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“善人よりも悪人が救われる”のはなぜ?歎異抄「いわんや悪人をや」の本当の意味

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登場人物

真理子
中2の娘と小4の息子を持つワーキングマザー。お気に入りのカフェで行われている「仏教塾いろは」に参加しはじめる。
智美
在宅でデザインの仕事をしている主婦。真理子から「仏教塾いろは」を紹介してもらった。
店長
カフェいろはの店長。美味しいコーヒーを淹れてくれる。塾長(高杉小五郎)とは大学時代からの友人。
塾長
仏教塾いろはの塾長。アメリカの大学で仏教の講義をしていた。店長とは旧知の仲。
  1. 真理子

    この前、テレビドラマ「相棒」の300回記念スペシャルをやっていたけど、そのタイトルが、「いわんや悪人をや」だったわよね。

  2. 智美

    あっ、私も見ました!高校時代からの『相棒』ファンで。そういえば、「いわんや悪人をや」って、仏教の言葉ですよね?

  3. よくご存知ですね。これは名文としても名高い日本の古典『歎異抄』に書かれている、親鸞聖人の言葉です。『善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや』は、その中でも最も有名なフレーズですね。

  4. 真理子

    受験のとき、歴史の参考書で見た覚えがあるわ。善人よりも悪人が救われるってどういうことか、一度お聞きしたいと思ってたんです。

  5. 智美

    何か深い意味がありそうですね。塾長、お願いします!

悪人とは、「苦しんでいる人」のこと

  1. 塾長

    「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」
    まず、この言葉の中の「悪人」について説明したいと思います。

「悪人」と聞くと、どんな人をイメージするでしょうか。

「極悪人」という言葉もあり、なにかものすごく悪いことをした人、犯罪者、または大量虐殺を行った歴史上の人物を思い浮かべるかもしれません。

許せない犯罪や恐ろしい行為をやってしまったのも、確かに「悪人」でしょう。

ところが仏教で「悪人」とは、「苦しんでいる人」のことをいいます。

それはなぜでしょうか。

まず、仏教の基本である「因果の法則」を確認しておきましょう。

因果の法則とは、

善因善果(ぜんいんぜんか)

悪因悪果(あくいんあっか)

自因自果(じいんじか)

です。

これは、善いことをすれば、善い結果が返ってくる(善因善果)、

悪いことをすれば、悪い結果が引き起こる(悪因悪果)、

善いのも悪いのも、自分の受ける結果はすべて、自分の作った因(行い)によるのだ(自因自果)、といわれているのです。

これをまた「自業自得」ともいいます。

この論理にしたがえば、悪人とは「今、悪いことをしている人」でもありますし、結果から言えば、「今、悪い結果を受けて苦しんでいる人」ということにもなります。

これは、原因から言うか、結果から言うかの違いで、同じことです

悪人を「悪いことをしている人」と言えば、原因から見てのことですし、「苦しんでいる人」と言えば、結果を表現していることになります。

どうして、苦しんでいる人が救われるの?

ことわざに、「鈍(どん)な子は可愛い」とか、「馬鹿な子ほど可愛い」という言葉があります。

親にとっては、あまりできの良くない子ほど不憫で、可愛がる気持ちが強くなる、ということを表しています。

放っておいても何でも一人でできてしまう、そんな子ももちろん可愛い我が子ですが、一人では心配な、目が離せない子は、なおさら気にかかるのが親心です。

仏教では、

諸仏の大悲は苦あるものにひとえに重し

といわれ、苦しんでいる者こそ放っておけないのが仏様である、と教えられています。

岸辺で遊んでいる子どもよりも、今まさに川で溺れて苦しんでいる子どもを、まずは救おうとするでしょう。

医者ならば、健康な人よりも、病の重い人、重症の人から先に助けます。

それらと同様に、仏の慈悲は、より苦しみの重い者に、より強くかかっているのです

それでも人間は、自分の子どもなら何とかしてやりたいと思っても、よその子にも同じように心がかかるかというと、それは難しいですよね。

しかし仏の慈悲は平等で、どんな人でも見捨てるということがない。そういう人間離れした慈悲だから、慈悲に「大」の字をつけて、「大慈悲」と経典には書かれています

どんなに苦しくても生きる意味がある

だから、『歎異抄』の、

善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや

という言葉は、

あまり苦しんでいない者でも救われるのだから、いま本当に苦しんでいる者はなおさら救われる

ということになるのですね。

誰しも、いろいろな困難、苦難、予期せぬ災難にぶつかって、悩むことがあると思います。

苦しみのドン底に仏の慈悲は届くのですから、どんな苦難も悲しみも、本当の幸せへの一歩になり得るということです

「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」
は、そんな人生の素晴らしさ、どんなに苦しくても生きることの意味を表した言葉なのです。

  1. 真理子

    善人よりも悪人が救われるなんて…と思っていましたが、より苦しんでいる人が救われると聞いて、とても納得しました。

  2. 智美

    「相棒」のドラマにも、いろんなしがらみを背負い、苦しんでいる人たちがたくさん出てましたもんね。

  3. 真理子

    それにしても、元代議士役の木村佳乃さんの剃髪姿が素敵だったわよね~。美人は何をしても映える!これも因果の法則…ですよね?

  4. 智美

    またそこから聞きたくなってきましたね。

まとめ

  • 因果の法則にしたがえば、悪人とは「今、悪いことをしている人」でもあると同時に、結果から言えば、「今、悪い結果を受けて苦しんでいる人」といえます
  • 仏様の慈悲は、より苦しみの重い者に、より強くかかっている、と教えられます
  • ゆえに「善人なおもって往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」という言葉は、「あまり苦しんでいない者でも救われるのだから、いま本当に苦しんでいる者はなおさら救われる」となるのです

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