幸せへの一歩は運のせいにしないことから #3

  1. 人生

【キーワードは自業自得】ヘーゲルに学ぶ「心の平穏」の保ち方

ドイツの哲学者ヘーゲルは、自分の身に起こることはすべて、自らが生み出したものだと考える大切さを説きました。

不満や怒りは、起きてから対処するよりも、「乱れない心」を身につけた方が自分へのダメージを減らすことができます。

これまでに傷ついた心を癒やし、これからの日々を穏やかに過ごすため、哲学者の知恵に迫りましょう。

※この記事では、来年1月下旬に発売予定の新刊『幸せへの一歩は運のせいにしないことから』(伊藤健太郎 著)を特別にお読みいただけます。

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幸せへの一歩は運のせいにしないことから

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運命は自分がつくる

なぜ男たちの歴史から、高嶺の花に告白して自滅する愚行が消えないのでしょう。

それは人間が、よくいえば楽観的、悪くいえば自信過剰で自分を甘く採点し、身の丈以上の夢を見るからです。

『孫子』の「彼を知り己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」は、恋愛にも通じます。

人間は自惚れ強いもので、社会心理学の研究によると、ほとんどの人が、「災いは他人に、幸せは自分に来る」という幻想(ポジティブ・イリュージョン)を抱いています。

自分が事故や災害に遭ったり、重病にかかったりするようなことは、まずないと信ずる一方、幸福は人一倍やってくると期待しているのです。

【キーワードは自業自得】ヘーゲルに学ぶ「心の平穏」の保ち方の画像1

また、なにかにつけ自分は「普通の人より上」と自惚れる傾向があり、「平均以上効果」と呼ばれています。

私たちは、「自分は平均より有能かつ正直で、心も広い」と、過大評価しがちなのです。

その結果、成功は自分の技能のおかげ、失敗は運が悪かったからと考えるようになります。

試験や仕事がうまくいった時、多くの人は、それは自分の努力(因)の成果(善因善果)だと考えるでしょう。恵まれた環境(縁)のおかげと感謝することは、少ないのではないでしょうか。

ところが結果が悪かった時は、他人や条件(縁)に責任をなすりつけがちです。
幸福は自分の行為(因)が作ったもので、不幸は環境(縁)が引き起こしたと考えるのは、虫がよすぎます。

【キーワードは自業自得】ヘーゲルに学ぶ「心の平穏」の保ち方の画像2

ヘーゲルは、古いことわざに「運は自分の作るもの」とあるとおり、自分の身に起こることは全て、自分が生み出したものだと考えることが、極めて大切だと説きました(『小論理学』)。

この自業自得と反対の見方をする人には、不満が噴き上がるだけです。

そして、他人のせいで不当に苦しんでいるという誤った考えのために、多くの間違いを犯し、悪循環になると忠告しています。

これと反対の見方は、自分の身にふりかかることを、他人やめぐまれぬ事情やのせいにするような見方である。これは再び不自由の立場であり、不満のもとである。(中略)自分にたいしても運命にたいしても不満を持ちながら生きている人は、まさに自分が他人によって不当な取扱をうけているのだという誤った考えのために、多くの間違ったことをしでかすものである。(『小論理学』)

「運は自分の作るもの」と聞くと、何の慰めもない見方だと思われるかもしれません。

確かに、怒りに我を忘れている人には、「あなたは何も悪くない。悪いのは全部あの人」と、同意するしかないでしょう。

しかし、それでは一時の気休めにしかならないのではないでしょうか。

「自業自得」の道理には、「あなたは悪くないんだよ」という、聞こえのよい慰めはありません。

しかしヘーゲルによれば、自業自得を認める人には、慰めなど要らないのです。

全て自分に原因があると見る人は、たとえ不幸がやってきても、それは自分の悪いタネまきの結果であり、少しも不当ではないと分かっています。

だから他者を恨む心は起きず、どんな苦難にも、魂の平穏をかき乱されることはないのです。

(本記事は2月下旬発売の新刊『幸せへの一歩は運のせいにしないことから』の第2章(1)の前半を抜粋しました。)

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努力は必ず報われると分かれば、元気が出ます

幸せになりたいあなたの最強の味方は、「運命」に論理で近づくことです。

本書は、97万部のベストセラー『なぜ生きる』の著者が語る、原因と結果の法則。

「因果の道理が分かれば、心が変わります。心が変わってこそ、現実が変わるのです」。

理不尽とも思える“人生のしくみ”をやさしく解き明かし、読者からは「運命は自分で切り開いていくものだと分かった」「ずるい人が得をする世の中で、信念を持って生きられそうです」など、多くの感動の声が寄せられています。

不運は、嘆くものではありません。理解し、乗り越えていくものです。

『幸せへの一歩は運のせいにしないことから』──。

一歩、また一歩と踏み出した人には、輝く未来が広がっているにちがいありません。

※本書は、平成27年に刊行された『運命を切り開く因果の法則』を加筆修正して、再編集いたしました。