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うちの子、何考えてるの?悩みを言わないHSCへの接し方3つのポイント

子どもの悩みを聞いてあげたいのに、「別に……」「なんでもない」と言われてしまうことはないでしょうか。

大人の感情をよく察知して、なかなか本音を言わない子どもは、もしかしたら、HSC(ひといちばい敏感な子)かもしれません。

今回は手のかからないHSCほど、本当の気持ちを隠してしまいがちな理由を解説します。

本音を言わない子、実はHSCかも?

私は、小さいころからとにかく、悩んでいることや困ったことがあっても大人に言えない子どもでした。

前回は、そんな私自身の体験から、子どもが本音を言わなくなってしまう理由をお話ししました。

0歳から通っていた保育園では、楽しいはずの遊びの時間も、給食もお昼寝も、苦手なことばかり。
でも、自分の正直な気持ちを口にして、「わがまま言わないの!」と怒られるのはもっとイヤ。結局いつも黙ってしまう。

怒鳴られてもヘラヘラ笑っている友達を見て、「なんであんなに平気でいられるんだろう」とうらやましくなったのを覚えています。

そして、小学生、中学生、高校生になっても、

  • 「嘘をついて良い子のフリをしてる私は、なんてズルいんだ……」
  • 「先生がもっと優しい人だったら、悩みを相談できるのに!」

と、自分や周りの大人を責めてばかりの每日でした。

しかし、大学生になったある日、子どもの頃の自分が、5人に1人のHSC(ひといちばい敏感な子)だったことを知ります。

すると、今まで本音を言うことに抵抗を感じていた理由が、だんだんと分かってきたのです。

5人に1人のHSC(ひといちばい敏感な子)とは

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HSC(Highly Sensitive Child)とは、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン氏が提唱した概念で、日本語では「ひといちばい敏感な子」と訳されています。

5人に1人いるといわれている、生まれつきの気質です。

  • 1のことを10に受け取る
  • 他人の感情を読むのが得意
  • 細かいことによく気がつく
  • ケンカや争いごとが苦手

などの特徴にあてはまるお子さんは、「HSC(ひといちばい敏感な子)」かもしれません。

HSCの特徴については、↓の記事で詳しく解説しています。

HSCが大人に本音を言えない3つの理由

ひといちばい敏感と聞くと、「神経質でわがままな子」を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。
たしかに、苦手なものが多かったり、急に泣き出したりして、大人を困惑させることもあります。

しかし実際のHSCには、「手がかからない」「優等生」といわれる子の方が圧倒的に多いんです。

他の子と変わらないように見えても、心の中では、

  • 「こんなことを言ったらお母さんに心配されるかな……」
  • 「友達に変なヤツだと思われたくない……」
  • 「ちょっとしたことが気になる自分がおかしいんだ」

とイライラや不安を押し込めていることもあります。

ひといちばい敏感であれば、ひといちばい手がかかって当然なはず。
それなのになぜ、敏感な子どもほど、悩みを言わなくなってしまうのでしょうか?

HSCが本音を隠しがちな理由を3つ、ご紹介します。

①親や先生の気持ちにも敏感

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HSCは音や光、匂いに対してだけ、感覚が鋭いのではありません。
親や先生・友達など、周りの人の気持ち、場の空気にも敏感に反応します。

また、相手がどうしたら喜ぶかがよく分かるので、一緒にいる人が楽しそうにしていると、自分の居心地も良くなります。

そのために、周りの人からどう思われるかを優先して、自分の気持ちを無視してしまうことがあるんです。
『HSCの子育てハッピーアドバイス』では、HSCが手のかからない良い子になりやすい理由について、次のように説明されています。

HSCは、親や大人の気持ちを敏感に察知するので、大人が自分に何を求めているのか、何を期待されているのか、鋭くキャッチする傾向にあります。
そして、大人が指示をする前に、大人の望む行動を取ってしまうのです。

 (『HSCの子育てハッピーアドバイス』より)

わざと本音を隠して困らせようとしているのではなく、「お母さんや先生からの期待には完ぺきに応えたい……!」という気持ちから、不安を吐き出せない子がとても多くいます。

②1のことを10に受け取る

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誰でも怒られるのはイヤですが、HSCは特に、大人から褒められたい・怒られたくない、という気持ちが強いです。
それは、うれしいこともツラいことも「1のことを10に受け取る」という特性があるからです。

HSCは、ちょっとした否定の言葉を、強く受け取り、あたかも全部を否定されたかのように取ることがあります。

ちょっと注意しても、人格全体を否定されたように取ってしまうのです。
それが続くと、自分はダメな人間なんだ、自分はいらない人間なんだ、と思ってしまうことがあります。

 (『HSCの子育てハッピーアドバイス』より)

例えば、クラスのみんなの前でちょっとほめられただけで、誇らしい気持ちが何日も続きます。
その一方で、たった一言「〇〇が出来てないよ」と注意されただけで、「どうせ何をしてもダメ」「僕のことが嫌いなんだ」という極端な考えに走ってしまいがちです。

そのため、本音を口にしたときにイヤな顔をされると、「もう二度と本当のことなんて言わない…!」と心を閉ざしてしまうことがあるんです。

③自分の気持ちを言葉にするのが苦手

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HSCが本音を隠してしまいがちな理由の3つ目は、非HSCよりも、自分の気持ちを言葉にするのが難しいからです。

もちろん子どものうちは、感情をしっかり言葉にできることの方が少ないと思います。
しかしHSCは、あらゆる場面で、非HSCよりもたくさんの刺激を何倍も深く受け取めています。

