有っても無くても変わらないものは?【こども歎異抄⑨】

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「一緒になれたらそれだけで幸せ」と思っていたのに…

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    一緒にいると、期待も不満も大きくなるよね。

結婚する前は、「この人となら、きっと居心地のいい家庭を築けそう」
「できれば子どもは2人ぐらいいたら、楽しい毎日を過ごせるだろうな」などと思うものです。

しかし、いざ結婚してみると、以前のように自分の好きなことをする時間はなくなって、イライラしがちになったり、相手の嫌なところばかりが目についてしまったり……。

洗濯や掃除の仕方一つを取っても、それぞれの考え方は異なります。
たとえば、夫は、靴下は裏返しで洗濯機に入れたほうが、生地が傷まないと知っていたとしても、そんなことを妻に言おうものなら、
「じゃあ、誰が裏返しになったのを元に戻して片づけるのよ!」と、さらなるトラブルになってしまうこともあります。

あんなに一緒にいたいと思っていたのに、なぜか、一緒にいるほど不満が溜まっていく、ということはないでしょうか。

「無事に生まれてくれたら、それだけでいい」と願っていた子どもも、
大きくなるにつれて生意気になり、言うことを聞かない、文句ばかりが増える、すぐに反抗してくる……などと、思い通りにはいきません。

また、大切な仕事があるときに限って子どもが体調を崩す。
事件や事故のニュースを見れば、「もし、うちの子に何かあったら……」と不安になる。

保育園や学校への行き渋り、少しでも落ち込んだ様子だと、「もしかして、先生や友達と何かトラブルがあったのでは……」と心配は尽きません。

有っても無くても、悩みのタネは変わらない

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    無いときは「これさえあれば!」と思うけど……。

実際に生活が始まるまでは、「結婚さえすれば」「子どもさえいれば」と思っていたところもあったかもしれません。

でも、今はどうでしょう。
幸せを感じる一方で、かえって、不安や悩みのタネが増えている、ということはないでしょうか。

欲しいものが手に入らないときは、それが無いことで、悲しんだり苦しんだりしていると思いがちです。
ところが、有れば有ったで、それを維持するために、別の悩みや不安が絶えません。

そんな私達の心を表しているのが、「有無同然(うむどうぜん)」という言葉です。
これは、結婚や子どもの有無だけでなく、お金やマイホーム、仕事や立場、容姿や才能など、どんなものにも当てはまります。

無いときは、「あれさえ手に入れられたら、幸せになれるのに」と思いますが、あればあったで、今度はそのもののために苦しみます。

有る人は「金の鎖」、無い人は「鉄の鎖」に縛られているようなもの、ともいわれます。
金の鎖に縛られていても、鉄の鎖に縛られていても、材質が違うだけで、どちらも縛られて苦しんでいる点では変わりません。

外から見ると、お金や物・家族・容姿に恵まれている人は、幸せいっぱいの生活を送っているように感じますが、不安や悩みが尽きないという点では、同じだということです。

他人をうらやましく思ったときは?

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    完璧に見えるあの人も、実は悩んでいるのかも。

「有無同然」という言葉の意味が分かると、世の中の見方が少し変わってきます。

周りの親子やSNSを見ていると、
「あの人は仕事も家事もちゃんとこなし、オシャレにもいつも気を遣っていて、本当に完璧。それに比べて私は……」
「あの子は大人にもすぐに挨拶ができるのに、うちの子は……」
と思うことがあるかもしれません。

しかし、どんなに恵まれて見える家庭にも、悩みがあるものです。

子どもがいつも活発に走り回っていれば、元気に育っていることをうれしく感じる一方で、他の子のようにもう少し落ち着いて過ごしてほしい、と願うでしょう。

反対に、なかなか教室に馴染めなかったり、自分の気持ちを表現するのが苦手だったりしたら、もっと積極的に明るくなってほしい、と思うでしょう。

家事も育児も完璧にこなしているように見えるお母さんも、
実は他の人に頼れないことに悩んで疲れ果て、ほどほどに力を抜ける人をうらやましがっているかもしれません。

恵まれているあの人がうらやましい、もっと我が家もこうだったら……と考え始めたら、
「有無同然」がすべての人の現実だということを、思い出してみてはいかがでしょうか。

今の自分が持っている大切なものに目が向き、少し心が楽になるかもしれません。

(1万年堂ライフ編集部より)

いま話題の古典、『歎異抄』

思い描いていた生活に、それなりに近づいているはずなのに、なんだか物足りない。
何を手に入れても悩みが尽きないのが現実だとしたら、一体何のために、毎日頑張ればいいんだろう……?

そんな疑問にそっと寄り添い、生き方のヒントを与えてくれるのが、700年前の古典『歎異抄」です。

昨年発売した入門書『歎異抄ってなんだろう』(監修:高森顕徹、著:高森光晴・大見滋紀)には、このような喜びの声が届いています。

●「人生に悩んでいたけど、一つの考え方にとらわれていたと気づけた。前向きになることができて、読んでよかったです。」(39歳・女性・会社員)

●「『歎異抄』について知識のない私でも、イメージしやすく身近に感じられました。」(44歳・女性・公務員)

●「今の自分には、この本が必要なんじゃないかとすぐ手に入れて読んでみると、文章がスッと入ってきて、読み進める度に気持ちも楽になってきました。」(46歳・女性・パート)

●「マイナス思考だった私が、この本を読んで、元気になりました。」(47歳・女性・パート)

(『歎異抄ってなんだろう』の読者アンケートより)

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マンガ『こども歎異抄』とは

子どものころ、ひそかに感じていた、素朴な疑問。
家族や学校の先生に聞いてみても、「まぁそんなものだよ」「考えてもどうしようもない」とごまかされて、モヤモヤした経験はありませんか?

大人になるにつれ、知りたかった気持ちにはフタをして、目の前のことに追われる毎日。
「心とは?」「人間とは?」「生きるってどういうこと?」
今さら人に聞けなくなってしまった人生のギモンを、700年前の古典『歎異抄(たんにしょう)』を通じて、少し深めに掘り下げるマンガ連載が、『こども歎異抄』です。