決意したことは、ためらわずに、すぐに実行すべきである

 世間の習わしに従い、周囲と調和して生きようとする人は、何事を行うにも、それにふさわしいタイミングを選ばなければならない。その時機を誤って無理押しすると、周囲の人々に理解されなかったり、反感を買ったりして、物事が成就しなくなる。
 しかしながら、病気にかかること、子供を生むこと、死ぬことだけはタイミングのよしあしに関係なくやってくる。都合が悪いからといって、止めることもできない。
 人は生まれたからには、次第に老い、病にかかり、死んでいく。しかも、この生・老・病・死の変化は、激しく流れる川の水のように、しばらくも停滞することなく、どんどんわが身に迫ってくる。いつ死に直面するか分からないのだ。
 だからこそ、この人生において、必ず成し遂げようと決意したことは、タイミングなど問題にせず、すぐに実行すべきである。世間の習わしや周囲の事情を考えて、ためらったり、足踏みしたりしてはならない。

(第百五十五段)

 生まれたかぎりは、必ず死なねばならない。
 しかし、私たちは「明日は死なない」と固く信じている。
 次の日になっても、また「明日は死なない」としか思っていない。
 この心を突き詰めていくと、永遠に死なないと思っている心が腹底にあることが分かる。この大いなる矛盾に、驚くべきである。
「老少不定」といわれるように、年寄りから先に死ぬとは限らない。学生だろうと、子育て中だろうと、情け容赦なく襲ってくる。
 だからこそ、この短い人生で何をなすべきなのか、確固たる目的を見つけることが先決である。
 次に、人生の目的が定まったら、
「その達成のためには、ためらったり、足踏みしたりせず、断固、突き進んだほうがいい」
と兼好は、力強く押し出している。

(『新装版 思いやりのこころ』p.128-130 編著:木村耕一)

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