1. 人生

尊敬される人が心掛けている、最も難しいこと―尾張の徳川義直

5月30日の誕生花は、アマリリスだそうです。

赤、白、紫などの華やかな大輪の花を咲かせ、その花言葉には「輝くほどの美しさ」「内気」「強い虚栄心」などがあります。

今回はその中でも、誰にでもある「虚栄心」に流されることなく、臣下の忠告に耳を傾け、尊敬された名君のお話です。

心がパッと明るくなる「花束」のようなエピソードの詰まった『新版 光に向かって100の花束』(高森顕徹 著)からお届けします。

(1万年堂出版編集部より)

大将たる者、臣下の言葉をよく聞くべし~持田主計と名君

大将たる者の第一のつとめは、臣下の諫言(かんげん)を聞くことである。

諫めを受けねば、己があやまちを知ることができない。

それゆえに人の上に立つ者は、家来が諫めのしよいように、よくなつかせておかねばならぬ。

武田勝頼は諫言を嫌って身を滅ぼし、信長も森蘭丸の諫めをもちいず明智の恨みをかい失脚した。

唐の太宗は広く諫言の道を開いたから、子孫長久の基を築いたのである」

徳川義直は口癖のように、こう教訓していた。

しかし、諫言に耳を傾け、進んで諫めをいれることは、難中の難事である。

 

あるとき、匿名封書を奉った者があった。義直が開封すると、

お家には、十悪人がおります

という書き出しで、九人の名前が列挙してあったが、あとの一人が記されていない。

もう一人は、だれであろうか

義直は、近習を見まわしてたずねた。

そのとき、持田主計という二十三歳の秘書が、

それは、殿さまでございましょう

と答えた。

なんと申す。余が悪人とな

義直は、声をふるわせる。

他の九人は臣下でございますから、はばかるにおよびませんが、残る一人は、はばかるべきお方ゆえ、わざとお名をあげなかったものと思います。お名をあげずとも、殿さまには、おわかりになると思ったのでございましょう

ちょうど、自分が書いたもののように、ヌケヌケと言いはなった。

余は格別、思い当たるところはないが、なにか欠点があれば言うてみよ

ございます。殿さまが、ご改心あそばして然るべしと思うことがおおよそ、十ヵ条ほどございます。よろしくば申し上げましょう

と、列座の近習らの前で持田主計は、立板に水を流すごとく、義直の欠点を並べたてた。

臣下の前で、さんざんにコキおろされた義直は、一時は憤懣やるかたなく、肩で荒い息をしていたが、よくよく反省してみれば、持田主計の指摘には、思い当たる節が多かった。

数日後、義直は持田主計を大忠臣として加増し、旧に倍して重用し国政に参与させたという。

名君と、いわれた所以である。

(『新版 光に向かって100の花束』より)

徳川義直とはどんな人物?

徳川家康の九男で、全国300以上を数えた大名家の中でも、最高位を誇った徳川御三家の筆頭格「尾張徳川家」の初代藩主。学問と剣術を好み、文武両道の人生を歩んだと言われる。

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