悪人ばかりだとケンカにならない 一家和楽の秘訣

 ある所に、内輪ゲンカの絶えないA家と、平和そのもののB家とが隣接していた。
 ケンカの絶えないA家の主人は、隣はどうして仲よくやっているのか不思議でたまらず、ある日、B家を訪ねて懇願した。
「ご承知のとおり、私の家はケンカが絶えず困っております。お宅はみなさん仲よくやっておられますが、なにか秘訣でもあるのでしょうか。一家和楽の方法があったら、どうか教えていただきたい」
「それはそれは、別にこれといった秘訣などございません。ただお宅さまは、善人さまばかりのお集まりだからでありましょう。私の家は悪人ばかりがそろっていますので、ケンカにはならないのです。ただそれだけのことです」

 てっきり皮肉られているのだと、A家の主人は激怒して、
「そんなばかな!!」と、言おうとしたとき、B家の奥で大きな音がした。
 どうも皿かお茶碗でも割ったようである。
「お母さん、申し訳ありませんでした。
 私が足元を確かめずにおりましたので、大事なお茶碗をこわしてしまいました。私が悪うございました。お許しください」
 心から詫びている、お嫁さんの声がする。
「いやいや、おまえが悪かったのではありません。先ほどから始末しようしようと思いながら横着して、そんなところに置いた私が悪かったのです。すまんことをいたしました」
と、続いて姑さんの声が聞こえてきた。

 「なるほど、この家の人たちは、みんな悪人ばかりだ。ケンカにならぬ理由がわかった」
 A家の主人は感心して帰ったという。

謗るまじ たとえ咎ある 人なりと
我が過ちは それに勝れり

(『新装版 光に向かって100の花束』p.17-18 著:高森顕徹)

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