冬も夏も役に立つ「冷え症」のはなし #1

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冷え症のはなし①冷え対策と熱中症対策、驚きの共通点。キーワードは「筋肉」

春一番も吹いて、冷え込む日も残りわずか。

「これからだんだん温かくなるのに、冷えの話って、もうちょっと早く読みたかった」と思われた方もいるかもしれません。

そんなあなたにこそ、ぜひ最後まで読んでほしい話です。

あなたの冷え対策を検証してみましょう

あなたの「冷え対策」は何ですか? と聞かれて、

  • 寒い日は肌が少しでも冷気に触れないように、マフラーや手袋は欠かさないようにしています
  • 肌だけでなく、冷気を吸うとすぐに鼻水が出るので、マスクで冷気を吸い込まないようにしています
  • 腰の周りはもちろん、ホッカイロを背中とおなかに付けて、前後から温めています
  • 冬はもちろん、夏でも長袖を着ています
  • 上も下も長袖ですが、ヒートテックで温めるようにしています
  • 寝るときは、毎日布団乾燥しています
  • 布団乾燥するだけでなく、敷きも掛けも両方電気毛布を使っています

など、あるいはこれらと似たことが、まず頭に浮かんだ方なら、続けて読まれると、明日からの冷え対策について大“変心”が起こるはずです。

最初に確認すべきは、
これらはすべて本当の冷え対策ではありません!
ということです。

「え!なんで?」
「それで、実際ちゃんと温まってるし、一応は満足しているよ」
と思われた方…。

結論からいえば、それらはすべて「冷え対策」ではなくて、「寒さ対策」です。

だから、使っている物は、すべて“防寒具”といわれている物ばかりです。
寒さ対策をすれば当然温まりますから、それで一応は冷え対策をしている気分にはなります。

ところが、それらの冷え対策、すなわち寒さ対策では、
「いくら着込んでも体は冷たい」
「夏で気温は高いけど、体は冷えています」
「お風呂に入って、そのときは温かいが、上がったら、相変わらず冷えています」
「温かい物を飲んでも、温まるのは飲んだそのときだけで、すぐに体は冷えてくる」
という人には満足できないのです。

なぜなら、温まるのは表面だけで、一時的です。冷え対策としては不十分、という思いが残ります。

では、どうすればよいのでしょうか? 足りないのは何でしょうか?

じゅうぶんな冷え対策を始めていただくには、まず、「なぜ体が温まるのか?」ということと、逆に「なぜ冷えるの?」ということを知ってもらうことが非常に大事です。

これらについてしっかり理解すれば、なぜ不十分なのかが分かり、じゅうぶんな冷え対策を始めよう!という気持ちにつながります。

体が温まる仕組みを知っていますか?

体が温まるには熱が必要です。まず熱が作られること(熱産生)から始まりです。

そして、作られた熱が失なわれることなく(熱保持されて)、血液によって体中のすみずみにまで運ばれて(熱運搬されて)、手先も温かくなり、熱が、絶え間なく体中を循環することで、体が温かくなります。

体が温まるには、これら、熱産生、熱循環(運搬)、熱保持の3つがうまく機能することが重要であり、どれか一つでも不足していれば、じゅうぶんに体の冷えの解決にはなりません。

ですから、冷え対策を講ずるときには、熱産生、熱循環、熱保持の3つの視点から実行するべきであることを知っておいてください。

防寒グッズは冷え対策の一部に過ぎない

冷え対策として多くの人が真っ先に思い浮かべる
「防寒具での冷え対策」=「寒さ対策」
が、熱産生、熱循環、熱保持の3つのどれに当たるかを考えてみますと、体から熱が失われるのを防御する努力です。

自然界では、温度の不均衡が補正されるように熱が動くという現象が起こっています。
ですから、冬の寒い日には、周囲環境の気温が、体温よりも低くなりますから、当然、体から熱が放出される一方です。

