1. 仏教
  2. こころの持ち方

占いや大安・仏滅は当たっている?仏教で説かれる“運命の仕組み”とは

手相占いや血液型占いなど、テレビや雑誌、スマホアプリなどで「占い」を目にしない日はないといっていいかもしれません。

その占いや、大安・仏滅などの「六曜」は本当に当たるのでしょうか?それとも迷信?

人間の運命はどのように決まるかについて、仏教の観点からお話しします。

登場人物

占いや大安・仏滅は当たっている?仏教で説かれる運命の仕組みとはの画像1
真理子
中2の娘と小4の息子を持つワーキングマザー。お気に入りのカフェで行われている「仏教塾いろは」に参加しはじめる。

今日はいつも以上にテンションが高め。

占いや大安・仏滅は当たっている?仏教で説かれる運命の仕組みとはの画像2
智美
真理子さんのママ友達で、在宅でデザインの仕事をしている主婦。
占いや大安・仏滅は当たっている?仏教で説かれる運命の仕組みとはの画像3
塾長
仏教塾いろはの塾長。アメリカの大学で仏教の講義をしていた。店長とは旧知の仲。

カフェいろはでおしゃべりしている真理子と智美。

  1. 智美

    真理子さん、今日はいつも以上に明るいですね。何かいいこと、あったんですか?

  2. 真理子

    そうなの。友達に手相に詳しい人を紹介してもらって見てもらったんだけど、「幸運線も健康線も家族線もバッチリで、理想的な手相」って言われたの。占いってあんまり信じているわけじゃないけど、でも嬉しくなって。

  1. 智美

    そうだったんですね。手相とか姓名判断とか、占いってやっぱり気になっちゃいますよね。私の友達にも、霊視占いにかなりお金を使っている人がいますよ。

  2. 真理子

    お金を使いすぎるのは良くないけど、ほどほどに見てもらうぐらいならイイんじゃないかしら。そういえば仏教では占いについてどう教えているのかしら?

占いを信じるのは、先の見えない不安から

  1. 塾長

    「占い」によって自分の運命は決まるのかどうか。仏教ではどう教えられているのかをお話ししますね。

占いといっても、たくさんの種類がありますね。

手相や姓名判断、霊視占いのほかにも、トランプ占いやタロット占い、星座や血液型占いなどなど。それらをテレビやインターネット、雑誌などで目にしない日はないほどです。

なぜこんなに占いは流行し、人の心をとらえているのでしょうか?

占いによって気分を高揚させるため、またはリラックス効果をねらって、という方もいるでしょう。

しかし最も根深い理由は、自分の運命が何によって決まるのかハッキリしていない、先の見えない不安があるからです

「占いなんて、そんな非科学的なもの、信じるわけないよ」と言っている人も、仕事で思わぬ失敗を重ねたり、身内が災難に巻き込まれたりするなどの不幸が続いたなら、どういう心境になるでしょうか?

冷静でいられなくなり、「どうしてこんなに不幸が続くのか?もしかしたら、なにか悪い霊でもついているのではないか?」と不安になるかもしれません。そこに、よく当たる占い師のことを聞いたりすると、話を聞きたくなりますよね。

占い依存症」という言葉があります。

占ってもらわないと不安で、占いがないと行動ができなくなるような状態のことです。悪徳な占い師につかまれば、占う度に多額のお金を請求され、生活に大きな支障をきたすこともあるようです。

芸能人で占い師に依存し、テレビから姿を消してしまった人もいますね。人気が衰えば、たちまち仕事がなくなる芸能人という立場は不安が大きく、占いに依存しやすいのかもしれません。

運命は自分の行いが切り開くもの

では仏教では運命の仕組みについて、また占いについて、どう教えているのでしょうか?

運命の仕組みについて解説しているベストセラー『幸せのタネをまくと幸せの花が咲く2』には、こう書かれています。

これだけ科学が進歩しても、根拠のないものを当てにする人が多いのは、当たるからではなくて、不安だからなのです。

今から、二千六百年前、仏教を説かれたお釈迦さまは、私たちの運命は、手相や、星座、生まれた月日や、名前で決まるのではないのですよ、自分の運命を生み出している原因は自分の行いなのですよ、と教えられています。

