お気に入りの物が壊れたとき、子どもに伝えたいことは?【こども歎異抄⑤】
子どもが大切な物を壊してしまったとき、どんな声を掛けていますか?
つい「物を大事にしないからよ!」と叱ったり、「どうしてこんなことになっちゃったのかなぁ…」と、残念そうに言ったりすることが多いかもしれません。
でも、物が壊れて悲しい思いをしているのは、きっとお子さんも同じです。
失敗をゼロにできない以上、大切なのは、それをどう受け止め、対応していくか。心の向きを変えることによって、結果も大きく変わっていきます。
今回は、「物を大切にする心は、どこから生まれてくるのか?」から考えてみたいと思います。
子どもが大切なものを壊してしまうとき、忘れていること
-
乱暴に扱ってしまうのは、いつまでもあると思っているから。
子どもがすぐに物を壊したり、無くしたりする理由は、子どもの心に目を向けると分かります。
大切にしないといけないはずのものを雑に扱ってしまうのは、「物はいつか壊れるもの」という大前提をよく分かっていないからです。
大人でも、実際に大切な物を失うまで、今の幸せが無くなることを想像することは難しいものですが、人生経験の浅い子どもにとってはなおさらです。
お気に入りのものを自分で壊してしまった、という出来事は、一見取り返しのつかない大失敗のように思えます。
しかし、「どんなに大事なものも、いつかは手放さないといけないんだよ」、という生きていく上で大切なことを教える絶好のチャンスでもあるのです。
「いつまでも続かない」のが当たり前
-
「無常」とはいつまでも続かない、ということ。
「どんなに大切なものも、いつかは手放さなければならないときがくる」
これを、700年前の古典『歎異抄(たんにしょう)』では、「常に続くものは無い」、ということで、「無常(むじょう)」といわれています。
「いつまでも続くものは無い」「形あるものはいつか崩れる」と聞くと悲しくなってしまうかもしれませんが、これには例外がありませんし、誰も否定することができないことなのです。
お気に入りの物だけではなく、家族や友人と過ごすあたたかい時間も、決していつまでも続くものではありません。
一緒にいられる時間には限りがあると思うと、何気ない毎日の一瞬一瞬が、一度失ったら二度と戻らない、かけがえのない時間であることが分かります。
「終わりが来る」と知ることが、今を大切にする第一歩
-
いつかお別れするからこそ、大事にしようと思えるんだね。
「いつか必ず別れがやってくる」という事実を知り、まっすぐに向きあってこそ、今の幸せをより深く感じることができ、自然と周りの物や人を大切にできるようになります。
大人になって、もっと大きなものを失って後悔する前に、子どものうちから「終わりがある」という感覚を育てることは、物事の優先順位を考える上でもとても大切です。
それはもしかしたら、いつか終わりがくる人生で、本当に大事なことってなんだろう? と考えるきっかけになるかもしれません。
子どものころの失敗やそこから学んだことは、心の奥底に長く残るものです。
「大事な物を壊してしまった」「お気に入りを無くしてしまった」という出来事を、単なる悲しい記憶で終わらせず、ぜひ、一歩成長するためのチャンスにしてほしいと思います。
(1万年堂ライフ編集部より)
マンガ『こども歎異抄』とは
子どものころ、ひそかに感じていた、素朴な疑問。
家族や学校の先生に聞いてみても、「まぁそんなものだよ」「考えてもどうしようもない」とごまかされて、モヤモヤした経験はありませんか?
大人になるにつれ、知りたかった気持ちにはフタをして、目の前のことに追われる毎日。
「心とは?」「人間とは?」「生きるってどういうこと?」
今さら人に聞けなくなってしまった人生のギモンを、700年前の古典『歎異抄(たんにしょう)』を通じて、少し深めに掘り下げるマンガ連載が、『こども歎異抄』です。
今、古典が新しい!
●「家族にも紹介しようと思います」(31歳・女性・主婦)
●「これからの私の人生において、必要で大事な一冊になる本です。」(41歳・女性)
●「人生の折り返し地点を迎え、少し立ち止まり、読んでみました。私にとって、これから何度も読んでいく本だと思います」(49歳・女性)
●「内容がすごく分かりやすく書いてあることに感銘しました。子や孫に、友人にも人生の中で、『生きることの指針』として伝えることができると感じました。」(69歳・女性・主婦)
(『歎異抄をひらく』『歎異抄ってなんだろう』の読者アンケートより)
▼詳しく知りたい方はこちら▼