人間関係や仕事で悩みを抱えたとき、「あの人がこんなことをしてくるから、私はこんなに苦しんでいるんだ」と思ってしまいますよね。
しかし一方で、同じ経験をしていても、それほど苦しくならず、むしろ、より前向きに頑張れる、という人もあります。
私達が何かを「つらい」「苦しい」と感じる本当の原因は、一体どこにあるのでしょうか?
哲学者・伊藤健太郎先生にお話をお聞きしました。
まず、原因を正確に知ろう
なぜ物は豊かなのに、心は豊かにならないのでしょうか。
何事も、原因を知らなかったり、間違えたりすると、正しい解決は望めません。
病気を治す時も、まず必要なのは、原因を正確に知ることです。
「腰痛」に悩まされる日本人は、1,000万人以上といわれていますが、その原因はさまざまです。
背骨に異常がある場合もあれば、腎臓や尿管の結石からくることもあります。
精神的なストレスによるケースもありますから、正しく診断しなければ、患者の痛みは除かれません。
病因を的確に突き止めて、それを取り除いてこそ健康になれます。
なぜ幸福を求めながら、苦しみが次から次へとやってくるのか。
その原因を突き止めてこそ、心から満足できる人生が開かれるのです。
ニーチェは言った「苦しみの根本原因を見よ!」
それでは、私たちが苦しむ原因は何でしょうか。
いくつか、例を挙げて考えてみましょう。
●「隣にあんな人がいるから」
●「病気がちだから」
●「給料が少ないから」「上司が事情を分かってくれないから」「部下が言うことを聞かないから」
●「夫が助けてくれないから」「妻の愛が足りないから」
などなど、いろいろあるでしょう。
しかし、それらが本当に、私を苦しめる原因でしょうか。
ニーチェは『道徳の系譜』で、苦しみの根本原因は、苦しむ意味が分からないことだと言いました。
人間がとても耐えられないのは、自分の行動の意味が分からないことです。
なぜ、こんなことをしなければならないのか、苦労する目的が分からないことが、私たちを心身ともに痛めつけるのです。
逆に、しっかりと目的があれば、つらい仕事や勉強、トレーニングでも耐えられます。
それどころか目的さえ分かれば、「人間は苦悩を欲し、苦悩を探し求めさえする」とニーチェは言います。
(『月刊なぜ生きる』令和5年3月号「私たちは、なぜ生きるのか」より)
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伊藤健太郎先生、ありがとうございました。
「何のために苦しんでいるのか分からない」ことが、私達にとって何よりも辛いことなんですね。
たしかに、仕事や家事が大変でも、家族の喜ぶ顔を見るためなど、目的がハッキリしていれば、頑張れる気がします。
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