こころを守る防災 #3

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【明橋先生監修】ストレスの反動に要注意…!|HSPオススメの「休息のとり方」

緊張や恐怖が去ってひと安心、そんな時にこそ、実は注意が必要なんです。
あなたの心は、思っている以上にストレスを受けているかもしれません。ストレスが心身を蝕む前に、対処できたらいいですよね。

災害に対する恐怖を通して、ストレスへの対処法をご紹介する、本シリーズ。
第3弾のテーマは、災害が起こった後の「こころのケア」です!
運動をした後には整理運動が必要なように、ストレスを受けた心にもケアが必要なんです。

教えてくださるのは、第1弾・第2弾と同様、精神科医の明橋大二先生です。
明橋先生は国内におけるHSPの専門家で、累計500万部を超える「子育てハッピーアドバイス」シリーズなど、ベストセラーを多数執筆。
いわば「こころのスペシャリスト」です!

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災害が起こった時の対処法を知りたい方は、コチラをチェック↓

知ってる?「恐怖」と一緒にやってくる「ハイテンション」

——前回は、実際に災害が起こってしまった時の対処法を教えていただきました。地震や雷……「怖いモノ」との向き合い方がわかったので、これでひと安心ということでしょうか?

明橋:安心する前にもうひとつ、気をつけてケアしてあげてほしいことがあるんです。それが「ハイテンション」です。

——楽しい時にはしゃいでしまう、あの「ハイテンション」ですか?

明橋:「ハイテンション」という言葉自体は、多くの人にとって馴染みの深い言葉ですよね。確かに、シュウさんのいうように「楽しくてはしゃぐ」もハイテンションです。だけど、それだけではありません。

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明橋:つまり、地震や雷に怯えている時、私たちの心は「恐怖」と「ハイテンション」の両方にとらわれているわけですね。ハイテンションが引き起こす行動の例としては、よく喋ること(=多弁)や、よく動き回ること(=多動)などが挙げられます。

——そうなんですね。確かに私も、怖い時じっとしていられなくなってしまいます……。でも、どうしてハイテンションに気をつけないといけないんですか?

明橋:恐怖の感情がストレスになっているのは、想像がつきますよね。一方、ハイテンションは、アドレナリンがバーっと出ている状態です。だけど、それは相当無理をしている状態なので、心身には負担がかかっています。
負担がかかると何が起こるかというと、後から「反動」がやってくるのです。
そしてこの「反動」にこそ、気をつけてもらいたいのです。

ハイテンションの「反動」に要注意!

——「反動」。何だか怖そうです……。具体的にどんなことが起こるんですか?

明橋:人それぞれですが、突然気分がひどく落ち込んでしまう精神的な反動もあれば、体がだるくなって動けなくなってしまう身体的な反動もありますね。
反動を1週間後に受ける人もいれば、1ヶ月後に受ける人もいます。遅かれ早かれ、必ずこういう時期はやって来るんです。

——予防することは、できるのでしょうか?

明橋:運動すると筋肉痛がきますよね。それと同じで、反動もまた正しい反応のひとつです。だから反動をなくすことはできないし、する必要がありません。
ならばどうすればいいかというと、まずはこういうことです。

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明橋:「私は疲れてるんだ」と自覚。それが第一歩です。
例えば、東日本大震災の時には「災害当初は頑張れたのに、ある時から急に体が重くなって、何もできなくなってしまった。もっと家族のために頑張りたいのに……。」と悩まれる方が、かなりいたそうです。そしてその悩みが自分を責めることに繋がって、さらに精神的に失調してしまう。
「なんで今は頑張れないんだろう」、この原因がわかっているだけで、こうした悪循環は防げます。自分の心が弱いからというわけでは、決してないのですから。
大きな災害に限らず、ストレスに直面した時は「自分には今、ストレスがかかってるんだ」と自覚してあげてください。
それを踏まえ、次に「ダウンタイム」をとってほしいのです。

反動を和らげる「ダウンタイム」のとり方

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——「ダウンタイム」ってなんですか?

明橋:「ダウンタイム」とは、簡単にいうと「休憩」です。
反動自体をなくすことはできませんが、意識的に休憩をとって反動を和らげることならば、できます。心身共にしっかりと休んでください。

——具体的にはどんなことをすればいいのでしょうか?

