もう二度と来ない幸せを経験すると、その後の人生がずーっとつらい

「崩れたら崩れたときさ。思い出が残ればいいんだ」と言うむきも、あるでしょう。
 たしかに、去ってしまった幸福をいくら嘆いても詮ないこと。つらい現実を忘れて、楽しい思い出にひたりたくなる気持ちは、誰にでもあります。
 しかし病気になって、昨日までの健康を喜ぶことができるでしょうか。
「もう戻れないよ どんなに懐かしく想っても あの頃確かに 楽しかったけど それは今じゃない」(「End roll」)
と浜崎あゆみの詞にもあるように、あの頃がどんなに楽しかったとしても、それは戻れぬ昔であり、「今」は楽しくないのです。
 思い出には〝甘さ〟こそあれ、今を楽しくする〝力〟はありません。
 また、二度と来ない幸せを経験すると、その後の人生がずっとつらくなることもあります。
 誰よりも理解してくれた人と引き離されたら、どんな気持ちになるでしょう。
「一番の幸せと信じていたのは、一番の不幸だったのではなかろうか。いっそ知らずにいたほうが良かった」と後悔するかもしれません。
 なまじ輝きを与えられると、ちっぽけな平凡は選べなくなってしまいます。
 どんなに素晴らしい人とのめぐり会いも、無条件で幸福とはいえないでしょう。
「不幸な境遇にあって、かつての幸せをおもうほど悲惨なことはない」――ダンテの『神曲』地獄篇の言葉です。
 あまりに貴重な過去は、現在の地獄をよけい惨めにさせます。

(『なぜ生きる』p.81-82 著:明橋大二・伊藤健太郎、監修:高森顕徹)

『なぜ生きる』書籍紹介

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