周りの人に良い印象を持ってもらいたい、「あの人は感じのいい人だな」と思われたい。
これは誰しもが思うことでしょう。
どうすれば第一印象を良くし、感じのいい人と思ってもらえるのでしょうか?
感じのいい人には、共通したある特徴があります。その特徴を知り、実践すれば、あなたの印象はガラリとよい方向に変わるのです。
智美さんと店長さんの会話から、その特徴を学んでみましょう。
![]() 智美
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在宅でデザインの仕事をしている主婦。真理子から「仏教塾いろは」を紹介してもらった。 |
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![]() 店長
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カフェいろはの店長。美味しいコーヒーを淹れてくれる。塾長(高杉小五郎)とは大学時代からの友人。 |
![]() 塾長
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仏教塾いろはの塾長。アメリカの大学で仏教の講義をしていた。店長(原田健太)とは旧知の仲。 |
昼下がり、近くでの用事を済ませ、ひとり「カフェいろは」に立ち寄った智美。ケーキとコーヒーを注文して、一息ついている。
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店長さんの淹れてくれたコーヒー、とっても美味しい…。ホッとしますね。
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ありがとうございます。嬉しいです。
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コーヒーもそうだけど、店長さんの雰囲気が心を和ませてくれる感じがするんです。接客で何か心がけていることはあるんですか?
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お褒めいただき、ありがとうございます。そうですね、自分で言うと、ちょっと恥ずかしいんですが、一番はやっぱり「和顔愛語(わげんあいご)」ですかね。
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和顔愛語?あ、この前の塾長のお話の中で出てきましたね。確か、こんなことを言われていたような…
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第一印象を良くし、魅力がアップする“和顔愛語”
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仏教で教えられる「和顔愛語」について、お話ししますね。
「和顔愛語(わげんあいご)」はお経に出てくる言葉です。
和顔は、和やかな顔。つまり、笑顔のことですね。
愛語は、温かい、心のこもった言葉のことです。
笑顔で接してもらったり、優しい言葉をかけてもらったりすると、ほっこりとした、幸せな気持ちになりますよね。
和顔愛語を実践することで、相手に喜んでもらえます。
また和顔愛語の実践は、その人自身の魅力を倍増させ、第一印象を良くし、評価を高めてくれます。
あなたの周りにも、「なんとなく感じがいいな、接していて気持ちがいいな」という人はいないでしょうか。
恐らくその人達には「和顔愛語」が共通しているでしょう。
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そうですね。仏教塾の人がみんな感じがいいと感じるのは、やっぱり笑顔で話しかけてくれたり、優しく悩みを聞いてくれたりするからだと思います。
笑顔で得られる素晴らしい効果
笑顔にはさまざまな素晴らしい効果があります。
「笑顔はあなたの魅力を倍増させ、第一印象を良くする」と話しました。それには心理学での根拠もあります。
“メラビアンの法則”を知っていますか?
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あ、聞いたことがあります。確か、人は見た目が9割だ、っていう法則でしたよね?
そうですね。
心理学者のアルバート・メラビアンが、私たちが判断に用いるシグナルの内訳は、
- 視覚情報(表情やジェスチャー)が55%
- 聴覚情報(声の調子)が38%
- 言語情報(発話内容)が7%
であると提唱したものです。
つまり私たちの第一印象は、表情や声の調子によって決まる可能性が極めて高い、ということです。
だから、どんなに良い言葉を発していても、表情がしかめっ面をしていたり、声に怒気を含んだりしていては、感じのいい人とは思われにくいのですね。
実際に、しかめっ面をしながら「お会いできてとてもうれしいです」と言って、相手の反応をうかがってみる、という実験がされたそうです。
すると、人々は「うれしい」という言葉よりも「しかめっ面の表情」のほうを信用することがわかりました。
第一印象を良くするのに、笑顔は欠かせませんね。
また、笑顔によって“ハロー効果”が良い方向へ働く、ともいわれます。
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ハロー効果?あいさつと何か関係があるんですか?
