1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

銅賞

『光に向かって123のこころのタネ』を読んで

甲斐富祐美さん(18歳・宮崎県) 一般の部

「何人も踏み入れてない、苦しい道を行ってこそ光る」

この言葉が私を支えてくれる。つらいことに直面したときは、自分を成長させるチャンスだと考えるようにしている。

この本に出会ったのは、中学1年のときだった。書店で表紙のタイトルを目にしたとき、一生の財産に出会えたようだった。早速、買い求めて家で読んだ。ページをめくるごとに胸を打つ言葉が書かれていた。少しずつ読もうと思っていたのに、指先は止まらずにページをめくっていた。結局、買ったその日に全部を読んだ。だが、1度読むだけではもったいない。そう思った私は、学校に持っていき休み時間も読み返していた。

そんなある日のこと。いつものように、この本を机で読んでいた時、クラスの友達が集まってきた。

「ねえ、何ていう本を読んでるの?」

彼女たちは興味深そうに尋ねた。

「これはねっ、生きていくうえでの教訓みたいなことがたくさん載っているんだよ」
と、ちょっぴり自慢げに答えた。すると、

「ちょっと見せてもらってもいい?」
という言葉が返ってきた。私は嬉しかった。

みんなで読みながら、この言葉がいいとか、カラー写真がキレイだとか、素直な気持ちを話した。みんなにも何かひとつでも心に残った言葉があれば、幸せだ。

嬉しいことと言えばまだまだある。朝読書の時間のことだ。静寂に包まれた教室でみんなが持参した本を読んでいた。先生がゆっくりと見回っていたが、私の机の前で先生の足が止まった。不思議で顔を上げると、先生がほほ笑んで言った。

「いい本を読んでるなあ」

先生にもこの本の良さが分かるんだな、と嬉しさが込み上げてきたのを今も覚えている。その時に読んでいたページは「小を軽視するものは大を失う」という主旨のもの。小さなことを大切にしようという心を忘れないでいたい私の信条でもある。

大学生となった私の本棚には今もこの本が並んでいる。他の本とは違う存在感がある。何度も手にして読み返したため、色が薄黒くなり、四隅も擦れている。しかし、いつまでも大事にしたい1冊である。つい最近も、妹がやってきて、
「お姉ちゃん、この本貸してくれる? 読んでみたいの」
と本棚から取り出して見せた。今までそれほど読書家でなかった妹の言動には驚いた。しかし、嬉しかった。

この本には不思議な魅力がある。こんなに素敵な本に出会えて、私の生き方の励みになっている。良い本というのは、何度も何度も読み返したくなる本だ、と聞いたことがある。本当にそうだと思う。自分もそうであるが、周囲の友達や知人にも読んでもらえたら嬉しい。

今日もまた、私はこの本を開いている。私のエネルギー源だ。一生大事にすることをここに誓う。