【3】葬式は、義務ですよね?

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    (誤解)(セレモニーホールの支配人)
    もちろんです。葬式をしない人なんて、見たことがありません。

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    (正解)
    いいえ、義務ではありません。それも仏教の大きな誤解の一つです。

 

【解説】葬式は、死者のためのものではありません

「立派な葬式が、最後の親孝行だ」とか、「葬式を盛大にしないと、死んだ人が浮かばれない」などと言われるように、多くの日本人が葬式を義務のように思っているでしょう。

しかし、葬式は、実は死者のためにはならないと、仏教を説いた釈迦が言われているのです。

前回も紹介したので繰り返しになりますが、昔のインドでも、釈迦のところへ、「死者のためにお経をあげたら、善い所へ生まれ変わるというのは本当でしょうか」と尋ねにきた弟子がいました。

釈迦は、黙って小石を拾い、近くの池に投げられ、

「あの沈んでいく石に向かって、石よ浮かび上がれ、石よ浮かび上がれと言いながら池のまわりを回ったら、石が浮かんでくると思うか」

と返されています。

石は、石の重さで沈んでいったのです。そんなことで石が浮かぶはずがありません。

このことを通して、人は自身の行為によって死後の報いが定まるのだから、生きている者がどんなに騒いだところで、死者をどうすることもできないことを教えられているのです。

葬式が義務じゃなければ、本当の意味って?

では、葬式には意味がないのかといえば、決してそうではありません。

忙しい忙しいと慌ただしく月日が過ぎ去っていく中で、葬儀に参列し、棺の前で心を静める時、人生を見つめる得難い機会になることがあります。

「私も一度は死なねばならない。酔生夢死ではなかろうか」

否応なしに冷厳な真実を見せつけられ、厳粛な思いにさせられることもあるでしょう。

願わくは、葬式を単なる義務やしきたりに終わらせず、自分の生死の一大事を感得し、本当の幸せを求める機縁としたいものです。

また、葬式は、多くの人が集まるよい機会ですから、亡くなった人を偲んで、みんなで仏法を聞くご縁にしなければもったいないでしょう。

それが、亡くなった人がもっとも喜ぶことだと、釈迦は教えられています。

仏法には、どんな人も本当の幸せになるたった一つの道が説かれているからです。

亡くなった人をご縁として、無常を見つめ、真剣に仏法を聞けば、みんなが最高の幸せを獲得できるのです。