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老いてこそデジタルを!マーチャン(若宮正子)84歳の勧めるデジタル活用法

若宮正子さんの名前が、世界に知られるようになったのは2017年、81歳のとき。
iPhoneアプリのゲーム「hinadan(雛壇)」の開発者として、米国アップル社が年に一度開催する会議WWDC2017で、最高経営責任者のティム・クックさんに紹介されたことがきっかけでした。

しかし、その数年前からすでに、計算ソフトExcel(エクセル)に誰もが親しめるようにと「エクセルアート」を考案したり、TEDxTokyo2014で若い聴衆を前に堂々スピーチしたり、年齢を聞けばびっくりするような活躍をされていました。

そんな若宮さんは、今、高齢者にICT(情報通信技術)を広めるエバンジェリストとして、国内だけでなく、世界を飛び回っています。

「ICTなんて自分には関係ないわ」と思っている方は多いですが、シニアにこそインターネットを活用してほしい。
そう願う若宮さんの新刊『老いてこそデジタルを。』が、このたび発刊されました。

内容を簡単にご紹介します。

そもそもデジタルって何?

「私はアナログ人間だから」と言われる方があります。
「アナログ」と、この本のテーマである「デジタル」の違いって何でしょう。

アナログ時代には「体重は50キログラム強」なんていう表現がありましたが、デジタルでは「50.3キログラム」と数字がきっちり表示されます。
デジタル化とは、いろいろな物や現象などを、数値で表すこと(数字に置き換えること)です。

では「デジタル機器」はどんな物でしょうか。

簡単にいますと、コンピューターの技術を使った機器、または音声、写真、映像などを「デジタル化」するための道具です。

といいましても、皆さんのお宅でお使いの、ほとんどの家電、エアコン、おふろ、洗濯機も、程度の差こそあれ、何らかの形でコンピューターの機能を使っています。
ですから、「デジタル機器」といった場合には、コンピューターが「主役」として働いている機械、道具のこと、と理解していただければいいと思います。(1章25ページ)

デジタルの道具にはどんな物がある?

コンピューターが主役のデジタル機器には、次のような物があります。

  • パソコン
  • スマホ(外出用の小型パソコンといえます)
  • タブレット(パソコンとスマホの中間的存在)
  • AIスピーカー
  • ウェアラブル端末(身につけるタイプのコンピューター)

本書では、それぞれについて、マーチャン流の解説がされています。
さまざまなデジタルな道具がある中で、シニアはどれを選べばいいのでしょう。

私は、それは皆さんの生活環境や、ライフスタイルによって、決めるのがいいと思っています
例えば、買い物以外の外出は基本的に週に(月に)一度、病院に行くだけ、という方なら、スマホなんていらないですよね。でも、何らかの事情で電話がいるのなら、ガラケー(携帯電話)でいいと思います。
小さな文字が見えにくい、写真や動画を見たい、ということならスマホより、画面が大きなタブレットやパソコンのほうがいいと思います。
寝たきりに近く、体をあまり動かすことができない方でしたら、家電を声で操作できるAIスピーカーがあると便利ですよね。今は特に体に不都合ない方でも、音質のいいAIスピーカーで音楽を楽しむ、という使い方もあると思います。(1章29ページ)

家族や誰かとつながることが危機管理に

これらのデジタルの道具でインターネットを使うと、いろいろなことができます。

インターネットは遠く海外とつながることもできる「翼」でもありますが、まずは、お隣の人や家族とつながることから始めてみてはいかがでしょうか。
楽しくおしゃべりするだけでなく、危機管理にもなります。

いつも家族とつながっていれば、オレオレ詐欺にも引っかからないと思うのです
ふだんからやり取りしていれば、携帯番号を変えたなら当然、家族には知らせるはずです。"風邪を引いた声"の男性に「電話番号が変わった」と言われたら、「これはおかしいな」と気づくでしょう。(2章60ページ)

