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言いたいことをうまく伝えるには?相手の心を開く「イエス・バット法」

感情をプラスにする「イエス・バット法」

誰かを説得したり、注意したり、自分の思いを伝えたりするとき、大事なことは、相手の感情です。

感情がマイナスになっていれば、時間をかけて伝えようとしても、心に入っていきません。
「前にも説明したじゃないか、何度言ったら分かるんだ」と、また同じ話を繰り返すハメになってしまいます。

自分は伝えたと思っていても、相手が受け取っていなければ、伝えたことになりません。

まず、相手の感情をプラスにすること、言い換えれば、心を開くことが大事です

相手の思いを満足させる、快感情にする。そうすると、受け入れ体勢ができます。

与奪の論法」とも、「イエス・バット法」ともいわれます。

はじめに、相手の思いを受け入れる(イエス)、そして、こちらの考えを伝える(バット…)の順番です。

また、「イエスアンド法」ともいわれます。

まず、相手の思いを受け入れる(イエス)、そして、説明を行う(アンド…)の順番になります。

特にクレーム対応のときなどでこの順番を間違えると、大変なことになりかねません。

相手が怒っているときはどうする?

以前、店で買った洋服に穴が開いていたと、中年女性がクレームを言い、店員に土下座を強要し、逮捕されたという事件が報道されました。

事実関係は、詳しく分かりませんが、店側がはじめの対応を誤ったのかもしれません。

「当店では品物の管理を徹底していますので、そのようなことはございません。タグを外すときに、穴が開いたのではないですか」

このような発言に、激怒したのかもしれません。

クレームを言いに来る人は、説明を求めているのでもなく、店の決まり事を聞きに来たのでもありません。誠意を求めているのです。
金額的には大した損害でないことがほとんどです。精神的ダメージ、不快感情のため、黙っておれないのです。

まず、自分の主張を受け入れてもらって、責任ある立場の人が、誠心誠意、対応してくれたなら溜飲は下がります。
ところが実際には、はじめに対応してくれる店員に、嫌な顔をされることが多いのではないでしょうか。

一流デパートなら、すぐに責任者が飛んできて、深々と頭を下げて謝罪されると思います。
クレームを言ったり、買った物を返品したり、ホテルなら宿泊キャンセルの電話をしたりするとき、そこで一流かどうか判明します。

例えば夏の暑いとき、自分のために、時間をかけて、汗まみれになって、駆けずり回ってくれた。そういう姿を見て、冷静に我に帰って、「ここまで言わなくてもよかった」という感情が芽生えます。
クレーム相手の表情ががらりと変わり、受け入れ体勢ができたと分かれば、ようやく事情を説明する番です。
そうすれば、納得して、満足して帰ってもらうことができるのです。

相手がキャッチしやすいボールを投げる

何事もタイミングが大事です。
これを、能の大成者の世阿弥は「時節感当(じせつかんとう)」と表現しています。

時節が当たるのを感じ取る。楽屋から能舞台に出るとき、観客の様子から、そのタイミングを感じて、声を発して、舞台へと出て行くといいます。

自分と相手の状況、そしてその時節。タイミングをよく推し量って、言動を考えていくことが大事です。

コミュニケーションは、よくキャッチボールに例えられます。

まず、ボールがなければ投げることはできません。どのボールを投げるのか、準備が必要です。
それは、話の内容話し方です。

そして、相手が受け取る準備ができているかを見極めて、キャッチしやすいボールを投げることが大事です。

イエス・バット法の応用編

イエス・バット法は、自分の感情をコントロールするにも有効です。

不快な感情に支配されているとき、まず、その事実を受け入れる(イエス)ことです。

失敗をした、叱られた、難題を抱えているなど、不快な感情がどこからくるのか、よくよく見極めることが先決です。

そして、その事実をどのように解釈するか、判断するか、対策を立てるか。プラス感情が芽生えるように変換する(バット)のです。

悪中の善、罪中の功を探し、注目する
そうすれば、成功体験の一つとして記銘されることになります。

「いいえ」「しかし」と否定すると、相手の感情も、自分の感情もマイナスになり、心を閉ざすことになります。相手に背を向けることになります。

感情をプラスにして、心を開くところから、何事も始まるのです。

 

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