自分に自信が持てない、という悩みをよく聞くことがあります。
自分に自信が持てないと他人のささいな言動が気になったり、すぐに落ち込んでしまったり、ストレスが溜まりやすくなります。
そんな自分が嫌い、とますます落ち込んで思考の悪循環に陥ってしまう人も。
自分に自信がない状態から抜け出すにはどうすればいいのか。
自信を取り戻すためのステップを仏教から学んでみましょう。
登場人物
![]() 真理子
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中2の娘と小4の息子を持つワーキングマザー。お気に入りのカフェで行われている「仏教塾いろは」に参加しはじめる。 |
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![]() 智美
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真理子さんのママ友達で、在宅でデザインの仕事をしている主婦。 |
![]() 塾長
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仏教塾いろはの塾長。アメリカの大学で仏教の講義をしていた。店長とは旧知の仲。 |
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智美さん、今日は元気がないように見えるけど、何かあったの?
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あ、ごめんなさい。ちょっと仕事でうまくいかないことが続いていて…。もともと自分に自信がないからか、ちょっとしたことですぐに落ち込んでしまうんです。
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そうだったのね。確かにうまくいかないことが続くと、落ち込んじゃうわよね。
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前はそうでもなかったんですが、仕事を再開してからはあまり自信を持てなくなってしまって…。
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自信ってちょっとしたことで失ってしまったりするわよね。どうしたらいいのか、この前、塾長さんから聞いたお話が助けになる思うわ。
自信が持てるようになる3ステップ
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自信が持てるようになるにはどうすればいいか、仏教の観点からお話ししますね。
ステップ①自分を再認識する
自分に自信がないといっても、それはどういう状態なのかをまず正しく知ることが大切です。
自分に自信がないからといって、自分のすべてがダメと思っている人は、いないのではないかと思います。
なぜなら、自分のことを何一つ信じないでは、私たちは生きてはいけないからです。
「体形に自信がない」という人でも「健康には自信がある」とか、
「才能に自信がない」という人でも「人間関係には恵まれている」など、
自信がない部分がいくつあっても、ここには自信を持っているというものがあるのではないでしょうか。
そこでまず、「自分に自信がない」という認識を「自分の〇〇なところに自信がない」と再認識してみましょう。
「そうか!私は全てに自信がないのではなく一部分に自信がなかったんだ」と気がつくだけで、少し心が軽くなったのではないでしょうか。
ステップ②自信を失った原因をまっすぐに見る
ステップ①で自分のどこに自信がないのかが分かったら、次に、なぜそのことに対して自信を失ってしまったのか考えてみましょう。
仏教には、すべての結果には必ず原因がある、と教えられています。
この「すべての結果には必ず原因がある」という法則を『因果の道理』といい、いつの時代でもどこにいっても変わらない真理といわれています。
『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く』から、『因果の道理』について書かれているところを紹介します。
問題の原因が見えてくれば、今の状況を改善する手立てを考えて対処することができますから、今後は、同じ問題が起きることを防ぐことができるようになります。
思いがけないことも、過去のあなたの「行い」が原因となっている、というのがお釈迦さまの教えです。ですから、「たまたま、偶然、運が悪かった」「どうしようもない、しかたがなかった」とあきらめるのではなく、もっと本質的な原因をまっすぐ見ることが大事なのです。
(『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く』岡本一志著 より引用)
自分はよい人間関係を築くことに自信がないという人ならば、自信を失うに至った原因があるはずです。
たとえば、職場の人間関係が悪くなって転職したけれど、新しい職場でも人間関係をこじらせてしまったなどの経験があったのかもしれません。
2回も続けて人間関係を上手に作れなかったのだから、私にはその能力がないんだ、と考えてしまうのも無理はないのかもしれません。
しかし、そこで自信を失ったままにしておくのではなく、なぜうまくいかなかったのか、さらにその原因を考えてみましょう。
何も原因がないのに問題が生じることは決してありません。
たった一言で相手を傷つけてしまう場合もあれば、自分の行動が周囲の妬みの種になっていたということもあります。
一体何が原因だったのかがわかれば、次はどういうことに気をつければいいのかもわかりますし、そもそも自信を失う必要もなかったことに気づくかもしれません。
ステップ③自信をつける“心の種まき”をする
ステップの最後に、自信をつける“心の種まき”を紹介します。
“心の種まき”とは、心でいろいろなことを思ったり、考えたりすることです。
自信を失うという結果にも原因があるように、自信がある、という状態になるのにも原因があります。
毎日の善い心の種まきの積み重ねで、自信は作りあげることができるのです。
なぜかというと、私たちの善い心の思いは、善い運命を生み出す力があるからだと仏教で説かれているからです。
先の「幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く」には、こう紹介されています。
私たちの行いには、幸せ、不幸せという運命を生み出す力があるのだとお釈迦さまは説かれています。
行いが運命を生み出す力を仏教で「業力(ごうりき)」といわれます。私たちが体や口や心で、やったり言ったり思ったりした行いは業力となって、消えずにその人に蓄えられます。
誰も見ていない所でも、真面目に頑張れば、それは消えずに力となって、あなたに蓄えられます。
思いやりの気持ちを込めて、優しい言葉を相手にかければ、それも、目に見えない力となってあなたに蓄積されます。
あきらめずに頑張るぞと心の中で自分に言い聞かせたことも、力となって残ります。
逆に、誰も見ていない所で、いいかげんなことをする。これも力となって、その人に残りますし、後ろ向きなことを言ったり、相手を傷つけるようなことを言ったりすれば、それも業力となってその人に宿るのだとお釈迦さまは教えられています。
(『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く』岡本一志著 より引用)
毎日、「今日もこれができなかった、ここがダメだった」と思う心の種まきを続けていると、私たちの心は「できない、できない」というメッセージばかりを受け取ることになり、自信がなくなるという結果を生み出してしまいます。
反対に、毎日、「今日はここがよかった、この部分はできた」という心の種まきを続けていれば、私たちの心は「できた、できた」という前向きなメッセージを受け取って、自信の形成へと繋がっていくのです。
できない部分に目を向けるのではなく、今日少しでもできた部分、良かった部分に注目して、自分の心に優しい言葉をかけてあげましょう。
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心で思っていることって、とっても大切なんですね。確かに今まで、自分の出来ない部分ばかりに注目していたように思います。
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私からみたら智美さんは、いいところをたくさん持っている自慢の友だちよ。きっとすぐに自信がもてるようになるはずだわ。
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真理子さん、ありがとうございます。さっそく今日から自信をつける心の種まき、意識していきますね。
まとめ
- 自信のない状態から抜け出すために、まず自分のどこに自信がないのか、現状を正しく認識しましょう
- 自分のどこに自信がないのか分かったら、なぜ自信を失ってしまったのか、原因をまっすぐに見つめて受け止めることで、ただ自信がないという状況から抜け出すことができます
- 毎日、自分の「できた」に注目し、心に優しい言葉をかけ続けることで自信を作り上げることができます。夜眠る前に、今日の自分に一つ、ほめ言葉をかけてみましょう