親のこころ(日本教育新聞)
2004年03月19日 | コメントは受け付けていません。
体験談、挿話に見る子への愛
親のこころ 木村 耕一 編著

自らは死の淵にありながらも、付き添いのベッドで休む娘の布団をかけ直す母。生まれてくる子どもの命と引き換えに逝った母。空腹をおくびにも出さず子どもたちにおいしいところを食べさせる父。
本書は一般から集められた「親の恩」に関する体験談と、野口英世・西郷隆盛といった歴史上の人物や「杜子春」「方丈記」「万葉集」などの文学作品にあるエピソードからなる。
生まれたときから、さらに言えば生まれる前から包まれてきたため、私たちは普段の生活の中にある親の愛情の深さに気付かずに過ごしていることが多い。
もちろん、そうであること自体が幸せであるのだが、自分が親の愛情を受けていること、あるいは受けていたことのありがたさに思い至ることができれば、それはなお深い幸せである。
ところで本書で紹介されているものの多くが、母親を思ってのものであるのはなぜであろうか。それが応募の傾向であるとするならば、子どもが恋しく慕うものは、やはり父親よりも母親ということになるのだろうか。
ともあれ、本書にある体験談やエピソードにあるように、親が子を守り慈しみその幸せを願う無私の愛情が、やがては子どもの心の中へ感謝という美しい花を咲かせるのである。
(楠 茂宣・徳島県鳴門市立図書館副館長)
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