Dr.明橋のHSP大全 #2

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敏感すぎるのはHSPとは違う?明るく楽観的なHSPも多い、心理学的な理由

HSP(ひといちばい敏感な人)の基本的な知識から、最新の議論までをご紹介する、精神科医・明橋大二先生の新連載「HSP大全」第2回です。

HSPの提唱者・アーロン教授の心理学書をもとに、自分を知り、相手との関係を考えるために大切なポイントを教えていただきます。

読者の皆様のご感想や、HSP体験談などありましたら、ぜひ記事の最後のアンケートフォームからお送りください。

(1万年堂ライフ編集部より)

HSPの誤解を解くために知っておくべき「3つの性格の層」とは

アーロン氏は、人の性格を、三つの層でとらえています。

【第一層】

生まれつきの性格。気質とも言います。

赤ちゃんでも、生まれた時から性格の違いはあります。

そのような生来の個性のことです。おそらく遺伝子によって規定されているのだと思います。

敏感さ(HSP)や刺激探求(HSS)は、この層に当たります。

また先天的な生命力や遺伝的な知性、特別な才能なども、この層に入ります。

私たちの神経システムに組み込まれていて、普段、意識することはありません。

またこの部分は、基本的に変えることはできません。

【第二層】

環境によって形作られる性格です。

その人らしさを担う部分で、人の行動の大部分を彩り、持ち味となります。

一層目の、生まれつきの気質と、環境や生育歴などとの相互作用によって作られます。

たとえば、内向的か外向的か。楽観的か悲観的か。愛着スタイル、親密さへの怖れや臆病などがここに含まれます。

その人らしさなので、そんなにコロコロ変わるものではありませんが、環境の変化や学習、カウンセリングによって、ある程度、変えることができます。

【第三層】

表面的な、目に見える行動や習慣のことです。

毎週飲みに行くとか、怠けぐせがあるとか、ボランティアによく行く、などです。

これらの特徴は、第一層、第二層から出てきたものではありますが、表面的なものなので、環境や意志の力で、ある程度変えることができます。

HSPがどのようにその人の人生に影響するかを考える時に、この見取り図は、きっと役に立つと思います。

よくあるHSPへの偏見について考えてみましょう

また、性格の三つの層のことが理解されていないために、HSPは、時として誤解されたり、偏見を持たれたりします。代表的なものをいくつか挙げてみましょう。

(1)「臆病」「怖がり」→慎重で、時には誰よりも勇敢

HSPは、しばしば「臆病」と混同されます。

あるいは「怖がり」と言われることもあります。

確かにHSPも、つらい経験があると臆病になったり怖がりになったりすることはありますが、それは経験から学んだものであって、HSPだから臆病なのではありません。

HSPは、生まれつき、行動する前に慎重にリスクを考えます。「怖がり」なのではなく、慎重で、確認をしているだけなのです。

安心感を得らる環境で育ったHSPなら、そうでない人よりも、むしろ慎重さに裏づけされた勇敢さがあります。

(2)「内向的」「内気」HSPの30%は外向的

HSPは、内気だとか、内向的と言われることがあります。

内向的とは、集団に属したり、知らない人と会ったりするよりも、ごく限られた人と仲良くするのを好む性格のことです。

外向的とは、逆に、大勢で集まったり、いろいろな人と知り合ったり、広く浅くつき合うのを楽しむ性格です。

言い替えれば、内向的な人は物事の内側にあるもの、自分の感じ方を大切にし、外向的な人は目に見えるもの、客観的な体験を重視するとも言えるでしょう。

HSPは確かに外から来る刺激を減らすため、自分一人の時間を大切にします。

そういう意味で、内気に見えることもあるかもしれません。

しかしHSPは、決して人との関わりを拒否していたり、怖がったりしているわけではありません。

またHSPの70%は内向的ですが、30%は外向的と言われます。

その30%の外向的な人とは、アーロン氏の調査によれば、安心できる環境で、周りの愛情をたくさん受けて育った人でした。

彼らにとって、人の集団とは、慣れ親しんだ安全な場所だったのです。

また、社交的になるようにしつけられた人や、自分で社交的になろうと決めた人もいました。

HSP=内気、という訳ではないのです。

(3)「弱い」「敏感すぎる」→危険を察知する能力を持つ

HSPは、あまりに強い刺激を受けると、ダメージを受けてしまうことがあります。

そういう点を見て、「弱い」と考えたり、自分のことをそう思ったりすることもあるかもしれません。

しかし、敏感であることによって、危険を察知したり、身体に毒であるものを見分けたりするところは、逆に「強み」でもあります。

また「敏感すぎる」というと、必要のないものまでキャッチする病的な状態のように聞こえますが、「とても敏感」ではあっても、「過剰に敏感」なわけではありません。

その敏感さが必要な場合もあるのです。

(4)「精神的な病気」「不安症」→むしろ病気になりにくい強さ

HSPは、精神的な病気ではないし、不安症という病気でもありません。

確かに環境が良くないとストレスを受けやすいことはありますが、良い環境で育ったHSPは、HSPでない人と比べて、不安やうつ状態になる割合は変わりがない、という結果が出ています。

さらに、よい幼少期を過ごしたHSPは、HSPでない子どもより、病気やケガになりにくいという研究結果も出ています。

HSPという気質が問題なのではなく、環境の善し悪しが問題だということです。

ネガティブな見方で自己否定感を持たないために

このように、生まれつきの気質であるHSPと、精神的な病気はもちろん、「臆病」「怖がり」「弱い」などと言われていることとは関係がありません。

しかしこのような偏見を、HSPが自分自身で持っていることがあります。

もしそうなら、HSPについてよく学び、自己否定感をぜひ払拭してもらいたいと思います。

HSPを知ることは、実は全ての人にとって大切な知恵を得ることにつながります。

自分の特性を知り、相手を理解し、さまざまな人がいて、さまざまな生き方があることを、お互いに認めていければ、すべての偏見やレッテルが外れ、誰もが生きやすくなるに違いありません。

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