子どもを守る防犯の新常識 #3

  1. 子育て

「家なら子どもは安全」はホント?公園やトイレなど身近に起きる子どものための防犯対策

犯罪から子どもを守る、正しい防犯をご紹介する連載記事の第3弾です。

「自分の子どもが犯罪に巻き込まれたらどうしよう……。」

そんな不安を感じるお母さんが、多いのではないでしょうか。

警察庁のデータによると、13歳未満の子どもに対する誘拐や性犯罪に関する割合が年々増えており、平成30年には1000件以上の被害が報告されています。

前回は「入りやすい」「見えにくい」という2つのキーワードで、子どもが連れ去られやすい場所、通学路について、防犯対策の日本有数の専門家である小宮信夫教授に教えていただきました。

最終回である今回は、親の目が届きにくい放課後に着目して、公園や家での正しい防犯を教えていただきます。

子どものためにも絶対に押さえておきましょう!
「家なら子どもは安全」はホント?公園やトイレなど身近に起きる子どものための防犯対策の画像1

日本の公園は危険!?

——前回の記事では、連れ去られやすい通学路について教えていただきました。
今回は子どもが帰宅した後、親の目が届きにくい放課後の防犯について、教えていただきたいです。

子どもは放課後に、友達と公園で遊ぶことが多いと思います。
公園でも誘拐される危険はあるんでしょうか?
親や友達と来ていれば安全だと思うのですが、いかがでしょうか。

小宮教授:そう思いますよね。確かに子どもが沢山いて、固まって遊んでいるなら安全です。

でも、日本の公園というのは、あっちにすべり台、こっちにブランコみたいに、1か所に遊具が集中してないですよね。

そのため、それぞれが好きな遊具で遊んでいると、気づかないうちに誘拐されてしまったということが起こりえるんです。

ですから「公園だから」「友達と複数人だから」「親と一緒に来ているから」安全。と言い切ることはできません。

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子どもを1人でトイレに行かせちゃダメ!

——そうだったんですね。

確かに日本の公園は、遊具がいろんなところに分散していて、子どもがそれぞれ好きな所で遊んでいる印象があります。
逆に海外の公園は、遊具が1か所にまとまっていて、フェンスで囲われており、「入りにくい」場所だから安全なんですね。

公園の中でも、特に危険という場所はありますか?

小宮教授:ありますよ。

これは公園に限った話ではありませんが、トイレは、とても危険な場所ですね。

ある程度の年齢の子どもは、1人でトイレに行くことができますよね。

お母さんたちも「トイレくらいなら1人で行かせても大丈夫かな」と思ったり、「誰かが見てくれているから大丈夫かな」と思うかもしれません。

しかし、犯罪者は子どもがトイレに1人で行くことを知っていて、そのタイミングを狙い、子どもを待ち伏せしています。

また、トイレは周囲から「見えにくい」場所に設置されていることが多いです。

そのためトイレで犯罪に遭ってしまうと、誰にも目撃してもらえない可能性があります。

だからこそ、公園でもショッピングモールなどの大型施設でも、トイレが1番危ない場所になるんです。

——そうなんですね!トイレがこんなに危険だなんて知りませんでした……。

実際に、トイレで起きてしまった誘拐事件はあるんでしょうか?

小宮教授:残念ながら沢山あります。その中から1つをご紹介しましょう。

2015年7月に、奈良のリサイクルショップで、小学6年生の女の子が誘拐される事件がありました。

家族でリサイクルショップに来た女の子が、「トイレに行ってくる」とお母さんに伝え、1人でトイレに向かいました。

そのときに待ち伏せしていた男がトイレに押し入り、女の子は車に押し込まれ、連れ去られてしまったのです。

結局、事件発生から32時間後に男は逮捕され、女の子も無事に保護されました。

トイレがいかに危険な場所なのかが、この事件から分かると思います。

性犯罪から子どもを守るために

——女の子が無事で、本当に良かったです。
トイレがとても危険な場所だということが、よく分かりました。

一方で、子どもがトイレで巻き込まれる犯罪は、誘拐以外にもあるのでしょうか?

小宮教授:ありますよ。実は、トイレでの犯罪で最も多いのは、性犯罪なんです。

具体的には、子どもが1人でトイレに行ったときに、後ろからついてこられて、トイレの個室で被害に遭うケースが多いです。

だから、親がいる場合は必ず親と、子どもしかいない場合は複数人で、トイレに行くことが大切です。

——トイレでの誘拐や性犯罪を防ぐには、トイレに1人で行かないことを徹底することが重要なんですね。

必ずしも、親が子どもと一緒にトイレに行けるとはかぎらないですよね……。
そんな中で被害に遭わないために、日ごろから親が子どもにできることがあれば教えてください。

小宮教授:そうですね。それはプライベートゾーンを、しっかり教えてあげましょう。

プライベートゾーンとは、水着を着たときに隠れている部分のことを指します。

親はまず、プライベートゾーンの場所を、子どもに教えることが大切です。

そのうえで、「プライベートゾーンを触ってくる人がいたら、すぐにお父さんやお母さんに言って」と子どもに伝えましょう。

具体的な言い方としては、「学校のプールで泳ぐときに、人に見せないところは絶対に触られちゃいけないんだよ。それはあなただけのものなんだからね。先生も絶対に触ってはいけないんだよ。」という風に、ちゃんと教えてあげてくださいね。

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家の中でも犯罪の危険はある

——プライベートゾーンを教えることで、子どもが自分で性犯罪に気づき、親に助けを求めることができるんですね。

ここまでは、公園やトイレなど家の外で起きる犯罪について教えていただきました。
では逆に、家の中で子どもが遊んでいれば安全ですよね……?