例えば友達の家に行って、そこで友達のお母さんから、イチゴを出されたら、ふつうの子どもなら、「わーい!」と喜んで食べると思います。

しかしHSCは、
・どこのイチゴか
・高そうなイチゴか
・何人で分けるのか
・後から来る人の分を取り分けておかなくていいか
・食べられていない人はいないか
などということを考えてしまうため、動作が一歩遅れて、遠慮がちな子と思われてしまう、ということがあります。

 (『HSCの子育てハッピーアドバイス』より)

大人でも、綺麗な景色に圧倒されたり、同時に色々な仕事を頼まれてパニックになったりすることがありますよね。
そんなとき、「ちゃんと気持ちを言葉で伝えて!」と言われても、とても無理、と思うはずです。
HSCの頭の中はたとえるならば、その状態がずっと続いている感じ。

そのため、本音を言うか言わないかの前に、何が本当の気持ちなのか、自分自身で整理できていないことも多いんです。

HSCの本音を引き出す3つのポイント

ただでさえ普通の子よりも困っているのに、悩みも言ってくれないなんて、なおさら心配になってしまいますよね。

では、HSCが本音を言いやすい関係をつくるためには、どのように接してあげるのが良いのでしょうか?
基本的なポイントを3つ、お伝えします。

①子どもの感覚を信じる

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HSCの感覚は、5人に1人の少数派です。
ひといちばい感じ方が鋭いので、周りの子どもが全く気にならない刺激を苦痛に感じることがあります。

例えば、服のタグがチクチクして気になる、食べ物の味が混ざるのが苦手、顔に水が付くのが気持ち悪い、などです。

子どもの意見を聞いてもなかなか理解できず、「食べたくないからってそんなウソついて……」と信じられないこともあると思います。

しかし、決してその子がウソを付いているのではありません。
HSCがいち早くキャッチした刺激を、周りの人は感じ取っていないだけなのです。

そんなとき、

  • 「気のせいよ。いつも気にしすぎなんだから」
  • 「他の子だって、みんなガマンしてるのよ」

と、ツラい感覚自体を否定されると、子どもは、気持ちを分かってもらえない = 自分が間違っているんだ、と思い込んでしまいます。

  • 「この子はひといちばい敏感で、いつも他の子よりガマンしてるんだ」
  • 「自分には全然分からないけど、この子がそういうのなら、きっと本当なんだろう」

とある意味、理解することをあきらめて、具体的にどうしたいのかを聞いてほしいと思います。

②注意をするときは必ず、良いところもセットで伝える

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HSCはしつけや叱責からの影響をとても強く受けます。
体罰はもちろん絶対にしてはいけませんが、大声でどなったり、強い口調で叱ったりする必要もありません。

何がダメだったのか、これからどうすればよいのか、簡潔に要点をまとめて伝えるだけで、十分深く受け止めることができます。
むしろ、ほんの少し叱っただけで人生の終わりのようなショックを受け、何日も失敗を引きずることの方が多いです。

そのため、全面否定にならないよう、

  • 「この部分、すっごく良くできてるね。あとはここだけ直せば完ぺきになるよ!」
  • 「〇〇ちゃんの××なところ、とっても素敵! △△まで出来たら、最高のお姉さんになっちゃうかも」

など、必ず、その子の良いところも一緒に伝えてあげてほしいと思います。
 

③圧倒されている気持ちに名前を付けてあげる

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HSCは、

  • 人が多い場所
  • 初めての体験
  • 予想と違う出来事

などがあると、感情に圧倒されてしまいがちです。

どうしたらいいか判断できずに固まってしまう、泣いているけど自分でも何がツラいのか分からない、という時もあります。

大人からすれば、ちゃんと言葉で言ってほしいと思いますが、「言わなきゃわからないよ!」と怒っても、気持ちを正直に言えるようにはなりません。
自分でも気持ちが整理できないから、行動をコントロールできなくなっているのです。

そんなときは、

  • 「顔が濡れたのがいやだったんだね」
  • 「やることがいっぱいで困ってる? 次は、手を洗ったらいいんだよ」

と子どもの気持ちを想像して、代わりに言葉にしてあげるのがオススメです。

本人の感覚とピッタリ合っていなくても、自分の気持ちと向き合えるような声かけをしてあげることで、「違うもん」「そうかも……」など、反応を引き出しやすくなります。

また、パニックになっている状態に名前を付けてあげることで、次第に自分でも、気持ちを言葉で伝えられるようになります。

まとめ:HSCは、育てられ方から影響を受けやすい

HSPは非HSCと比べて、小さい頃のしつけや叱責、考え方の癖から、大きな影響を受けやすいと言われます。

過酷な環境(虐待など)で育てられると、HSCは大きくなってから、同じ過酷な環境で育ったHSCでない子どもより、うつ状態や、不安症になりやすいといわれています。

しかし、大きな問題のない環境で育ったHSCの場合、うつ状態や不安症になるリスクはHSCと変わらないという調査結果が出ています。

さらに、よい幼少期を過ごしたHSCは、非HSCよりも病気やケガになりにくく、心も身体も健康である、という研究結果も報告されています。

 (『HSCの子育てハッピーアドバイス』より)

特に学校生活が始まると、集団生活の苦手なHSCにとっては心に負担を感じる時間も多くなります。
出来れば小学校に入る前に、「家ではなんでも言える」という環境をつくってほしいと思います。

また、そのためには、HSCが小さいころ具体的にどんな場面で困りやすいかを、知っておくのが大切です。
次回は小学校に入る前のHSCが、特につまづきやすいポイントをご紹介します。

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明橋大二(著) 太田知子(イラスト)