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眼科ドックを受けて、失明のリスクを最小限に!「見えているから」と放置しないで

目の病気には、自覚症状がほとんどないものがあります。
「自覚症状のない病気を早めに発見するために、ぜひ眼科ドックを受けましょう」

そう話すのは、眼科手術のエキスパート、舘(小川)奈保子先生です。

眼科ドックを受診することで、どんなメリットがあるのか、詳しくお聞きしました。

こんな人に眼科ドックをおすすめします

一般の人間ドックや健康診断は、目の検査項目はごくわずかです。
眼科ドックでは、緑内障、加齢黄斑変性をはじめ、白内障やドライアイといった病気が分かります。
以下に当てはまる人は、特に受診をお勧めします。

・40歳以上の人
・血縁者が緑内障、糖尿病の人
・近視が強い人
・眼科を一度も受診したことがない人
・眼精疲労のある人
・生活習慣病(糖尿病、高血圧、高コレステロール血症など)の人
・喫煙している人

眼科ドックの中でも重要なのが眼底検査です。眼球の奥にある血管、網膜、視神経の状態を、直接見て、診察するものです。

眼底検査で分かることはたくさんあります。
説明が少し難しくなりますが、検査を受けるメリットを挙げました。

眼底検査の6つのメリット

①脳出血や脳梗塞の危険が分かる

網膜の血管と脳の血管は、同じ幹から分かれており、性質も似通った、いわばきょうだい同士の血管です。
脳の血管を調べるには、大がかりな検査が必要ですが、網膜の血管は、ただ眼底をのぞくだけで見ることができます。

高血圧や動脈硬化が何年も続くと、血管の壁に変化が起こります。硬くなった動脈と、軟らかい静脈の交わる所では、静脈が押しつぶされたり詰まったりします。
もし、眼底検査で、網膜から出血が見つかれば、高血圧や動脈硬化が、何年も続いている疑いがあります。
血管の壁が変化している証拠ですから、このままでは脳出血や、脳梗塞などを起こす危険があります。まずは、内科での治療を受けていただくことになります。

②糖尿病網膜症を発見できる

50代、60代での失明の、最も多い原因は、糖尿病網膜症です。
眼底検査で、糖尿病網膜症による出血などの症状が見つかれば、何年も前から糖尿病になっていたことが分かります。
糖尿病によって、体のあちこちに傷みが現れていることが疑われます。慎重に治療をすることが必要です。
糖尿病網膜症は、初期の段階では全く自覚症状がなく、眼底検査で発見されることが多いのです。自覚症状が出るまでに時間がかかり、とことん悪くなってからでは治療が難しい病気です。
しかし、発病してから失明するまでには、何年もかかりますので、途中で、食い止めることができます。

③緑内障を発見できる

日本人の、失明原因の第1位が、緑内障です。
緑内障になると、自覚症状が現れる前に、視神経がやせていきます。
眼底検査では、網膜から視神経に移行する部分(視神経乳頭)を直接見ることができます。
視神経乳頭は、網膜からの情報を脳に伝える視神経を束ねているところで、真ん中に少しくぼみがあります。このくぼみを視神経乳頭陥凹といいます。

緑内障になると、視神経がやせるために、視神経乳頭陥凹が大きくなります。
視野が欠けて自覚できるようになるのは、かなり末期の緑内障なので、視神経乳頭の形の変化で初期の緑内障を発見することができます。

④頭の中の病気を予測できる

脳腫瘍や脳出血などが起きていると、頭蓋内の圧が上がります。
すると、正常な時には、くぼんでいる視神経が、はれてきます。
眼底検査で、視神経のはれを発見したら、CT検査、MRI検査などにつなげて、早期に、重大な病気の診断をすることができます。

⑤加齢黄斑変性の徴候が見つかることも

欧米では、成人の失明原因の第1位が、加齢黄斑変性です。
見ようとする中心が見えにくくなり、進行すると、字を読むこともできなくなる病気です。日本でも急激に増えており、今や、日本人の失明原因の第4位になりました。

網膜の中にできる沈着物(ドルーゼン)は、加齢黄斑変性の前段階の徴候です
見えにくくなる症状が現れるより先に、眼底検査でドルーゼンを見つけることもできます。
ドルーゼンが見つかった場合は、栄養補助食品の摂取などで、加齢黄斑変性への進行予防につなげることができます。

⑥網膜の病気を発見できる

眼底検査を受けると、眼球の内側にある網膜の病気を見つけることができます。
例えば、網膜剝離という、網膜がはがれる病気があります。
痛みを伴なわないので気がつきにくいのですが、放置すれば失明してしまいます。
治療には手術が必要です。初期の段階で発見できれば、通院してレーザー治療で治すことができます。

眼科ドックを受けて、失明のリスクを最小限に!「見えているから」と放置しないでの画像1

いかがでしたでしょうか。

眼科ドックでは、目の病気の兆候はもちろん、血管の状態から脳出血や脳梗塞も察知できるのです。

眼科ドックを受けて、その結果を詳しく調べて、病気があればちゃんと治療する。そのようにして、目の健康を保っていただきたいと思います。

舘先生の本を12月に発売します!

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