1. 子育て

2学期が始まる前に知りたい、子どもが「学校に行きたくない」理由と対処法

楽しかった夏休みも終盤に近づくと、何となく子どもの表情が暗くなっていることはありませんか。

2学期が目前となった頃、急に「学校、行きたくない」と言う子どもがいます。

その言葉を聞くと、親は焦って「いったい何が起こったのか」と心配になることでしょう。

文部科学省の調査によると、令和5年度の国立、公立、私立の小・中学校の不登校児童生徒数が約34万6千人となり、過去最多という結果となったそうです。
(文科省 令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)より)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00005.htm

なぜ、「学校へ行きたくない」のか、また「行けない」のか。


その理由となる5つの要因と、そうなった場合の対応法や親の心構えについて説明します。

ただし理由は1つではなく、複数が絡み合っていることも多々あります。
2学期が始まる前に知りたい、子どもが「学校に行きたくない」理由と対処法の画像1

2学期に起こる「学校に行きたくない」5つの要因

1.生活リズムのギャップ

夏休みは、どうしても夜遅くまでゲームをしたりして、就寝が遅くなりがちです。

当然起床も遅くなり、ゆったりとした生活リズムになっているところに、急に早起きすることは、つらく感じるでしょう

2.宿題ができていない

夏休みの最初に、学習計画を立てたにも関わらず、思うように進まず、夏休み終盤になっても宿題ができていない場合もあります

そうすると、やはり学校に行くのは、憂鬱になるでしょう。

3.気の進まない行事がある

2学期は、運動会、遠足、宿泊をともなう校外学習など、さまざまな行事を行う学校が多いです。

子どもによっては気の進まない行事もあると思います

そのことを考えると、気持ちがふさぎこんでしまうでしょう。

4.学校以外の環境に変化があった

引っ越しをした、父親が単身赴任になった、可愛がっていたペットとの別れがあったなど、子どもを取り巻く環境に変化があった場合、気持ちが落ち込んだり、動揺したりして、学校に行きたくないと感じることがあります。

5.人間関係に不安がある

クラスの友だちになじめない、または仲間外れにされた、苦手な先生がいるなど、学校での人間関係に不安がある場合、2学期が始まり、再び顔を合わせることに、大きな不安やストレスを感じていることもあります。
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子どもが「学校行きたくない」と言ったとき、その要因は、比較的短時間で解決に向かうものもあれば、時間をかけて対応していかなければならないものもあります。

次にそれぞれの場合の親の対応法や心構えについて説明します。

「学校に行きたくない」と言われたとき親がすべき5つの対応

1.生活リズムを取り戻す

夏休みも終わりに近づいてきたら、生活のリズムを戻していきましょう

その場合、言葉がけはもちろんですが、食事や入浴の時間をできるだけ規則正しくするなど、親の協力も大切です。

2.宿題の進捗状況を気にかける

「宿題は順調に進んでいる?」「学校の勉強で分からないところがあるの?」などと尋ね、学習の様子や宿題の進捗状況を気に留め、学習をサポートしましょう

分からないところは、教科書を見て、1学期の学習を振り返るのもよいでしょう。

3.憂鬱な行事がある場合、その理由に対処していく

乗り物酔いしやすい子は、バスや電車に長時間乗る遠足が不安になることがあります。

また、走るのが遅かったり、運動が苦手な子は、運動会が苦痛に感じることもあるでしょう。

何らかの理由で、行事が憂鬱になる場合がありますので、その理由をゆっくり聴き、対処していきましょう

乗り物酔い止めの薬を飲んでいくことを提案したり、運動会では「何位になろうと、お母さん、お父さんにとっては、あなたが1番よ!」と順位など関係ないことを、日頃の関わりの中で伝えていくとよいでしょう。

4.普段の生活、親子の関わりを続ける

学校以外に原因がある場合や、生活環境に変化があった時は、事情によっては時間がかかることもあります。

しばらくの間はそっと見守り、普段と変わらない親の言葉がけや関わりをしましょう

いつもの日常が継続されることで、次第に不安や悲しみの気持ちは癒されていき、やがて「学校に行ってみよう」という気持ちも出てくると思います。

5.人間関係の不安は、まず心と身体を休める

この場合も、時間をかけて丁寧に対応していきましょう。

まずは無理に学校に行かせないことが大切です。

大人から見れば「それくらい、たいしたことはない」と思うようなことでも、子どもは大人が思う以上に心が疲れています

自宅では、親がいつもどおり自然に振る舞い、心と身体を休め、時間をかけて話を聞いていくようにしましょう。

理由をすぐには話さないこともあると思いますが、「なぜ?」「どうして?」と矢継ぎ早に質問攻めにするのではなく、時間をかけて、子どもが話す気持ちになるまで待っていてください。
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子どもの心のSOSを見逃さないために

「学校へ行きたくない」と言う子どもは、夏休み後半から徐々に予兆があります。

食欲不振や夜眠れないなどの不眠、顔色が悪い、腹痛や頭痛などの体調不良。会話が減る。

あるいは、親のちょっとした言葉にも敏感に反応し、感情の起伏が激しく、情緒が不安定になっているなど、いつもと様子が違うと感じたら、学校が始まる不安や悩みを抱いているのかもしれません。

また1学期から、なんとなく学校になじめなさを感じていた子どもは、夏休みになり、ホッとしていたことでしょう。

その場合、8月後半は、緊張感が高まる時期です。中には「学校に行きたくない」を上手く言葉に表現できない子もいます

ですので、この時期、親は子どもの様子をしっかり見ておきたいですね。

「学校に行ってほしい」気持ちをいったん手放す

親は、もちろん「子どもに学校へ行ってほしい」という願いはあると思います。

中には「学校へは行くべき」という考えを持っている親御さんもおられるでしょう。

「学校に行きたくない」という言葉を聞くと、当然親の気持ちは穏やかではありません。

焦燥感や、時には絶望感を抱く親御さんもいます。

そのような状況は、親にとってもつらい状態だと思います。

そうすると、親の憂鬱やイライラが子どもをさらに追い詰めることになります。

親の「学校には行くべき」「学校に行ってほしい」という気持ちをまずは手放しましょう。

子どもの「ありのまま」を受け止める

1番つらい思いをし、不安を抱えているのは子ども自身です

何より家庭を子どもが安心して居られる場所になるよう、今の子どものありのままを受け入れてください。

将来、社会に出て大切なのは「生きていく力」です。

「学校に行きたくない」と言葉に表現し、意思を伝えられることは、素晴らしいことです。


中には、「子育てが、間違っていた」と自分自身を責める親御さんもおられますが、子どもは親を信頼しているから、そのような言葉が出るのです。

そこには、親子の信頼関係があってこそのことで、視点を変えて見れば、子育てがうまくいっている証でもあります。

子どものふさぎ込んだ様子が続き、2学期が始まっても続くようでしたら、専門家に相談することも視野に入れ、親は焦らず、どっしり落ち着いて構え、いつもと変わらず接してください。

思春期を迎えようとする子どもの気持ちは、いつも揺れ動いています。

安定しているときも不安定なときも、深く物事を考え込むことも、いろいろあるでしょう。

子どもの不安な気持ちに寄り添いながら、親も子どもと一緒に歩んでゆきましょう
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