親のこころ(ミセス 平成15年10月号)
2003年10月01日 | コメントは受け付けていません。
おすすめの本、読みたい本 井狩春男(エッセイスト)
「親のこころ」 木村耕一 編著
見出しだけで泣けてしまう

母を亡くした時から、涙腺がゆるんでしまい、ちょっと心を動かされると、目が自然にうるむようになった。
この、親の恩についての古今東西のエピソードと、一般から募集した体験談を読んでいたら、半分もいかないうちに涙で文字が見えなくなってしまった。
「母は、息絶えるまで私のことを、末っ子で手のかかる子供という眼差しで見ていました。卵巣ガンで最後だと分かった時に、母のベッドの横にベッドをつけ、姉、兄、姉、私と、皆で一晩ずつ付き添いました。
私が付き添った時、眠れないでいる私に、母の手が伸びてきました。寝ていると思い、掛け布団を直してくれているのです。力なく布団を引き上げる様子、目を開けられなかった。忘れられません。
ありがとう、母さん。」
見出しだけでも泣ける。
「『せめて子供だけでも人並みにお腹いっぱい食べさせてやろう』。短い生を終えた母の心のうちが、悲しいほど分かる年になった」
「車が心配だからと、高齢の母は、50歳を過ぎた私の手を握り、横断歩道を渡る」
(照れるが、)涙が、汚れた心を洗い流して、そして、育てようとしてくれるのである。
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