明橋:「ダウンタイム」の取り方は人それぞれです。だからあくまで一例ですが、好きな音楽を聴いて目を瞑ったり、お気に入りの入浴剤でマッタリお風呂に入ったり……。
「私ダラダラしてるな」っていう、そんな日が必要だったりするのです。
心身共に休んでくださいと言いましたが、特に心の疲れは、目に見えないので要注意です。意識的に休めてあげる必要があります。

——そうなんですね! 「何もしない日も必要」。そう言っていただけて、なんだかホッとしました。私は「頑張らない時の自分」に罪悪感を持ってしまいがちなので……。ダウンタイムは災害に限らず、日常的にもとっていきたいですね。

明橋:その通りです。日常的にダウンタイムを取るためにも、自分が何をするとホッと落ち着けるのか、それを知っておくことは大切ですね。

HSPにオススメな「ダウンタイム」の取り方

——私のようなHSPにオススメな「ダウンタイム」の取り方があれば、教えていただけないでしょうか。

明橋:HSPは日常的にひといちばい多くの情報を察知して、そして処理しています。その分他の人よりも一層休むことが必要です。
前回お話したように、物理的に境界線を引いて「見ない」「聞かない」状況を作ることは有効ですね。
人と会う予定をキャンセルして一日のんびりしたり、暗い部屋で目を閉じて休んだり、そういったダウンタイムがオススメです。
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——「ひとりになること」が重要なんでしょうか?

明橋:HSP全員に当てはまるワケではありませんが、周囲に人がいるだけで疲れてしまう、それはよくあることです。
なので、人によっては「カフェで一服」では、ダウンタイムにならない場合があります。なぜなら、カフェには当然他のお客さんもいて、話し声が聞こえて、見慣れないモノに囲まれているのですから。HSPの五感はそういった情報をキャッチして、処理するためにまた頑張ってしまいます。
心当たりのある方は意識的にひとりの時間を作ってみてもいいと思います。

——同じHSPでも刺激の受け取り方、効果的なダウンタイムの方法は人それぞれなんですね。

明橋:その通りです。HSPだから絶対にこう、HSPじゃないならこう、そういうものではないのです。人と過ごすのが得意なHSPもいれば、そうじゃないHSPもいます。
気質や悩みが人それぞれなように、対処法だって十人十色でいいのです。あなたが「ホッとできること」をしてあげてください。

「ダウンタイムの取り方」の他、HSPが日々をもっと楽に過ごすための工夫が、こちらの記事で詳しく紹介されています。ゼヒ、ご覧ください。

まとめ:「疲れてる」を自覚して、意識的に休憩を取るのが◎

今回は「実際に災害が起こった後」のこころのケアを教えていただきました!今回のポイントは、

  • 感情が高ぶった後には、必ず「反動」が来ることを知っておこう
  • 「自分は疲れてる」と自覚。それが第一歩
  • 意識的な「ダウンタイム」で反動は和らげることができる!

恐怖や心配の後、私たちの心には、自分が思っている以上のストレスがかかっていることがわかりましたね。心への負担は目に見えづらいからこそ、明橋先生に教えていただいた「ダウンタイム」で、意識的にケアをしていきたいものです。

全3回の連載を通して、怖いモノへの向き合い方はもちろんのこと、怖がりな自分との付き合い方も教えていただけて、心がとてもラクになりましたね。
最後に、明橋先生が「災害が怖すぎる」と悩む読者の方へコメントをくださいました!

  1. 明橋先生

    「ニューロダイバーシティ」という言葉があります。「神経多様性」という意味です。
    私たちは人それぞれ考え方・感じ方に個性を持っていますが、その全てが人類にとっては必要で、何らかの意味を持って生まれているという考え方です。
    災害にひといちばい不安になってしまうのは辛いし、「怖がり」な自分を受け入れることには勇気が必要ですよね。また、HSPの方は持ち前の敏感さで、人より多くの情報を察知する分、苦労も多いかもしれません。
    ですが、皆さんのその繊細さは人類に必要なDNAなのです。物事に慎重になれる人がいてくるからこそ、人類は今日まで生き延びてきました。「雷が怖い」、そう思って皆の外出を止める人がいたからこそ守られた命があるように。
    あなたはあなたのままでいいのです。その慎重さ・敏感さは、あなた自身やあなたの大切な人を守る上で、非常に優れたセンサーであり、人類全体としてもその恩恵を受けているのですから。

明橋先生、ありがとうございました!

記事の第1弾、第2弾はコチラ