手相や生まれた月日を変えることはできません。
親が幸せを願ってつけてくれた名前を、ころころ変えるわけにもいきません。

でも、自分の行いは、今日から変えることができます

そして自分の行いを変えれば、自分の運命を変えることができるのです

岡本一志著(2012).『幸せのタネをまくと、幸せの花が咲く2』 より引用

手相や星座、生まれた月日や名前などで運命は決まらない。だからそれらで運命を占っても決してわかるものではない、とズバリと言われています。

そして運命は自分の行いによって生み出されるのであり、何事も自業自得なのだと仏教では教えられているのです。

自業自得というと、悪い結果に対して使われますね。

「スピード違反で免許停止になったのは、それはあなたの自業自得だよ」とか、「不摂生で病気になったのは自業自得だ」などど使っています。

しかし悪い結果だけでなく、善い結果もまた自業自得なのです

安全運転を貫いて免許がゴールドになったのも、健康管理をキチンとして風邪すらひかずに過ごせたのも自業自得なのですね。

不幸が続くと、どうしても迷いが生まれて、根拠のないものであっても すがりたくなってしまいますが、そんなときこそ自業自得を説く仏教の教えを思い出していただきたいです。

「六曜」などの日の善し悪しはホントウにある?

占いとともに、古くから信じられているのが大安、仏滅などの「六曜」です。

結婚式や葬式の予定を立てられるときに、この「六曜」は気になるのではないでしょうか。

また不幸に見舞われると、「今日は最悪の日だと思っていたら、やっぱり仏滅だった」なんていう人もいるかもしれません。

しかし仏教の「自業自得」の教えから見れば、善い日になるか悪い日になるかは、その人のこれまでの行いによって決まるのです。

結婚生活がうまくいくかどうかはパートナーへの日頃の接し方で決まるのであり、「大安」に結婚式を挙げたからといってうまくいくかどうかは分かりませんね

有名な戦国武将である武田信玄に、こんなエピソードがあります。

果たして「日の善悪」と、人間の運命は、関係あるのだろうか。

武田信玄が、小笠原長時と桔梗ヶ原(現在の長野県塩尻市)で戦った時のことである。

日が暮れてきたので、やむなく双方ともに兵を引いた。

さてここで問題が起きた。

明日は「先負」の凶日である。

「先んずれば、すなわち負ける」という意味らしい。これが正しければ、先に戦いをしかけたほうが敗北することになる。

信玄は、こんな迷信など信じてはいない。

むしろ、チャンスだと思った。相手が吉凶や縁起を気にする男なら、戦意が落ちているはずだ。

案の定、長時は、「こんな凶日に、武田軍が攻めてくるはずがなかろう」と思って、戦いの備えを怠っていた。

結果は歴然である。「先負」の凶日に、先制攻撃をかけた信玄は大勝利を収めたのである

現代でも、カレンダーの日付の下に、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口と記されたものが多い。これを「六曜」というが、実にあやしい。

「大安」は、何事においても吉で、成功しないことがない日、だそうである。それなら「大安」に大学の入学試験が行われたら、全員合格するのだろうか。

「仏滅」は大凶日だといって、皆が失敗を恐れて仕事を休んだら、社会が大混乱してしまう。

「友引」に、決して行ってはならないのは葬式だとか。なぜだろう。「友を引く」と書いてあるから、「葬式に来た友人の手を引いて死後の世界へ一緒に連れていく」、つまり「友人が死ぬ」という屁理屈らしい。ここまできたら、脅しではないか。

日本のカレンダーには吉日より凶日が多いので、気にし始めると、よほど消極的な人生になってしまう。

五百年前に、信玄が見抜いたように、吉日、凶日は、人間が勝手に考えた符号にすぎない。迷信である。

人間の運命は、日の善悪ではなく、自らの行為の善悪によって、大きく変わるのである

木村耕一著(2016).『人生の先達に学ぶ まっすぐな生き方』より引用

不安の多い世の中ですから、いろいろなものを信じたくなってしまいます。

だからこそ迷信に惑わされることなく、自分の行為そのものに目を向けていきたいですね。

「自業自得」を人生の軸にできれば、不安の多い中でも力強く生きていけます

正しい知恵を学んで、心から安心して生きていきましょう。

  1. 真理子

    確かに言われてみると、これで運命は決まらないわよねってものばかり。良いふうに占ってもらって、舞い上がってたことにちょっと反省…。苦しいときこそ、自分に目を向けないといけないのね。

  2. 智美

    根拠のないものでも信じてしまうのは、先の見えない不安があるからなんですね。とても納得しました。霊視占いにハマっている友達にも、自業自得の教えを伝えてあげたいです。

まとめ

  • 占いを信じるのは、自分の運命が何によって決まるのかハッキリしていない、先の見えない不安があるからです
  • 仏教では何事も自業自得であり、運命は自分の行為によって生み出される、ゆえに運命を占っても決して分かるものではない、と教えられています
  • 善い日になるか悪い日になるかも行いによって決まります。正しい知恵を学んで、安心して生きていきましょう
他の仏教塾いろは記事もチェック! 仏教塾いろは無料メールレッスンはコチラ

今回ご紹介した書籍はこちら