たとえ歩みは遅くとも、堅実に進むほうがいい

ウサギとカメ(イソップ物語)

 ある日、足の速さに自信のあるウサギが、カメを見てからかった。
「カメさん、おはよう。それでも歩いているのかい。世界中で、一番のろいのは君だな。アハハッ」

 バカにされても、カメは卑屈にはならなかった。

「じゃ、ウサギさん。僕と競争しようよ」
「えっ、本気かい。僕に勝てると思っているのかい?」
「やってみないと分からないじゃないか」
「そこまで言うならば、受けて立とう」
 ウサギとカメは、向こうに見える山の麓まで、競争することにした。
 最初、ウサギは全力で走りだしたが、次第に、バカバカしくなってきた。
「足の速い僕が、負けるはずがない。どうせカメは、のろのろ歩いてくるんだ。天気もいいし、ちょっと一休みするか」
 自惚れていたウサギは、とうとう、いびきをかいて眠ってしまった。

 カメは、自分の力をよく自覚していたので、休まず、無理せず、歩き続けている。

 ウサギが目を覚ました時、太陽は、かなり西に傾いていた。
「いけない。寝過ごしてしまった」
 あわてて走りだしたが、もう手遅れ。
 カメは、先にゴールに着いて待っていた。

 確かに、ウサギは足が速い。ピョンピョン飛ぶように走る。しかし、自惚れて他をバカにしたり、努力を怠ったりしていると、やがて大きな失敗をするだろう。
 カメは、歩みがのろい。しかし、それは悪いことではない。悲観する必要はない。
 たとえ歩みは遅くとも、着実に、堅実に、たえまなく努力していけば、ウサギを超えることができるのである。

(『新装版 こころの道』p.112-115 編著:木村耕一)

『新装版 こころの道』書籍紹介

平成16年の発刊以来、ベストセラーとなっている『こころの道』が、新装版として生まれ変わりました。
ものの見方、考え方ひとつで、生き方、仕事、家庭、人間関係などが大きく変わります。
読むと、心の中に新しい風が吹いてくる、そんなきっかけを作ってくれる話を集めました。
ハンディサイズで手に取りやすく、どこでも気軽に読める本になっています。

『なぜ生きる』書籍紹介

子供から大人まで、多くの人に勇気と元気を与えている書籍です。
発刊から20年たった今でも多くの方に読まれています。
忙しい日々のなか、ちょっと立ち止まって、「なぜ生きる」、考えてみませんか?
『なぜ生きる』のお求めは、お近くの書店や、弊社まで(TEL: 03-3518-2126)
お問い合わせください。

話題の古典、『歎異抄』

先の見えない今、「本当に大切なものって、一体何?」という誰もがぶつかる疑問にヒントをくれる古典として、『歎異抄』が注目を集めています。

令和3年12月に発売した入門書、『歎異抄ってなんだろう』は、たちまち話題の本に。

ロングセラー『歎異抄をひらく』と合わせて、読者の皆さんから、「心が軽くなった」「生きる力が湧いてきた」という声が続々と届いています!

たとえ歩みは遅くとも、  堅実に進むほうがいいの画像1

たとえ歩みは遅くとも、  堅実に進むほうがいいの画像2