1. 子育て

震災後、子どもの不安、心のSOSに気が付いて~明橋先生からのメッセージ

北海道の震災に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。

大きな災害が起きた時、誰よりも不安になっているのは子どもたちです。
心のSOSに気が付いたら、周りの大人はどうすればいいでしょうか。

今回は、明橋先生が東日本大震災の際に発信されたアドバイスを、紹介していきたいと思います。

子どもにこんな行動が出たら

大人たちが大きな災害に右往左往している時、誰よりも不安になっているのは子どもたちです。しかし子どもたちは、自分から声を上げることができません。

震災の後は、不安や恐怖から、心のSOSを出してくる子どもが出てきます。

「親のそばから離れない」
「夜、独りで眠れない」
「すぐに“抱っこ”と言う」
「トイレに独りで行けない」
などの行動が出たら、じゅうぶんにつきあい、安心感を与えることが大切です。

では具体的に、周りに大人たちは、どう対応すればいいのでしょうか。
子どもの心のケアについて、Q&Aで答えていただきます。

「赤ちゃん返り」も心のSOSのサイン

Q 震災後、4歳の娘が急に甘えてくるようになりました。このような時は、どのようにしたらよいでしょうか。
子どもが出してくる不安のサイン・症状は、さまざまです。
ちょっとした音、余震におびえる、言葉が出なくなる、などもありますが、親のそばから離れない、すぐに「抱っこ」と言う、夜別々に眠れない、トイレに独りで行けない、などのいわゆる「赤ちゃん返り」の症状が現れることもあります。

このような症状は、実際に被災した子どもだけでなく、被災地の映像を繰り返し見たり、余震が続く、被災地付近の子どもにも、見られることがあります。

大人も傷ついていますし、不安ですが、子どもは言葉で言えない分、体で症状を出してくるのです。

赤ちゃん返りのような行動が出たら、じゅうぶんにつきあう。抱っこして、夜独りで眠れないと言うのなら、一緒に寝る。

大人もいっぱいいっぱいなので、ついつい「アンタもしっかりしなさい」と突き放してしまいがちですが、子どもの心の回復のためには、そういった赤ちゃん返りを受け入れることが、いちばん大切なことなのです。

学童期の子どもでも、親のそばから離れたがらない、夜独りで眠れない、などの「赤ちゃん返り」の症状を出す子もいます。
そういう時は、やはり、じゅうぶんに受け止めることが大切です。手を握るとか、ぎゅっとするだけでもいいです。
また遊びによって、精神的なショックを忘れることができますので、子ども同士の遊びは大事なのです。

心の傷は、何カ月もたって現れることがあります

Q PTSD(心的外傷後ストレス障害)にならないために、気をつけることは?

このような災害時には、体だけでなく、心も被災しています。
心の傷は、何カ月もたってから現れることもあります。

赤ちゃん返りなど、前述したような、子どもが出してくる不安のサイン・症状を受け止めることが、PTSDの予防になるのです。

大人もケアを受ける必要があります

Q このたびの災害で、親の私自身不安で、子どもの不安や甘えを受け止める余裕がありません

大きな災害のあとは、子どもだけでなく大人も不安になります。
また急に「赤ちゃん返り」のような症状がでると、親は戸惑うと思います。

そのような時は、その不安を話せる人が、親にも必要です。ママ友達でもいいですし、ママ同士のコミュニティでもいいです。子育て支援センターもあります。

子どもだけでなく、親も傷を負っています。
子どもをケアするためには、大人もケアを受ける必要があります。
ですから、親も助けを求めていいのです。
自分の気持ちを聞いてもらったり、泣きたい気持ちを受け止めてもらうことが、親にとっても大事なのです。

思春期に反抗的になるのは、不安の裏返し

Q 震災後、高校生の子どもが、さらに反抗的になりました。どのように接すればいいでしょうか

思春期の子どもは、世の中のことがある程度分かるので、混乱している社会状況を見て、余計に将来への不安をつのらせていることがあります。

赤ちゃん返りのような症状を出す子もありますが、さらに反抗的になったり、何でもないことで当たってきたりすることもあります。大人につっかかったり、絡んできたりする子もいます。

それは、多くの場合、不安の裏返しであることが多いです。
不安を解消するために、どうしたらいいのか分からない。だから、とりあえず近くにいる親に当たるのです。

そういう時は、親は、いちいちその八つ当たりに反応せず、まずは「それだけ不安なんだな」と受け止めることが大切です。そして子どもの疑問や不審にはきちんと答える。
思春期の子は、きちんと説明すれば分かります。
説明しようとしても、反抗的な態度をとって、聞かないこともありますが、長々と説明せず、簡潔に伝えてみてください。

忍耐するだけでなく、親も助けを求めていい

Q 災害の時、心のケアでいちばん大切なことは、何ですか

海外から、日本人は冷静だとか、忍耐強いと称賛されています。
しかし、忍耐するだけでなく、自分の気持ちを吐き出したり、感情を受け止めてもらったりすることが大事です。

災害時には、いろいろなものを失います。
その時、最後に支えになるものは、人のきずなです。
子どもには、お母さんがそばにいるから大丈夫だよ、と声をかけていく。

そして、子どもを受け止めることと同じように、親も受け止めてもらう必要があります。
親も、助けを求めていいのです。
親がじゅうぶんなサポートを受けてはじめて、子どものサポートもできるのです。

生活が落ち着いても、心の部分は見守りが必要です

Q 少しずつ元の生活を取り戻しつつありますが、漠然とした不安に襲われることがあります

震災から数カ月がたつと、生活も落ち着いてくると思いますが、今までの心の疲れが出てくることがあります。心の部分では、まだまだ今後も見守り、支援が必要だと思っています。

また、震災当時の記憶がよみがえったり、この方のように、漠然とした不安に襲われることもありますが、これだけ大変なことがあったのです。
心も傷を受けていますし、不安になることも当然と思います。
そういう自分が情けないと思ったり、自分を責めたりする必要は全くない。人の助けを求めて、いろんな人と会話するということが大事だと思っています。

アドバイスをまとめた号外をダウンロードできます

明橋先生のアドバイスをまとめた号外は、こちらからダウンロードできます。
1万年堂新聞号外(震災の心のケア)
印刷して配付したり、転送したりしていただいて結構です。
裏面には、小児科医の吉崎達郎先生のアドバイスも掲載されています。

※本紙の記事・イラストを転載する際には、執筆者名(明橋大二、もしくは吉崎達郎)とイラストレーター名(太田知子)を明記してください。