「夫があまり構ってくれない」と悩むことはないでしょうか。
身近な人に対しては「もっと大事にしてよ」と相手を責めるような言動を取ってしまい、ますます相手との関係が悪くなってしまうこともあるかもしれません。
そんなときはどうしたらいいのか。
大事にされる、優しくされる心がけを、仏教の観点から学んでみましょう。
(1万年堂ライフ編集部より)
登場人物
![]() 真理子
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中2の娘と小4の息子を持つワーキングマザー。お気に入りのカフェで行われている「仏教塾いろは」に参加しはじめる。 |
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![]() 智美
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在宅でデザインの仕事をしている主婦。真理子から「仏教塾いろは」を紹介してもらった。 |
![]() 塾長
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仏教塾いろはの塾長。アメリカの大学で仏教の講義をしていた。店長とは旧知の仲。 |
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こんにちは~。あ、真理子さん。会えてよかったです。ちょっと相談したいことがあるんですが…。
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智美さん、こんにちは!どうしたの?
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実は私のママ友達のことで。最近、「夫があまり構ってくれない」と悩んでるようなんです。もっと優しくされたい、大事にされたいって落ち込んでいて…。何かアドバイスできたらって思うんですが、どう声をかけたらいいと思いますか?
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そうね、その気持ちは私もすごく分かるわ。どうしたらいいのかしら…。あ、そういえばこの前、塾長さんから接し方の心がけを教わったの。こういうことを話されていたわ。
「大事にしてくれない!」と相手を責めるのは逆効果
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周囲の人への接し方について、仏教の観点からお話ししますね。
私達は「自分は大事にされていないな」と感じると、相手に対して「もっと自分を大事にしてほしい」と思う心が出てきます。
少し距離のある人に対しては冷静になれるのですが、夫や妻、親や親友などの身近な人に対しては
「もっと私を大事にしてよ!」
「もっと僕に優しくしてくれよ!」
と、ついつい相手を責める言動をとってしまいがちですよね。
しかし、相手を責めて状況が改善されるということはほとんどありません。
攻撃されると攻撃し返したくなったり、あるいは防御に徹して何も話さなくなったりするのが人の性(さが)ですね。
反感を買って、ますます関係が悪化することにもなりかねません。
そういうときは、「どうして〇〇してくれないの?」と相手を責めるのではなく、
「私は悲しく思っている、つらいと感じている」など、「私は〇〇と感じているんだ」と自分の気持ちを素直に伝えてみましょう。
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確かに相手から責められると大事にするどころか、ますます遠ざけたくなりますね。一時の感情に流されないように気をつけなくちゃ。
大事にされるには、“大事にする”-「布施」の大切さ
ではどうしたら、「優しくされ、大切にされる私」になれるのでしょうか。
お釈迦様は時代や国を問わず、「優しくされ、大切にされる私」になれる普遍的な行いとして「布施」を勧められています。
「布施」とはどういうことかについて、『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く』の言葉の一説を紹介します。
「布施」とは、思いやりの心で周りの人に何かを与えることをいいます。
(中略)
お釈迦さまは、
「思いやりの気持ちを持って、お金や物、笑顔や優しい言葉など、ちょっとしたことでもいいので、あなたができることを与えてみなさい」
と教えられています。
思いやりの心や優しさで接すれば、相手からも思いやりや優しさが返ってきます。
自分勝手に振る舞えば、誰もあなたのことをかまってくれなくなります。
あなたが周りへとった態度がそのまま、周りのあなたへの態度となって返ってくるのです。
心理学で「返報性の原理」という言葉があります。
人間は、相手にしてもらったことに対して、お返しをしなければいけないという気持ちが働くという意味です。誕生日にプレゼントをもらうと、相手の誕生日にもプレゼントをあげなければ、と思う心がそうです。
同じように、優しくすれば、優しくされる。大事にすれば、大事にされる。
逆に、冷たく、自分勝手に振る舞えば、周りから嫌われ、うとまれる。この原理は、当たり前だと思う人もいるでしょうが、実際には実行できていない人が多いと思います。
「大事にされたい」と思ったら、方法は簡単です。人に対して優しく、大事にすればいいのです。
『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く』岡本一志著 より引用)
仏教では、「まかぬ種は生えぬ、まいた種は必ず生える」と教えられています。
人から優しくされるのを待つのではなく、思いやりの心をもって周囲に優しさを配っていけば、「優しくされ、大切にされる私」になることができるのです。
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布施ってお金や物を与えることだけではなく、思いやりの心で優しさを与えることも含まれているんですね。「大事にすれば、大事にされる」。確かに当たり前だけど、本当に実行が難しいわ。
“ちょっとした心がけ”でできる布施の種まき
最後に、“ちょっとした心がけ”でできる布施の種まきを紹介します。
ぜひ続けてみてくださいね。
心を込めて挨拶しましょう
家族や友人に心を込めて挨拶をしてみましょう。
「おはよう」「いってらっしゃい」「おかえりなさい」「おやすみなさい」などの心のこもった挨拶は、きっと大切な家族の心を癒してくれます。
感謝の気持ちを伝えましょう
他人にしてもらって当たり前なことは一つもありませんね。
どんな小さなことでも自分のために苦労をしてくれた相手に対して「ありがとう」と、感謝の気持ちを伝えましょう。
感謝をされて嫌な気持ちになる人はいないでしょう。相手に喜んでもらえる基本は感謝ですね。
ほめ言葉をかけよう
ほめ言葉は人間関係を良好にする潤滑油です。
最初は勇気がいりますが、相手に言葉のプレゼントを渡すつもりで伝えてみましょう。
ほめ言葉をかけようと意識することで、相手の長所に目がいくようになり、自分にも精神的にいい作用がありますよ。
いずれも“ちょっとした心がけ”があればできますが、その“ちょっと”をおろそかにしがちなのが私達であり、継続した実行は難しいです。
しかし、だからこそ実行すれば、「優しくされ、大切にされる私」へと着実に近づいていけるでしょう。
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塾長さんのお話、心に沁みました。毎日のちょっとした心がけと種まきが大切なんですね。悩んでいる友人にも勧めてみます。
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私ももっと夫にいたわってほしいから、まずは挨拶から意識して頑張ってみよ!
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ふふふ。真理子さんは正直ですね。私も頑張ります!
まとめ
「優しくされ、大切にされる私」になるために
- 相手を責めるのではなく、自分の気持ちを素直に伝えましょう
- まず自分から周囲の人へ、思いやりの心で優しさを配りましょう
- 心のこもった挨拶や感謝の言葉「ありがとう」を相手に施してみましょう