小宮教授:……それが家にいても、犯罪に巻き込まれる危険があるんです。

特に、子どもだけで留守番をしているときや、子どもが1人でカギを使って家に入るときには、注意が必要です。

——そうなんですか!それは詳しく教えていただきたいです。

子どもだけで留守番しているときに、注意したほうがいいことはなんでしょうか?

小宮教授:はい。留守番の場合はまず、インターホンには絶対に出ないということが大切です。

だからといって、居留守を使う必要はないですよ。

テレビを見たりゲームをしたり、音を出していても大丈夫です。

音がないと逆に、空き巣に狙われる可能性がありますからね。

音は出しててもいいけれど、インターホンに出る必要は全くないです。

同じように電話にも出る必要はありません。

もし、親が留守番している子どもに用事があった場合は、「何時にもう1回電話するね」と留守番電話にメッセージを残してあげましょう。

子どもが親の電話番号を知っているときは、「携帯に電話してね」という留守番を残します。

子どもには、必ず留守番電話を聞いてから、電話を取るように伝えてください。

親がメッセージを入れているときに電話を取るのはいいですが、誰だか分からない人からの電話は出ないように徹底しましょう。

——「居留守を使う必要はない」というのが意外でした!

でもやっぱり子どもは、親の真似をして電話やインターホンに、出たくなっちゃうと思うんです。
そんな子にはどう教えればいいでしょうか?

小宮教授:子どもは親の真似をしたがりますから、出たくなってしまうのはわかります。

でも、子どもがどんなに自信満々だとしても、大人の犯罪者には勝てないということを、教えてあげることが大切です。

具体的には「大人の男の人が急に家に入って来たら、走って逃げられるかな?取っ組み合いになったら勝てるかな?」と聞いて想像させましょう。

それでも子どもが「勝てる!」などと自信満々の場合は、実際にお父さんやお母さんとやってみるのがいいと思いますよ。

親子のコミュニケーションにもなりますし、子どもは「やっぱり勝てないや。勝負しないほうが身のためだな」と、身をもって理解することができます。

——やはり、子どもに身をもって体験してもらうことが大切なんですね。

では先ほどおっしゃっていた、自分でカギを使って家に入る子に関しては、なにが危険なのでしょうか。

小宮教授:そうですね。

例えば自分でカギを使って家に入る子が、犯罪者がついて来てたことに気づかず、カギを開けてしまったとします。

その場合、犯罪者が無理矢理家の中に入ってくる可能性がありますよね。

家の中に入られてしまったら、そこは非常に「見えにくい」場所になので、助けを呼ぶことが難しいです。

そのため、性犯罪などの犯罪の被害に遭ってしまう危険があるんです。

——1番安全な家の中が、犯罪者に入られてしまった瞬間に、誰にも見てもらえない危険な場所になってしまうんですね……。

そのような被害に遭わないためには、親は子どもにどのように教えればいいのでしょうか。

小宮教授:やはり効果的なのは、子どもと一緒に家に入るときに、「ちょっと後ろを振り返ってごらん?誰かついてきてない?誰かこっちを見てない?」などと言って、後ろを確認する練習をさせることです。

常に、家に入る手前の段階で周りを見て、自分のことを狙っている人がいないかどうか確認させることが大切です。

安全を確認したあとに初めて鍵を取り出して、中に入るという習慣づけを行いましょう。

常識を疑う心を持つことから始めよう!

——全3回に渡って、小宮教授に子どもを守る正しい防犯について、教えていただきました。
最後に、この記事を読まれるお母さん方にメッセージをいただけますか?

小宮教授:はい。私もそうですけど、お母さん方も無意識のうちに常識、先入観、そういったものの呪縛にとらわれていると思うんです。

その典型が防犯だと思っています。

今までの記事で紹介したもので言えば、不審者に対する間違ったイメージや、誘拐されやすい場所の間違った常識がその例です。

なので「防犯」を切り口にして、自分の常識を疑ってみてください。

そして防犯に限らず、色んなことを、1つ1つ疑問に思えるようになれば面白いですよね。

そのような疑ってみる目や、常識にこだわらない意識っていうのは、子どもに持たせるとぐっと成長していくと思うんですよ。

特に、これからの10年は、社会が目まぐるしく変化していく時代です。

今の常識が通用しないどころか、足を引っ張ることになるかもしれません。

変化の激しい時代には、自分で調べ、自分の頭で考えることが、とても重要になります。

そういうスタンスで、子どもに常識を押し付けるのではなく、子どもと一緒に常識を打ち破っていけるような家庭を、作っていってほしいというのが私の願いです。

——小宮教授、ありがとうございました!

まとめ:親の目が届きにくい放課後にこそ、徹底した防犯を!

今回は、親の目が届きにくい放課後の正しい防犯を、ご紹介しました。

ぜひ参考にしてみてくださいね。

・公園でも犯罪に遭う危険性はある

・子どもを1人でトイレに行かせない

・プライベートゾーンを教える

・留守番中は電話とインターホンには出ない

・常識を疑う心を持つ

参考資料はこちら

令和元年版警察白書

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記事の第1弾、第2弾はこちら↓