1. 人生
  2. 法律

弁護士に聞く「交通事故の損害賠償」主婦は休業損害をいくらもらえる?

日本では、交通事故(人身事故)が年間50万件以上も発生しており、死傷者数は70万人近くにものぼります。

いつ、誰が加害者になっても、被害者になってもおかしくありません。

自分が交通事故に遭ってしまったときにはどんなことをしなければならないのか、どんな権利があるのか、賠償金はどれくらいもらえるのかを知っておけば、いざというときに役に立ちます。

今回は、主婦が交通事故に遭ってケガをした場合の「休業損害」について、森岡真一弁護士に答えてもらいました。

保険会社に任せるだけでは、受け取れない賠償金がある?

私たちは交通事故に遭った場合、「警察と保険会社には連絡しないといけない」ということは分かっても、それ以上のことは分からないのが実際のところだと思います。

しかし、何でもかんでも保険会社に任せればうまくいく、というものではありません。

怪我をした場合、基本的には自分で加害者の保険会社の担当者と連絡を取り合って、病院への通院や休業損害、慰謝料についての協議をしなければなりません。

このとき、相手の保険会社の提案をそのまま受け入れてしまうと、本来はもっと損害賠償を受け取ることができたのに……、という事態も起こり得ます。

主婦も立派な仕事、少なくない休業損害が出ます

「会社員が交通事故でケガをして、仕事に行けなくて給料が減ってしまった……」

「自営業で店をしている人がケガをして、店を休んだために売上げが減った……」

そんなときなら、給料や売上げが減ってしまった分について休業損害をもらうことができるだろうということは分かりますよね。

では、主婦の場合はどうなのでしょうか。

主婦が家事をしても、お金がもらえるわけではありませんから、給料が減るということも売上げが減るということもありません。

そうすると、「休業損害ってもらえないのかな?」と思われるかもしれません。

そんな思いを持っていると、保険会社から少ない金額でも休業損害が提示されると、「ちょっとでももらえるんなら、それでいいか」と思って、あっさり示談に応じるかもしれません。

しかし、実は主婦であっても休業損害をもらうことができますし、しかもその金額は少なくないのです。

1.専業主婦の場合

例えば、給料30万円もらっている人が1カ月働けなくて、まったく給料がもらえなかったら、休業損害は30万円となります。

休業損害は、収入が減った分について補償を受けるものです。

では、主婦の休業損害はいくらになるのでしょうか。

実際には給料をもらっていないのだから、一体いくらもらえるのか、そもそも休業損害をもらえるのかと疑問に思われるかもしれません。

しかし主婦の仕事というのは、実際にはとても大変な仕事です。

朝から晩まで、洗濯、掃除、食事の準備片付けはもちろん、それ以外にも様々な細かいことをしなければなりません。

小さいお子さんがいると、少しも目を離すことができず、本当に大変です。

もし家政婦さんを雇ったら、どうなるでしょうか。

主婦のやっている家事を全部代行してもらったら、1日あたり1万5000円から2万円位はかかってしまうかもしれません。

主婦の仕事の経済的な価値はとても大きいものなのです。

主婦の休業損害計算法

では、主婦の休業損害はどのようにして算出されるのでしょうか。

この点、裁判所は「女性の平均年収を基礎収入として休業損害を計算する」としています。

女性の平均年収は、約365万円です。月収30万円の給料がある人とほとんど同じということですよね。

そうすると、例えば主婦が交通事故でケガをして、1カ月間、まったく家事ができなかった場合の休業損害は、以下の計算式により算出されることになります。

まず、1日あたりの休業損害額は、

365万円÷365日=1万円となります。

家事がまったくできなかったとすれば、

1万円×30日=30万円が休業損害ということになります。

実際には減収がなくても、このように休業損害を受け取ることができるのです。

2.兼業主婦の場合

では、兼業主婦の場合にはどうなるでしょうか。

例えば、月額10万円の収入のあるパートをしている主婦が1カ月間、パートに出ることもできず、家事もできなかった場合はどうなるでしょうか。

兼業主婦の場合には、女性の平均収入と実際の収入との多い方を基礎収入にするとされています。

したがいまして、月額10万円の収入がある場合でも、約365万円を基礎収入とします。

兼業主婦で、年収365万円を超える場合には、そちらのほうを基準とします。

主婦業を100%休んでいなくても、自信を持って請求を

ただ、主婦の場合には家事が100%できないということが少なく、少しはできるということが多いです。

仕事だと休めば給料はもらえませんが、主婦の場合には少しはできますし、実際、多少辛くてもやらざるをえないでしょう。

ということで、この点をどのように評価するかは難しい問題であり、ケースバイケースの対応となります。

例えば、初めは100%家事ができないとして、時間が経過するにしたがって、75%、50%、25%などと、だんだんと家事ができる割合を増やしていくという方法もあります。

専業主婦であっても兼業主婦であっても、相当の休業損害がもらえることを紹介いたしました。

突然の事故となると、気が動転してしまって、つい弱気になりがちです。主婦の方でも、休まざるを得なくなった労働分の対価はもちろん主張できます。

交通事故はないに越したことはありませんが、万が一の場合は、ぜひ自信を持って休業損害を請求していただければと思います。

まとめ

  • 保険会社に任せたままだと、ほとんどの場合、相応の主婦の休業損害額は受け取れていない
  • 主婦の休業損害額は、単純計算で1日約1万円
  • 事故に遭ったら泣き寝入りではなく、ぜひ休業損害の請求を

交通事故対応の他の記事はこちら

他のお悩み解決記事もチェック!