いえ、「hello」ではなく「halo」のことで、「後光効果」ともいわれています。
これは、ある1つの面が優れていると、別の面も優れていると思いがちであることを指します。
つまり笑顔で第一印象が良くなると、
「この人は仕事もできそうだな」
「性格も優しいんだろうな」
など、確証がなくても他の面も良く思ってもらえる、ということですね。
このように笑顔により素晴らしい効果が発揮され、相手も喜ばれて、あなた自身も「感じのいい人」を思ってもらえるでしょう。
こんな笑顔はマイナス印象?笑顔のいい人の最大の特徴
笑顔の素晴らしい効果を知っていただいたうえで、あとは実行あるのみです。
実行するときに大切なポイントがあります。
それは「眼の笑顔」です。「眼が笑っているかどうか」が重要なのです。
仏教では、笑顔に加え「眼施(げんせ)」が勧められています。
眼施について『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く』には、こう書かれています。
眼施とは、優しい温かいまなざしで周囲の人々に接することです。
「目は口よりも物を言う」「目は心の鏡」といわれるように、人間の目ぐらい、複雑な色合いを写し出すものはありません。
人間の目にたたえられた和やかな光は、人々をなぐさめたり、励ましたりする力があります。特に、落ち込んでいる人は、優しいまなざしで見つめられるだけで、とっても元気になるのです。
初対面の人に対して効果的なのは、気の利いた言葉よりも優しいまなざしを送ることです。会った最初に、相手から優しいまなざしを送られると、その人のことを悪い人だとは絶対に思わなくなるからです。
(『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く』岡本一志著 より引用)
優しいまなざし送ってもらい、安心感に包まれた、という経験がある人は多いと思います。
とびっきりの笑顔でなくても、優しいまなざしは自分の存在を認められた気がして、和やかな気持ちになりますね。
ここでさらに「眼施」の大切さについて考えてみましょう。
笑顔は好印象を与えるといっても、実はすべての笑顔がそうではありません。中にはマイナスな印象さえを与えるものもあります。それはどんな笑顔か、わかりますか?
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マイナスな印象を与える笑顔?う~ん…、ぎこちなくて不自然な笑顔だと、ちょっと印象は良くなさそうですね。
そうですね、いちばんは自然な笑顔がいいですね。ただ、ぎこちなくても練習をしていけば、自然な笑顔になるでしょう。
ここで特に気をつけたいのは「つくり笑顔」です。
あからさまなつくり笑顔は、好印象を与えるどころか、気まずさや不審感を与えかねません。
では、つくり笑顔になっていないかのポイントは何かという、「眼が笑っているかどうか」なのです。口角を上げていても眼が笑っていないと、つくり笑顔になってしまいます。
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言われる通り、眼が笑っていないと、どうしても冷たい印象を受けてしまいます。眼施はとても大事ですね。でも眼の笑顔って難しいな、と思います。どうすればいいんでしょうか。
つくり笑顔ではない、本物の笑顔を浮かべるのに大切なのは“心”です。
「目は口よりも物を言う」とあった通り、心で何を思っているかは眼や表情にあらわれます。
心で「あの人はやっかいだ、邪魔ものだ」とか「いまは良い印象を与えて、後で利用してやろう」なんて思っていれば、口角を上げて笑顔になっても、その思いは眼や表情にあらわれ、相手に不審感を与えてしまいます。
そうではなく、「私はこの人にずっと会いたかった」「この人に喜んでもらいたい、くつろいでほしい」と思えば、眼にも表情にも自然な笑みが浮かんでくるでしょう。
相手を思いやる心と、和やかな眼や表情。どちらも大切にしていきたいものです。
そうすれば相手も幸せな気持ちになり、自分の印象も格段に良くなりますね。
(回想終わり)
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和顔愛語と相手を思いやる心の大切さが身に染みますよね。接客業にかかわらず、大切なことだと思いますね。
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塾長のお話を思い出して、カフェいろはの居心地の良さが腑に落ちました。私も和顔愛語を心がけて“感じのいい人”になっていきたいです。