていると、疲れやすい私が少しでも元気でいられるように、ちゃんと食べなさいと私の体を気づかって言ってくれている事が分かりました。

本の中で”そんなに、そんなに、心配しなくてもいいのに……”という話が今の自分に当てはまっているものだと思いました。それは田舎で独り暮らしの母から、古びた数枚のお札をそえたお便りが来たのです。故郷に帰るための交通費の事を心配してくれている母を主人公の”私”は、とても感謝する気持ちで一杯になったお話です。その話を読んだら、お母さんは私の事をどれだけ心配しているのかが分かって、ありがたい気持ちになりました。

もう1つ、”この子と一緒に死ねば本望だ”という話は、戦争中で高熱に浮かされている”私”の上に母は覆いかぶさっているのです。理由を尋ねると母は「こんなに熱の高い子を冷たい防空壕へ連れていくと死んでしまう。ここに爆弾が落ちても死んでしまう。同じに死ぬのであれば、暖かい布団の上で死なせてやりたい。爆弾が落ちても、その衝撃をこの子よりも先に私の背中で受けてやりたい、だから覆いかぶさっているのだ……」と答えたのです。いくら避難を勧めても、母は「この子と一緒に死ねば本望だ。」と言って首を縦に振らなかったそうです。その主人公の”私”は、母の大きな愛に感謝したお話です。その話を読んで、私には、子供を守りたいという母の思いが強く感じられました。

この『おむすびの味』という本は、心動かされるお話が一杯つまっていて、親の愛より深いものはないんだなぁと強い思いにかられました。

今後、私がお母さんになったら、子供の気持ちをよく理解し、優しい心を持った、立派な母になりたいと思いました。