その熱の喪失を、ヒートテックやコートを着込んだり、マフラーやマスクをして外気温と皮膚が直接、接しないようにして、防いでいます。

イスに座布団を付けて、直接冷たい物に接触しないようにしているのも、温度が高いところから低い物へ熱伝導して熱が喪失するのを防ぐようにしていることになります。

防寒具は、体の周りの環境温を上げて、温度不均衡補正によって起こる熱の喪失を減らして熱を保持する道具です。

しかし、熱産生、熱循環、熱保持の中の、熱保持だけを頑張る寒さ対策では、じゅうぶんではありません

多くの人の冷え対策は、熱産生と熱循環の視点が盲点になっており、それについて全く対策されていないのです。

寒さ対策とは、基本は熱保持を実行することによる冷え対策ではありますが、冷え対策としては不十分ですから、本当の冷え対策ではありません。

ホッカイロは手放せないけれど

「ホッカイロは熱くなるから、あれは、熱を作り出しているのでないか?」と思う方もいるかもしれません。

ホッカイロは触ったら熱いですから、ホッカイロ自体は、熱を産生しています。

そのホッカイロの熱で皮膚表面の環境温を上げて、温まった皮膚面からの熱の放散を少しでも減らすようにしています。

しかし、私の体が熱を産生することになっていません。やはり熱喪失を防ぐ熱保持の一つ、防寒具です。

「いくら着込んでも体は冷たい」
「夏で外気温は高く暑いけど、体は冷えています」
という冷え性の人では、「冷え対策」と思われて実行されるもろもろの「寒さ対策」は、熱産生を促すものでなく、熱保持を促進するだけですから不十分となるのです。

体で熱が作られないことには、熱の循環運搬も、熱保持もはじまりませんから、体の熱産生を促すことがまず、冷え対策では不可欠なのです

体の熱産生に目を向けるか否かが、表面的冷え対策である「寒さ対策」と、本当の「冷え対策」の違いでもあります。

体で熱を生み出す部分はどこ?

では、熱産生のために何が必要でしょうか?

人間の体における熱産生は、

  1. 食事誘発性熱産生
  2. 身体活動による熱産生
  3. 基礎代謝

の3つによると生理学で明らかになっております。

これらのうち、身体活動による熱産生と基礎代謝で、熱産生全体の約90%を占めており、自分の努力で変えることができる熱産生の主役は、安静時も、運動時も、筋肉です

そこで、熱産生は筋肉を増やすこと、そして運動することが鍵ということになります

熱はまた、血液で運搬されます。ですから、血液を全身に微小血管にいたるまで巡らすことが、冷え対策になります。

血液を送るポンプは心臓だけではない

血液循環には、ポンプが必要です。
体のポンプは心臓ですが、すみずみの微小血管に至るまで届けるとなると、心臓のポンプだけで末梢の微小循環まで血液を押し出すのは不可能です。
実は、筋肉がじゅうぶんに収縮弛緩を繰り返すことで、手足の先々まで血流を保つことができるのです

熱産生の主は筋肉であり、熱循環の微小循環の主は、「筋肉ポンプ」です。熱産生も熱循環も、鍵は筋肉です。

ですから、最大最高の冷え対策は筋肉をつけることです。
そして、その筋肉を使うこと、運動することです

冷え対策では、まず「筋肉を意識」しましょう。

「なんだ、それならば知ってるよ」と思ったあなた。しかし、いまだ冷えに悩んでいるあなた。

冷えの本質的対策は、しっかりとした「冷えの理解」のうえに生まれる「筋肉をつけようという覚悟」、大“変心”が鍵になります。

冷え対策と熱中症対策、驚きの共通点

筋肉の約80%は水分といわれており、体液の貯留庫でもあります。

ですから、体の水分が不足したとき、土地がカラカラに乾燥したときの頼みが貯め池であるかのごとく、筋肉に保持された体液が、緊急避難的水分として体の潤いを保つのに使われます。

ですから筋肉を増やすことは、もしものときの使える水分を蓄えておく貯め池を確保することにつながりますので、実は、熱中症対策にもなります

熱中症対策は、一時間おきに水分とりましょう!など、こまめな水分補給が強調されます。

しかし同じことをやって、熱中症になる人とならない人の違いは何でしょう。

熱中症対策の大事なことの一つが、筋肉をつけること、いわゆる「貯筋」です。

最近、高齢者の方を対象に地域でも貯筋体操がブームですが、実は冷え対策にも、熱中症対策にも非常に重要な役割を果たすのが筋肉なのです。

今から、ちょっとずつ暖かくなりますと、体を動かせる季節になります。
筋肉をつける生活を心掛けることが、冷え対策のみならず、熱中症対策の準備になります。

最後に~冷え性の人こそ筋肉を意識した生活を

運動や筋トレは、メタボ対策、肥満の人が頑張ることと連想されがちですが、冷え性の人こそ、寒さ対策にとどまらず、冷え性改善を目指して筋肉を意識すること、運動、筋トレをおすすめします。

「冷え対策とは?」といわれたら、すぐに筋肉だ!と筋肉を意識できる人が、本当の対策をして冷えを克服できる人です。

「筋肉」「運動」「筋トレ」を連想するという変心ができたことが、冷え対策の出発点に立ったことになります。

では、筋肉を増やすにはどうすればいいのか?

そのポイントは、

  • 食事、栄養
  • 運動

の2つが、車の両輪のごとくに機能して、相乗効果をあげることです。

それについては、次回から専門職の栄養士や作業療法士の方から教えてもらい、皆さんと一緒に考えていけたらと思います。