孤独の名言レシピ #5

  1. 人生

地域とのつながりが薄くても大丈夫!孤独を肯定してくれる名言

近所とのつながりが希薄になった現代

昨今、ご近所付き合いがない人が増加しているようです。
世間を見ても、人とのつながりが希薄な時代になったと感じます。

サザエさんを見ていると、「お醤油切れちゃったからお隣で借りてこよう」という場面が出てくることがあります。
当時はそういう時代だったんですよね。
現代ではきっと「お醤油切れちゃったから買ってこよう」となるでしょう。
近所づきあいをしたくないというわけではなく、24時間開いているお店があるから借りる必要がなくなったんです。

良し悪しは別として、「人間関係の希薄化=便利な生活になった」ってことなんでしょう。
スマホを使えば一人で何でもできる時代、人間関係のつながりも少なくなります。
わざわざ助け合う必要がなくなるんですから自然なことです。

そんな中、地域とのつながりがなく孤独、ポツンとひとりぼっちになってしまった、というAさん(30代女性)のお悩みを紹介します。
まったく縁もゆかりもない土地で不安一杯な気持ち、よく分かります。

まったく知らない土地で寂しく不安な毎日

昨年、主人の仕事の仕事の関係で、地元北海道から2歳の子供と富山県に移り住みました。
主人共々生まれも育ちも北の大地北海道で、今まで1度も北海道を出たことがありませんでした。

主人から転勤の話を聞き、最初は主人だけ単身赴任で、双方の両親がいる北海道で子育てしていこうと思っていました。
しかし、やはり子供には父親が必要だと思い、一家で移り住んだのです。

分からないことだらけの土地、富山にはまったく知り合いがいません。
主人は仕事という強いコミュニティがありますが、私は主人しか話し相手がいないのです。

近所のコミュニティも中々入り込むことができず、子供と向き合うだけの毎日…。
何か私だけが取り残されたようで、テレビを観ながら愚痴を言っています。

これからどう過ごしていけばよいでしょうか。

コミュニティを求めるのは、孤独が怖いから

これは大変切実なお悩みでしょう。
単身赴任という選択もある中、本当に大変な決断だったと思います。
新しい土地、新しい住居に慣れないために色々な不満が出たり、我慢を強いられることもあります。
大きなストレスがかかる状況です。

出来上がっているコミュニティに入り込むのはかなりの勇気が要ります。
2歳のお子さんを抱えていたら習い事もままならないですよね。
やはり一番は公園デビューで、近所のママ友との繋がりを求めたくなりますが、現実はそんなにドラマのようにうまくはいきません。

「現代はオンライン上でつながれるから孤独になりにくい」とは言っても、それは近くに頼れる人があってこそではないでしょうか。
地元には家族や友人がいたとしても、近くに頼れる人がいない状況は、とても不安で寂しいものです。

人間の本質を突いた、こんな言葉があります。

人間の社交本能も、その根本は何も直接的な本能ではない。
つまり、社交を愛するからではなく、孤独が恐ろしいからである。

ショーペンハウアー(ドイツの哲学者 / 1788~1860)

孤独にならないように、みんながあくせく頑張っているんですね。

孤独が羨ましいと感じる人もいる

確かに孤独になるのは不安ですが、逆に孤独だからこそいいのだと言う人もいます。
『徒然草』で有名な吉田兼好さんの言葉を紹介します。

つれづれわぶる人は、いかなる心ならん。まぎるる方なく、ただひとりあるのみこそよけれ。
世に従へば、心、外の塵に奪はれて惑ひ易く、人に交れば、言葉、よその聞きに随ひて、さながら、心にあらず。

【意訳】
孤独を嫌う人は、いったい何を考えているのだろうか。
世俗にも誰にも邪魔されることなく、一人でいることは良いことなのに。
世間に従えば、心は外界の虚偽に巻き込まれやすく、人と交流すれば、言葉は彼らに合わせるものとなり、自らの心も失ってしまう。
『徒然草』75段(吉田兼好)

周囲を見渡すと、「私だけひとりぼっち。主人は集中できる仕事があっていいなぁ」と思ってしまいがちです。
ところが、ご主人もご主人で大変な思いをしているかもしれません。
職場で理不尽な要求をされたり、上司や同僚に気を遣い、自己主張ができず、ついつい周りの人に合わせてしまったり…。

隣の芝生は青く見えるもの。
ご主人は、誰にも気を遣わずに一人の時間を満喫できるAさんが羨ましいと感じておられるかもしれません。
一人の時間も、見方によっては悪いことばかりでもないのです。

まとめ

まったく知らない土地で、知り合いもいない状況に置かれたら、とても不安になります。
早くコミュニティに入って、孤独を解消したいと思われるのも当然でしょう。

しかし、コミュニティに入ったら入ったで、人間関係に苦しむこともあります。
そういう人から見れば、一人の気ままな時間が持てて羨ましい、となるのではないでしょうか。

焦って自分と気の合わないコミュニティに入ってしまうよりは、一人の時間を満喫するのも一つの手です。
お子さんとの時間を大事にするのも、学びやスキルアップの時間に充てるのも良いと思います。

そうしているうちに、自分が本当に入りたいと思うコミュニティが見つかるはずです。

これまでの連載はコチラ

徒然草をもっと知りたい方へのおすすめ書籍