1万年堂出版が開催した
読者感想文コンクールの
入賞作品の一部をご紹介します。

銀賞

『こころの朝』を読んで

佐々木彩香さん(15歳・京都府) 高校生の部

私は、今までにこの本を何度も読みました。読む時は、いつも決まって、つらい時です。つらくなった時、この本を読むと、心が癒されます。また頑張ろう、そう思えます。でも、それ以上に、もっとつらくなります。いろいろな事を考えさせられて、気分が落ち込みます。それでも本を読む前より少し強くなったような気がします。そして、また頑張れます。だから、私は自分がつらくなった時に、いつもこの本を読んでいます。

私がこの本を読んで、一番印象に残っているのは、上杉謙信の「自分らしく、自分の心に恥じない生き方を」という話です。特に、その話の中の、謙信の言葉の一部分が心に残り続けています。「自分が精一杯やったかどうかは、他人の目ではなく、自分の心を証人として判断すべきである。たとえ素晴らしい働きをしたのに、周囲からまったく評価されなくても、誰も恨む必要はない。『おまえは、よくやった』と自分の心で誇れるならば、それが一番いいのだ。」という所です。

私の家族は、両親ともが働いています。兄弟は、兄と妹がいます。私は長女です。両親は帰りが遅くなるので、ほとんどの家事を任されています。しかし、兄も妹も、なかなか手伝ってはくれません。私は一人で任されている家事をすることが多いです。小学生の時から、そうしてやってきました。それでも両親は、私は長女だし、今はもう高校生なのであたり前だと思っているのか全然誉めてくれませんでした。別に誉めてもらうためにやっているわけではないし、私は、仕事を頑張っている両親が好きなので、私も家事を頑張ってはいたのですが、やっぱり誉めてもらえないのは、少しさみしかったりします。日本に私みたいな子や、私よりさみしい思いをしている子は、たくさんいると思います。世界で考えると、私は羨まれる立場だと思います。それを理解していながら、そんな事を言っている自分が恥ずかしいです。それでも、誉められたい、認められたいと思ってしまいます。この本を読んで、そんな自分が情けなく思いました。自分の頑張りは、自分が認めてあげればいいんだ、と思うと、少し気持ちが楽になりました。でも、それでもやっぱり人に認めてほしいと思ってしまいます。自分の頑張りを人に認めてもらって初めて、自分の事を自分で認めてあげられるような気がします。そしたら、きっと今の自分に自信もついて、自分の事を好きになれるような気がします。こんな風に思ってしまうのは、私だけかもしれませんが、私はそう思うのは、人間の本能だと思います。だから自分の頑張りは自分で評価してあげるべきである、と考えられる、上杉謙信は、とてもすごいと思うし、尊敬します。

私も早く、自分の頑張りを自分以外の誰かに認めてもらいたい、という幼い考え方から、自分の頑張りは自分で評価してあげられる人間になりたいと思います。もしかすると、人にどう評価されていても、自分の事は自分で評価しながら頑張り続けている人が、人から認められるのかなぁ、と私は思いました。そういう風に考えていると、そんな人が一番かっこよく思えてきました。私も、そんな人になりたいと思います。