ミスを根絶するための大切な心掛け

ミスをなくそうと思うならば、常に誠意をもって事に当たり、相手によって態度を変えず、礼儀正しく接することである。

男も女も、年配者も若者も、皆、そういう態度に心掛けるのが一番よいのだが、特に若い人の言葉遣いが礼儀正しいと、とても心が引かれ、いつまでも忘れられないものだ。

あらゆる失敗は、自分がそのことに慣れているように振る舞い、得意げな様子をして、人を侮り、軽んずることから起こるのである。

(『徒然草』 第二百三十三段)

仕事においても、人間関係においても、「慣れ」や「慢心」が出てくると失敗する。
だから兼好は、老若男女を問わず、常に、誠意を持って、礼儀正しく振る舞ったほうがいいと言っている。

この心掛けは、特に若い人に必要なのではなかろうか。

新しい職場へ入ったばかりのころは、何も分からないから、一つ一つの仕事を丁寧に進めようと心掛けている。
上司や先輩への挨拶、返事にも緊張感がある。

ところが、だんだん仕事に慣れてきた時が危ない。
「自分はもう分かっている」という自惚れが出てくると、態度が横柄になってきたり、偉そうに振る舞ったりするようになる。
上司や先輩に対して言ってはならない言葉遣いをすることもある。

そんな者に限って基礎的な力がついていないことが多いから、思いがけない失敗をしてしまう。
本当に、自分の仕事に責任を持ち、実力をつけたいと思っているならば、その道で十年、二十年と苦労してきた先輩諸氏から学び取ろうとする姿勢が消えるはずがない。
その姿勢のバロメーターが、挨拶、返事、言葉遣いの礼儀といえるだろう。

(『新装版 思いやりのこころ』p.115-117 編著:木村耕一)

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