また、あなたが住んでいる地域で災害が起こったとき、家族は真っ先に「おじいちゃん(おばあちゃん)、大丈夫かな?」と心配します。そんなときに、LINEなどで「無事です」「体育館に避難しています」と一報をもらえれば、家族はどれだけ安心するでしょう
逆に、家族から安否確認のためにLINEが送られてきたとき、すぐに返信ができなくても、開くだけで「既読」になりますから、「ああ、おばあちゃん無事みたい」とひとまずホッとすると思いますよ。(2章61ページ)

キャッシュレス時代を軽やかに生きる

「キャッシュレス」とは、現金(お札やコイン)を使用しないで、お金の受け渡しをすることです。

現在、多種多様なキャッシュレス手段が登場しています。例えば次のようなものがあります。

  • クレジットカード
  • 電子マネー(Suica、PASMOのようにお金をチャージして使うもの)
  • デビットカード(預金口座と紐づけられた決済用カード。銀行が発行し、このカードで決済すると代金が即時に口座から引き落とされる仕組みです)
  • スマホを使った「QRコード」で請求先を呼び出して決済

こちらも、それぞれ、どれを使えばいいのか、マーチャンがアドバイスします。

最近話題のPayPay(ペイペイ)などのスマホ決済についても、解説されています。

老いることで失ったならば、補えばいい

デジタルの道具は、便利に暮らすためのものですが、年齢とともに低下する体の機能をサポートするのにも役立ててほしい、と若宮さんは考えています。

老いに対する不安は、誰もが持っています。
目が見えにくくなって、耳も聴こえにくくなります。記憶力も悪くなります。また、筋力が低下し、平衡感覚も衰えてきます。

最近の研究では、難聴になると、脳の萎縮や、神経細胞の弱まりが進み、それが認知症の発症に大きく影響することが、明らかになってきているそうです。また、難聴のためにコミュニケーションが取りにくくなると、人との会話を避けるようになり、社会的に孤立してしまう危険もあるともいわれています。
ですから、聴力の低下を補うことは、とても大切です。
聴力だけでなく、今は、視力や記憶力、体力を補完するデジタル機器もたくさん開発されてきています(付録193ページ)

どんな道具が役立つか、この本では現在84歳の若宮さんがシニアの代表として、実際に体感した最新のデジタル機器を動画付きで紹介しています。
*QRコードを読みこむと、動画が見られます。

ボケ防止にはクリエイティブなことをする!

ちまたには認知症予防のドリルや対策グッズがあふれています。
でも、100マス計算などの単純作業よりも、私は創造的なものを作り出す作業をすることが、いちばんだと思っています
「創造」というのは、お手本どおりや人のまねでなく、自分で新しいことを考えて何かを作るということです。(6章155ページ)

パソコンを使ったクリエイティブなものとして、若宮さんがまず紹介しているのがエクセルアートです。
エクセル(Excel)というソフトウエアの「セルの塗りつぶし機能」や、「罫線の色つけ機能」を使ってアート(作品)を作るのです。手芸のような感覚で楽しめるのが、シニアにピッタリとのこと。

また、ワードでお絵描きしたり、ビデオを編集したり、世界でたった一つのオリジナル作品を「創造」することをオススメしています。

デジタルライフを楽しむためにはリスクの知識も

しかし、シニアにデジタルを勧めるだけでは、足りないものがあるのです。
それは、セキュリティの知識です。
この本では、初心者だからこそ知っておきたいセキュリティについても、しっかり解説されています

「パスワードを盗まれないためには、使い回しをしないこと」「スマホを狙ったウイルスも増えている」「身に覚えのない請求がメールで届くのは詐欺」「偽サイト・模倣サイトにもだまされないで」など、一読しておけば、いつもと違うことが起きたとき、「あれ、おかしいな」と気づくことができます。

また、新しいアプリを入れるとき、初めてインターネットで買い物をするときに、注意したいことも分かります。

人生100歳時代を、賢く、明るく、豊かに生きるために、この本を参考に、デジタルをおおいに活用していただきたいと思います。

詳しくは